yutoriが明かすメジャーデビュー1年目の本音と音楽的成長――「弱い自分のままでもいい」ミニアルバム『心の微熱』に込めた等身大の思いとは
音楽
インタビュー
左から 内田郁也(g)、浦山蓮(ds)、佐藤古都子(vo/g)、豊田太一(b) / Photo:石原敦志
続きを読むフォトギャラリー(10件)
すべて見る関連動画
すべて見る
Text:蜂須賀ちなみ Photo:石原敦志
yutoriがミニアルバム『心の微熱』を完成させた。メジャーデビューからもうすぐ1年。彼らはメジャーデビュー曲「スピード」で“弱い自分のまま、あなたに寄り添いたい”という思いをまっすぐに歌い、バンドのメッセージの軸を見出した。今作ではその軸を保ったまま、より身近な生活へと歌の射程を広げている。互いを信じ、リスナーのそばにいようとする意志を持って、新作を作り上げた4人に話を聞いた。
── 豊田さんって、今、何年生でしたっけ? ちょうど大学は春休みの時期ですよね。
豊田太一(b) 4月から4年生になります。来年卒業です。
佐藤古都子(vo/g) もう単位は全部とったって言ってたよね?
豊田 ああ、そうだね。
浦山蓮(ds) ツアー中も頑張って学校行ってたもんね。打ち上げが終わったあと、5時とかに飛行機に乗って帰ってましたから。
豊田 だから朝まで飲んでた彼と、ホテルのロビーとかでよく会うんですよ(笑)。
浦山 俺は「行ってらっしゃい」って見送ってから寝るという(笑)。
──(笑)。メジャーデビューからもうすぐ1年経ちますが、何か変化はありましたか?
佐藤 話し合いをすることが増えたなと思います。
浦山 手当たり次第に曲を作る段階から、「どういう世界観を届けたいのか」「じゃあ、どういう曲を作ろうか」「それぞれ歌や詞や楽器でどう表現しようか」ということに力を入れるフェーズに切り替わって。楽曲についても、ライブについても、各々から「こうしたい」という言葉が明確に出るようになりましたね。
佐藤 あと、見られる意識がしっかりついてきたなと。スタジオ終わりにライブの定点映像を見返して、「こうした方がいいんじゃない?」と話し合ったりもするんですよ。今まではそれぞれが自分のカッコいいと思うことをやっていたけど、「外から見たらどうだろう?」「どんなふうにしたら、より映えるだろう?」という考え方も身についてきて。それは制作面にも結構影響していると思います。

豊田 ただガムシャラに放つんじゃなくて、自分の味を楽曲にどう活かすか……そのためには時には引き算も必要だと知りましたし、この1年で技術とかバンド力も上がったんじゃないかと。
内田郁也(g) 今まではちょっと閉鎖的な曲も多かったけど、去年出したシングルの2曲(「スピード」「月と私のかくれんぼ」)は外へ広がるような、いろいろなお客さんを取り込めるような曲になって。その影響で、ライブもより外向きに変化していったんですけど……この2曲の存在は、今回のアルバムにも大きく影響しているよね?
浦山 そうね。「スピード」で「弱いままでもいい」というメッセージを打ち出せたから、じゃあ、他の楽曲ではもっといろいろな感情を出せるなって。僕たちが伝えたいことはそれだけじゃないし、同じような曲ばかりでは意味がないし。
内田 今回は、生活とか、より身近なものにフォーカスした曲が多くて。
浦山 タイトルにもした『心の微熱』がキーワードだなと思っています。何かについて考えていると、熱が出るじゃないですか。今回の6曲はどれも、その熱を否定していない。
佐藤 微熱を抱えていてもいいし、弱くてもいいし、素の自分のままでいいよ、っていう。
内田 嫌なことがあったときの心情も、必ずしも消化しなくていいってことだよね。持ったままでもいいと。
浦山 そうそう。“自分は自分のままでいいんだな”ということを全曲の歌詞で言っているし、それは「スピード」があったからこそだと思っていて。「スピード」は〈何かになりたくて〉という歌詞から始まるけど、「“何か”って何?」という疑問も残るじゃないですか。あのときは抽象的なことを書きたかったけど、今はどちらかというと、情景がしっかりと浮かぶような歌詞を書きたくて。
内田 それは新たな挑戦というよりも、"戻ってきた"という感じだよね。古都子もそうだけど、メジャーデビュー以前は具体的な歌詞も多かったんですよ。そのあと「スピード」や「月と私のかくれんぼ」といったタイアップ曲で、広い言葉を使う経験を経たことで、身近なものを描く解像度が上がった、みたいな。

浦山 確かに。だからなのか、今回、裸に近い歌詞になってるなと思っていて。
── それは聴いていても感じました。浦山さんの書いた5曲は、「怖い」とか「言えない」という気持ちが繰り返し歌われていて。自分の臆病さをより隠さなくなったなと。
浦山 そうですね。ライブのMCで、古都子がずっと「弱いままでもいい」と言ってくれてて。俺らはライブをするたびに、その言葉を聞くわけじゃないですか。すると、そのマインドが自然とインプットされるというか。古都子が前を向いてお客さんに届けている言葉は、意外と、後ろにいる僕らにも届いているんですよね。
佐藤 へえ……!
