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森公美子、13年目のデロリス役は明治座で! 『天使にラブ・ソングを』で見つけた「無償の愛」

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森公美子 (撮影:岩村美佳)

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ウーピー・ゴールドバーグ主演の大ヒット同名映画を、アラン・メンケン(『リトル・マーメイド』『アラジン』『美女と野獣』)のオリジナル楽曲とともにミュージカル化した『天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~』 が、2026年3月25日(水)、明治座で幕を開ける。

2014年の日本初演からたびたび上演が繰り返され、今回が6回目の上演となる同作で、初演以来、デロリス役を演じているのが森公美子だ。森は初演時に、同役の演技などで菊田一夫演劇賞を受賞。デロリス役は、『レ・ミゼラブル』のマダム・テナルディエ役と共に、森の当たり役のひとつとなっている。13年目のデロリス役、そして本作初となる明治座での上演に挑む現在の心境、作品への魅力を聞いた。

「前回で最後にしようと思っていた」――明治座で挑む、嘘のつけない芝居

──森さんは、2014年の『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』日本初演時から、主人公のデロリス役を務めています。あれから12年。今回、6回目の出演となりますが、初演時にはこれだけ長くデロリスという役を演じることを想像していました?

 全然ですよ、まったく考えてなかったです! ただ、出演する前、アメリカでこの作品を見て、また、稽古や公演を重ねていくなかで、作品の素晴らしさを実感するようになりました。何度も観たくなる作品です。

──これまでのインタビューからも、森さんの作品への思い入れの強さが伝わってきます。ずばりこの作品のどんなところに惚れ込んでいらっしゃるのでしょう?

 いろいろなインタビューでお話させていただいているのですが、初演の際、それまで未知の存在だったシスターという方々について知りたくて、修道院にお邪魔させてもらったんです。一口に修道院といってもいろいろな修道院があるのですが、私たちが伺ったのは、“祈る”という行為を何より大切にしている修道院でした。そこで、私、聞いてみたんですよ、「どういった気持ちでお祈りしているんですか」って。すると、「みなさんが健康でありますように」「こうして出会った方が幸せでありますように」と祈っているとおっしゃるんです。で、私、「自分のことは祈らないんですか」って聞いたんですね。そうしたら、「健康でいられるのは神様のおかげです。神様にも周囲の方々にも感謝しています」と。すごくないですか? 自分に与えられた試練も、神様の御業だと考えているんです。彼女たちにとって祈りは感謝の表れなんです。そういう境地に自分がなれるかと問われれば、なかなかなれません。

──森さん演じるデロリスは、そんな中に飛び込んでいくわけですね。

 デロリス・ヴァン・カルティエは、クラブの歌い手のオーディションにさえ落ちてしまうような、売れない歌手です。ずっと「自分さえ良ければいい」と思って生きてきた彼女がシスターたちと出会ったことで変わっていく──。エンターテインメントですから宗教的な側面はあまり深掘りしていませんが、シスターたちに愛を与えられ、変化していくデロリスの姿が感動的で、あまりに素敵で。毎回ラストは泣いてしまいます。思い出しただけでも泣けてきちゃった(と涙ぐむ)。日本版の演出がまたいいんですよ。(日本初演から演出を務めている)山田和也さんが作る日本版は骨組みがしっかりしていて、単なるショーではなく、芝居としてきちんと成立しています。

デロリスを演じる森公美子さん(中央)(写真提供/東宝演劇部)

──森さんがデロリスを演じるのは今回が6回目となりますが、明治座での上演は初となりますね。

 そうなんです! 実は(デロリス役での出演は)前回で最後にしようと思っていたのですが、明治座での上演ということも、今回の出演の決め手となりました。明治座の幟(のぼり)にもなりたかったですし(笑)。

明治座って、劇場の構造上、舞台上のすべてがお客様に見えてしまうんですよ。たとえば、自分がセンターにいない時の芝居もごまかしがききません。芝居から歌に、歌から芝居への移行がより自然であることが求められます。自分のなかできちんと気持ちを作っていかないと嘘になってしまうんですよ。歌にしろ、芝居にしろ、これまで以上に細やかな作業をしていかないといけないと思っていて、そこに明治座でやることの意味があると思うんですね。楽曲にしても、ここはもうちょっと伸ばせたのではないかという前回の心残りがあって、今そこをどう埋めていこうかと模索しています。

長年演じたからこそみえてきた、『レ・ミゼラブル』から繋がる独自の役解釈

──同じ役を演じていても公演ごとに進化を重ねていく──。森さんは、『レ・ミゼラブル』でも、1997年からマダム・テナルディエ役を演じています。長年同じ役を演じる楽しさや難しさはそういったところにあるのでしょうか。

 そうなんですよ!そして、何度演じても正解がわからない、というか、そもそも正解はないのかもしれません。お芝居って相手役にもよるし、その日その日の空気、客席の雰囲気もあって、毎日、正解が変わるんです。たとえば、『レ・ミゼラブル』なら、マダム・テナルディエの、リトル・コゼットやリトル・エポニーヌへの接し方も違ってきます。時には、「子どもの扱いがなっていない」とお叱りをいただくこともあります。

──ええ!?お芝居の中でのことなのに(笑)。

 『レ・ミゼラブル』の話を続けてしまうけれど、リトル・コゼットが着ている、かわいらしいブルーの服があるでしょう? 私の勝手な解釈なのですが、あのお洋服と帽子は、ファンテーヌが身を売ってまで稼いだお金で購入して、コゼットに贈ったものだと思っています。あとね、子どもって辛い記憶を上書きすることができるんですよ。パリで再会した時、エポニーヌはコゼットに気づきますが、コゼットはエポニーヌや、マダム・テナルディエを見ても、「見覚えあるな。どこかで会ったのかな」くらいには思っても、子どもの頃の記憶とはつながりません。あ、そういった演出があったわけではないですよ、あくまでも私の解釈ですが、確信しています(笑)。あと、クライマックスのバルジャンの臨終のシーン。なぜファンテーヌとエポニーヌが迎えに来るか、わかります?

