『N響大河ドラマ&名曲コンサートsupported by SGC』注目ポイントは? 芸術主幹・西川彰一氏が語る
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NHK交響楽団 芸術主幹 西川彰一
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すべて見る『N響大河ドラマ&名曲コンサートsupported by SGC』が、3月6日(金)にソニックシティ大ホール、3月7日(土)に所沢市民文化センターミューズ アークホールで開催される。2026年に創立100年を迎えるNHK交響楽団が、歴代の大河ドラマテーマ音楽を演奏する特別公演。指揮は沖澤のどか、司会は田添菜穂子が務める。
NHK交響楽団(N響)といえば、昨年の「NHK紅白歌合戦」で、石川さゆりと共に披露した「天城越え」が、視聴者が選ぶ「もう一度見たいシーン」に選ばれ、新年からは大河ドラマ『豊臣兄弟!』のテーマ曲演奏も大きな話題を集め、100年の歴史を誇る今も“熱い”注目を浴び続けるオーケストラだ。
そんなN響のプログラミングの舵取りを担う芸術主幹・西川彰一氏が取材に応じ、特別公演『N響大河ドラマ&名曲コンサートsupported by SGC』の注目ポイントを語った。

目玉は、武満徹が唯一作曲した大河テーマ曲「源義経」
第1部では、先述した『豊臣兄弟!』をはじめ、『風林火山』『豊臣兄弟!』『秀吉』『峠の群像』『元禄繚乱』『源義経』『夢千代日記』(1981年「ドラマ人間模様」から)、『竜馬がゆく』『利家とまつ ~加賀百万石物語~』『天地人』といった大河ドラマのテーマ曲が演奏される。
特に注目したいのが、日本が世界に誇る作曲家の武満徹が手掛けた『源義経』。その後の武満の作曲スタイルにも活かされた、笛や琵琶を用いる斬新な発想が特徴の楽曲は、断片的なスケッチしか楽譜が残っていないため、今回は、坂田晃一による独自の再現版で、60年ぶりの復活蘇演が実現する。
西川 これがかなり目玉になると思います。楽譜を完全に起こすのは不可能ですし、当時の音源は不明瞭な部分もあるので、坂田さんのお考えも入れながら、オリジナルとは違った趣きの作品になるかなと。ぜひ、当日のお楽しみにしていただきたいです。和楽器の使用は、武満さんの素晴らしいアイデア。義経の悲劇的な最期を想起させます。
『源義経』が放送されたのが、1966年のこと。今回のプログラムを通して、大河ドラマ60年の歴史をタイムトラベルする感覚も味わえそうだ。
西川 そうですね。この60年でいかにテーマ曲の組み立てや、作品のあり方が変わってきたかを、感じ取っていただけると思います。昔はかなり実験的なことをやっていますね。不協和音が鳴ったり、現代音楽的で。今だったら、却下されるだろうなという前衛的な曲がいくつもあります。もちろん、今のテーマ曲にも、今の時代に合った工夫が施されているとは思いますが。
昔のオープニングは、音楽そのものに語らせるという側面が強かったのですが、今はどちらかと言うと、凝ったCG映像が主役になり、音楽は映像との密接なコラボの上に成り立っている感じです。そうした違いも含めて、時代による変化や、作曲家による作風の違いを味わっていたいただければ。
他にも、池辺晋一郎さんの『峠の群像』『元禄繚乱』や、『風林火山』『利家とまつ』のような人気曲など、100周年にふさわしい、盛りだくさんなラインナップを用意しました。どの曲もそれぞれ魅力的ですし、聴けばドラマそのものや、それを見ていた時代にタイムスリップできる。2分半に凝縮された宝石のようなテーマ曲を、ぜひ純粋な音楽作品として楽しんでいただきたいです。
N響が目指す“次の100年”「挑戦を続ける」
第2部は、クラシックの名曲として、ワーグナー(フンパーディンク編)の楽劇『神々のたそがれ』より「夜明けとジークフリートのラインの旅」、イヴァノヴィチのワルツ『ドナウ川のさざ波』、スメタナの交響詩『モルダウ』が演奏される。
英雄ジークフリートがライン河に向けて旅立つ場面を描いたり、チェコを代表する川、モルダウの優美な姿を想起させたりと、大河にちなんで“川”“河”がモチーフになった名曲で構成されており、オーケストラの真髄を存分に体感できるはずだ。
西川 大河を入り口に、普段クラシックに馴染みがないお客様にも、名曲に触れていただければ嬉しいです。どの曲もメロディが美しく、聴けばイメージが無限に広がっていきます。
今の時代、音楽がいつでもどこでも気楽に楽しめるようになった反面、断片的なつまみ食いで満足してしまう傾向も生まれています。実際にコンサートホールに足を運んで、リアルな演奏に触れることの価値はますます高まっているのではないでしょうか。
約2時間の公演で過去や未来に思いを馳せ、非日常に身を置ける。それがクラシックのコンサートの“魔力”だと思います。
時代がどんどん変わっているなかで、オーケストラを公共の財産として維持していくために、私たちは試行錯誤を重ねています。N響も、“次の100年”に向けて、歴史と伝統を守りながら、挑戦も続けなければいけない。大河ドラマ&名曲コンサートもその一環なんです。

取材・文/内田 涼
[NHK交響楽団 芸術主幹 西川彰一氏プロフィール]
鳥取市出身。NHKディレクター、チーフ・プロデューサーとして、ETV「N響アワー」「クラシック音楽館」などの制作に携わる。2017年・NHK交響楽団演奏制作部長、2022年から現職。
<公演情報>
『N響大河ドラマ&名曲コンサートsupported by SGC』
〈大宮公演〉
日程:2026年3月6日(金) 開演19:00
会場:ソニックシティ大ホール
〈所沢公演〉
日程:2026年3月7日(土) 開演14:00
会場:所沢市民文化センターミューズアークホール
指揮:沖澤のどか
トランペット:菊本和昭(N響首席トランペット奏者)
薩摩琵琶:友吉鶴心
龍笛:稲葉明徳
龍笛:纐纈拓也
龍笛:岩﨑達也
シンセサイザー:篠田元一
司会:田添菜穂子
管弦楽:NHK交響楽団
■曲目
[第1部 大河ドラマ編]
風林火山(2007/千住 明)
豊臣兄弟!(2026/木村秀彬)
秀吉(1996/小六禮次郎)
峠の群像(1982/池辺晋一郎)
元禄繚乱(1999/池辺晋一郎)
源義経(1966/武満 徹[坂田晃一編])
夢千代日記(1981/武満 徹) ※NHK「ドラマ人間模様」から
竜馬がゆく(1968/間宮芳生)
利家とまつ ~加賀百万石物語~(2002/渡辺俊幸)
天地人(2009/大島ミチル)
[第2部 「大河」にちなんだクラシック名曲選]
ワーグナー(フンパーディンク編)/楽劇「神々のたそがれ」―「夜明けとジークフリートのラインの旅」
イヴァノヴィチ/ワルツ「ドナウ川のさざ波」
スメタナ/交響詩「モルダウ」
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/nhkso-taiga/
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