浦山 自分たちはやっぱり観てもらう側だから「強くいなきゃ」「気張らなきゃ」「楽曲で力強く見せて」とか、いろいろ思っていたけど、「弱いままでもいい」と言われてちょっとホッとしたというか。だったら、できないことはできないと歌詞で言ってもいい。今まで使ってなかった言葉や語彙も使えるようになりましたね。
佐藤 <恋人>ってワード、私はよく使うけど、蓮は今回初めて使ったよね? 「生活」の歌詞を蓮から渡されたときに気がついて。
浦山 <恋人>って普遍的だからこそ、使い方ひとつでダサくなってしまう語彙だと思っていて。今までもずっと使いたかったけど、自分が納得できる形で入れることができなかったんですよ。今回は「生活」というタイトルから先に決まって。日々のことを思い浮かべながら歌詞を考えるなかで、普遍的な言葉も自然と入れることができて。
── 浦山さんの書いた5曲で5通りの生活を歌ったあと、佐藤さんの書いた「僕らは孤独だ」で全体を束ねる流れが美しいなと思いました。
佐藤 歌詞を書き始めたのは去年の7月ごろだったんですけど……「そういえば人って、他者とひとつになることは不可能なんだな」「それって孤独じゃない?」とふと思ったんですよね。友達やメンバーに聞くと、みんな「孤独」という言葉をマイナスなイメージで捉えていると言うけど、私の中にはそこまで負のイメージがないんですよ。
── そうなんですか。
佐藤 人っていつかは死ぬし、絶対に誰ともひとつになれない。でも、「それを意味もなく消費するのってもったいないな」「どうせなら、自分のやりたいことをやって、のんきに自分らしく生きて、死にたいな」と私は思うので。この曲の歌詞も、そんなことを考えながら書きました。
浦山 面白い考え方ですよね。〈死に絶えるまでの時間は、孤独を遊び尽くす為にある〉というBメロの歌詞が、そのまま佐藤古都子のキャッチコピーだなって。この曲を受け取って自分もいろいろ考えたんですけど、確かに、こう考えながら生きた方がちょっと心が軽くなるなと。孤独をネガティブに捉えていないから、タイトルも「僕ら」なんだろうなと思いました。
内田 孤独なのに複数形って矛盾してるからね。それが面白い。

── 終盤の〈引き寄せ合って見つけたから、/孤独を絡めて息を吸う〉という歌詞も印象的でした。
佐藤 人と人との繋がりって、いろいろな形があるじゃないですか。恋人とか、友達とか、親子とか。お客さんと私たちもそうだけど、何かの縁で私たちを見つけて、繋がり続けていてくれてるんだろうな……と思いながら、この歌詞を書きましたね。どれだけ深く繋がったとしても結局は孤独だけど、私はそこに寂しさよりも面白さを感じるんです。例えばyutoriの曲を受け取った人が、私たちとはまったく違うイメージを描いていたとしても、「そういう見方もあるんだ、面白いね!」と思うし。
浦山 俺もそう思うな。だからこそ「お互いを理解しすぎなくてもいいんじゃない?」と思うし、無理にこっちに寄り添おうとするよりも、その人自身の感情を大事にしてくれた方がうれしい。それはバンドも一緒で。全員が100%同じことを考えているわけじゃないからこそ、各々の考えを曲に昇華したときに、面白いことが起きるんですよね。
── 今回の制作中にも、そういった面白さを実感する瞬間はありましたか?