──ぜひ聞きたいです。いろいろな解釈がありますが、公式には意図は明らかにされてないですよね? てっきり女性の重唱が必要だったからと思っていました(笑)。

 これも誰に言われたわけでもない、私独自の解釈なのですが、人は亡くなった後も、愛する人の側にずっといるということだと思っています。コゼットのそばにはファンテーヌがいて、マリウスのそばにはエポニーヌがいる。天に召されたバルジャンがふと顔をあげると、最初に助けてくれた神父様が微笑んでいる──。私、ここでいつも涙が出て来てしまうんですよ。あ、大変、今日、私、付けまつ毛をしているんだった(笑)。

──深いですね。長年、演じてきた森さんならではの解釈、ぜひもっと聞かせてほしいです(笑)。13年目、そして6回目となるデロリス役については、長年演じて来たからこその新たな気付きはありますか。

 ある! ものすごくありますよ! 最近、グッとくるのは修道院長とデロリスの関係性ですね。修道院長は、最初、デロリスのことを嫌っています。これまで会ったことのなかった、あまりに異質な存在であるデロリスを受け入れられないのでしょう。でもある時、修道院長、そしてほかのシスターたちは、デロリスを受け入れ、命をかけて助けてくれます。その瞬間、これまで本当の愛を知らなかったデロリスが、初めて人を愛するというのはどういうことかを知るんです。あっさり演じたくないシーンのひとつです。神様から無償の愛をもらっていたシスターたちは、デロリスにも無償の愛をわけ与えてくれた。愛をもらったデロリスは、今度はその愛をどう返していくか──。それを描くために、映画版の『天使にラブ・ソングを2』ができたんじゃないかな(笑)。違ったらごめんなさい。でも私は13年の歳月をかけて、この結論に行きつきました。

修道院長を演じる鳳蘭さん(左)(写真提供/東宝演劇部)

「小さな気づき」が起こす奇跡を、アラン・メンケンの極上ナンバーに乗せて

──そんな、深い愛の物語を、さらにドラマチックに彩るのが音楽の力です。本作は、希代のメロディーメーカーと言われる、アラン・メンケンの楽曲が奏でられる贅沢なミュージカルですよね。

 ミュージカル化にあたり、(映画版で主演し、ミュージカル版のプロデューサーを務めた)ウーピー・ゴールドバーグは、「アラン・メンケンしか、この作品の楽曲は作れない」と、メンケンを指名したと聞いています。映画そのものの完成度が高いので、正直、誰が楽曲を担当してもある程度はうまくいくはずなんですよ(笑)。ただ、ウーピーは、この作品を後世まで残したいという思いで、メンケンに白羽の矢を立てたのだと思うんです。すごくお芝居を大切にされて、お芝居を育てていきたいという思いのある方なんでしょうね。実際に歌っていると、「多くの人に楽しんでほしい」という、ウーピーやメンケンの気持ちが伝わってきます。メンケンは、とても苦労して楽曲を書いたそうですよ。この作品のためにモータウン系の音楽も勉強したとか。

私に何ができるかはわかりませんが、そうやって紡ぎ出された楽曲、そして作品そのものを通して、この作品の大きなテーマである愛を伝えられるように精一杯頑張ります。デロリスが、シスターが愛ゆえに変わっていく姿、ぜひご覧いただきたいです。しつこくてごめんなさい。繰り返しになりますが、鳳蘭さんが演じる修道院長の変化が本当に泣けるんですよ。修道院長、いちばん美味しい役だと思います(笑)。何年後かに、私も演じてみたいですね。

──ぜひ、新帝国劇場で!

 いいですね、ちょっと身長が足りないけど(笑)、ぜひやってみたいです。

──改めて、今回、明治座での上演となる、『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』の魅力を教えてください。

 小さな気づきが自分を、そして周囲の人々を変えていった奇跡のお話です。といっても、こればっかりは見てもらわないとわからないかな(笑)。予習の必要がないミュージカルですから、ぜひ気軽な気持ちでご覧ください。メンケンの音楽にどっぷり浸かるだけでも明治座に足を運ぶ価値はあると思います。

取材・文:長谷川あや 撮影:岩村美佳


<公演情報>
『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』

音楽:アラン・メンケン
歌詞:グレン・スレイター
脚本:シェリ・シュタインケルナー&ビル・シュタインケルナー
追加脚本:ダグラス・カーター・ビーン
原作:タッチストーン・ピクチャーズ映画『天使にラブ・ソングを...』(脚本:ジョセフ・ハワード)
演出:山田和也/鈴木ひがし

出演:
森公美子/彩風咲奈
石井一孝/廣瀬友祐、松村雄基、梅田彩佳
岡田亮輔、施鐘泰、山崎大輝、柳本奈都子、河合篤子、家塚敦子
保坂知寿、太川陽介、鳳 蘭 ほか

【東京公演】
2026年3月25日(水)~4月21日(火)
会場:明治座

【大阪公演】
2026年5月5日(火・祝)〜7日(木)
会場:梅田芸術劇場 メインホール

【長野公演】
2026年5月15日(金)・16日(土)
会場:サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホール

【宮城公演】
2026年5月23日(土)・24日(日)
会場:仙台銀行ホール イズミティ21(仙台市泉文化創造センター) 大ホール

【愛知公演】
2026年5月29日(金)〜31日(日)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/sister-act2026/

公式サイト:
https://www.tohostage.com/sister_act/

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