浦山 たくさんありました。俺ひとりで全部作ることもできるけど、各々の個性がちょっとはみ出ていて、寄り道してゴールに辿り着くから、yutoriの楽曲って面白い。お互いに対して許せる範囲が広がったというか、素直に「いいね」と言えるようになったのが、今までとの大きな違いかと。
豊田 ベースラインに対しても、今回はそこまで細かくオーダーされなくて。僕は「コンポーザーを『おっ!』って言わせたいな」と思いながら、いつも家で爪弾いているわけですけど、実際にレコーディングに行ったら「おおっ!」って言ってもらえたので、「よっしゃ!」ってなりました。

内田 太一は洋邦問わずポップスをよく聴いているので、明るめのフレーズを準備してくることが多いんですよ。今回はちょっと倦怠感のある曲も多いから、蓮と少しやりとりしてはいたけど……。
浦山 それも「なるほど、そういうアプローチもあるのね。だったら、ここだけちょっと変えてみようか」くらいで。今までだったら「いや、違う。もっと暗く」って言ってたと思うんですけど、今回は言い過ぎないようにしました。メンバーが考えてきたアレンジを聴くと、ひとつの曲から受け取る感情って人それぞれ違うんだなと改めて思うんですよ。そういう各々の個性を、面白いから信じることにしたというか。内田さんもね、最近ずっと悩んでいる様子だったけど、「村人A」のリードギターを作る過程でそれを打開して。
内田 「村人A」についてはいいものが作れたと思っているんですけど、ゴールまでの道のりはすごく長かった……。「最近なんか凝り固まってるな」と自分でも思いながら作り続けていたんですよ。
浦山 そのモヤモヤはこっちにも伝わってきて。最初に作ってもらったフレーズは、カッコ悪いわけじゃなかったけど、「いいね」とは言えず、「うーん」としか返せなくて……。
内田 俺も「だよね」みたいな。そういう状況が続いたので、周りのギタリストに「凝り固まったとき、どうしてる?」と聞いたんですよ。今まではずっと同じ先輩に質問していたけど、今回はちょっと視野を広げて、いろいろな人に質問して。そしたら新しい視点を得ることができて、自分の中でも考えが定まった。それをギターフレーズにも反映させたら、蓮から「いい」と言ってもらえたんです。
浦山 ギターフレーズからしっかり自信が見えて。「人って短期間でこんなに変わるんだ」と思いましたね。
内田 あははは。「村人A」は自分にとって変革のポイントでした。曲には自分の感情がそのまま、全部出るんだなと体感しましたね。逆に「僕らは孤独だ」は、今のところ、自分からちょっと離れた位置にある曲で。歌詞に完全に共感できているわけでもない。でも演奏することで、理解できた部分もあったんですよね。これからライブで演奏して、お客さんたちと作り上げるなかで、自分たちの解釈もまた変わっていくだろうし。いろいろな人に届ける過程で、少しずつ完成していく曲なんじゃないかと。
佐藤 そうだね。ライブの中で熟成させたい曲。
── 3月28日(土)から、全国ツアー『yutori ONEMAN TOUR 2026"Bless you!"』が始まりますね。
内田 去年はワンマンツアー『One call away』のあと、5周年記念ライブ『yutori 5th Anniversary "MODE"』を開催したんですけど、周年ではMCで全部を説明せずに、楽曲や空気感で伝える方向にシフトしてみて。「こういう戦い方もできるんだな」と知ることができたんですよね。
浦山 ワンマンツアーはキャパがどんどん上がっている分、背筋がピンとしちゃう部分もあるけど、周年のときはゆかりのある土地でのライブだったから、「ふう」とひと息つくような感覚で演奏できて。背筋を伸ばしてやるよさも、ラフにやるよさも知ったから、今年のツアーはそのミックスのような……鎧を着ながらお客さんに寄り添いに行くような塩梅でやれそうだなと思っています。

── 初の海外ワンマンとなる、台北&ソウル公演もありますね。
佐藤 「スピード」をリリースしたことをきっかけに、海外からのお客さんが増えて。イギリスから来てくださる方もいたし、それこそ台北やソウルから来てくださる方もいました。
浦山 海外にもちょっとずつ広がってるねっていう話は、メンバー間でよくしていたので、声をやっと直接聞きに行けるのがうれしいですね。
豊田 僕ら海外でのライブは初めてなんですけど、周りのバンドマンの方々から、「海外のライブはヤバいよ」「お客さんがめちゃくちゃ盛り上げてくれる」と聞いていて。日本語を知らない方も多いだろうけど、言語を超えて、音楽の力で繋がれると思うと楽しみです。
内田 古都子は、言葉が通じなくても届けられるボーカリストだと思うので。
佐藤 うれしい。私は自己紹介の言葉とか、お勉強してから行きたいなと思っていて。MCでは、お客さんと現地の言葉でコミュニケーションをとれるように頑張りたいですね。
内田 こないだセトリについて話し合っていたら、「あれもやりたい」「これもやりたい」って20曲以上になっちゃって(笑)。すごく楽しみですね。
── 結成5周年を超えて、新たなフェーズに入りましたね。
浦山 振り返れば、自分たちの心がバンドに追いつくまでに5年かかったなって。
佐藤 そうね。まさかここまでバンドを続けるとは思っていなかったし。
浦山 聴いてくれる人に手を差し伸べられるのかという葛藤がずっとあったけど、メジャーデビューして、ライブのキャパが大きくなるにつれて、ちょっとずつ自信がついて。「あなたに寄り添いたい」という気持ちが芽生えたタイミングで、最初の5年間が終わった感じがします。この思いを6~10年目でもっと昇華できたら、唯一無二のバンドになれるんじゃないかと。
★yutoriのサイン色紙を3名様にプレゼント!

【応募方法】
①ぴあ音楽編集部・Xから応募
・ぴあ音楽編集部(@OngakuPia)のXアカウントをフォロー。
・該当ポストを応募締め切りまでにリポストしてください。
\✨🎁プレゼント🎁✨/
— ぴあ 音楽編集部 (@OngakuPia) March 4, 2026
yutori サイン色紙 3名様
応募方法📮
・ぴあ音楽編集部(@OngakuPia)フォロー
・当ポストをリポスト
・応募締切:2026年3月18日(水) 23:59まで
インタビューはこちら📝https://t.co/04EKQmsOWT#yutori@yutori__band pic.twitter.com/AFgKiYLrWe
【応募締め切り】
2026年3月18日(水) 23:59まで
【注意事項】
※当選者の方には3月20日(金)以降にXアカウントよりDMにてご連絡いたします。やむを得ない事情によりご連絡や発送が遅れる場合もございますのであらかじめご了承ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
②ぴあ音楽編集部・Instagramから応募
・ぴあ音楽編集部のInstagram(music__pia)フォロワー限定。
・該当投稿のコメント欄にお好きな絵文字をお送りください。
【応募締め切り】
2026年3月18日(水) 23:59まで
【注意事項】
※当選者の方には3月20日(金)以降、InstagramアカウントよりDMにてご連絡いたします。発送先等の情報を頂くために、問合せメールをご連絡します。ご自身のメールアドレスや住所などの個人情報をDMに記載しないようにご注意ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※既にフォローをいただいている方もご応募の対象となります。
※応募するInstagramアカウントを公開状態にしてください。
※日本国内に在住し、郵便物・宅配物の受け取りが可能であることをご確認ください。
※このキャンペーンにInstagram(META社)の関連はございません。
<リリース情報>
ミニアルバム
『心の微熱』
3月4日(水) 配信リリース
配信リンク:https://kmu.lnk.to/KnB
【収録曲】
1.村人A
2.数%のハッピーエンド
3.爪色とグラスの縁
4.生活
5.愛してるって嘘ついた
6.僕らは孤独だ
<ツアー情報>
『yutori ONEMAN TOUR 2026"Bless you!"』
3月28日(土) 福岡・DRUM Be-1
3月29日(日) 広島・SIX ONE Live STAR
4月4日(土) 香川・高松DIME
4月18日(土) 新潟・GOLDEN PIGS RED
5月9日(土) 北海道・SPiCE SAPPORO
5月17日(日) 宮城・仙台darwin
5月30日(土) 大阪・GORILLA HALL
5月31日(日) 愛知・DIAMOND HALL
6月7日(日) 神奈川・KT Zepp Yokohama
【チケット情報】
スタンディング:5,000円(税込/ドリンク代別)
スタンディング:5,500円(税込/ドリンク代別) ※大阪・愛知・神奈川公演のみ
2階指定席:5,500円(税込/ドリンク代別) ※神奈川公演のみ
https://w.pia.jp/t/yutori2026/
『yutori ONEMAN TOUR 2026"Bless you!"Extra Show』
6月21日(日) 台湾・台北 MOONDOG
6月27日(土) 韓国・ソウル Musinsa Garage
※チケット情報はオフィシャルサイトをご確認ください。
yutori オフィシャルサイト
フォトギャラリー(10件)
すべて見る関連動画
すべて見る

