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シリーズの生みの親、西野亮廣が語る
『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』

映画
PR 第3回 2026年3月18日
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ベルリン国際映画祭のワールドプレミア上映に登壇した西野亮廣

『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』が、ベルリン国際映画祭のワールドプレミア上映を経て、いよいよ 3月27日(金)から公開になる。本作は、2020年に公開された『映画 えんとつ町のプペル』に続くシリーズ最新作で、引き続き西野亮廣が製作総指揮、原作、脚本を手がけている。

シリーズの生みの親である西野にとって本作は単なる“作品”ではない。彼にとって『えんとつ町のプペル』シリーズは、自身の想いと夢を実現させるために欠かせないものであり、仲間と共に創作をする空間であり、多くのファンの期待に応えるための場所でもあるのだ。西野は6年をかけた新作で何を描くのか? 本シリーズはどこへ向かうのか?

「一緒にいる仲間の存在が本当に大きい」

世の中には、芸人やタレントが小説や絵本を執筆するケースは多く、高評価を得た作品も多い。しかし、西野亮廣にとって『映画 えんとつ町のプペル』の誕生と成功は、それ以上の意味を持つのではないだろうか。

「確かにそうですね。映画を企画して完成して上映しました、以上の存在です。自分が芸人としキャリアをスタートさせて、何をやっても叩かれる時期があったんですよ。絵本を描いては叩かれ、クラウドファンディングをやっては叩かれ、とにかくやることすべてが叩かれて、そんな中で自分の気持ちに決着をつけにいく、みたいな気持ちがあの映画にはあったのかもしれないです。

だから、あの映画には10何年分かの想いが乗っかっていたと思いますし、今になって振り返ると、“怒り”だったり“悔しさ”みたいなものも心の中にあったと思います」

興味深いのは、完成した『映画 えんとつ町のプペル』には西野の怒りや、相手を見返してやりたい、という気持ちが微塵も感じられないことだ。彼は悔しさや哀しみを感じてはいたが “夢を信じ続ける”主人公の物語をまっすぐに描ききった。

「そうかもしれないですね。理由はシンプルなんです。僕は圧倒的にハッピーエンドが好きなんですよ(笑)。だから、自分が映画をつくる以上、そこはしっかりと観てくれる方に約束したい、という想いはありました。

それから、やっぱり“観に来てくれる人の顔がちゃんと想像できた”というのは大きかったと思います。例えばですけど、個展を開くとファンの方が家族で来てくれるんですね。僕はオンラインサロンもやってますから、そこの方も来てくれる。お客さんとの距離が近いんです。だから誰それさんの家に新しい子どもが生まれた、みたいなことも知っていますし、僕が映画をつくったら、あの家の子は4歳から5歳になったばっかりなんで、映画館に観に来てくれる、みたいなことがわかるんですよ。観に来てくれる人の顔が思い浮かぶ状態で作品をつくっているんで、毒々しいものは描きたくないし、血が出たりするような場面は一切、やりたくないって思うんです。

それは、映画をつくる過程でも同じで、僕はこの映画のスタッフさんに子どもが生まれたことも知ってますし、その人の家にお邪魔したり、子どもにも会ってますし、スタッフと一緒に年末年始を過ごしたりもするんです。だから映画が完成したら、スタッフだけでなくて、その子どもたちも観てくれる。そう思うと、怒りだったり、トゲトゲしいものは描きたくはない、って思うんですよね。もしかしたら、自分がひとりで小説を書く、みたいなことだったら、トゲの残ったものが世の中に出ていたかもしれないです」

西野亮廣と廣田裕介監督。会場ではサインを求めるファンの姿も!

『えんとつ町のプペル』は、基になった絵本の誕生過程から多くの仲間たちが集い、西野は“具体的に顔の見える相手”を想いながら創作を続けることができた。そして、映画も集団創作。完成までに多くの人の手が加わり、考えが集まり、長い時間をかけて完成する。この過程と、西野の想いが見事にマッチしたのが『映画 えんとつ町のプペル』だ。だからこそ、新作をつくる動機は“前作以上の成功”ではないだろう。

「そうですね。やっぱり一緒にいる仲間の存在が本当に大きくて、彼らと離れたくなかったんですよね(笑)。次の映画をつくらないと彼らと一緒にいられない。映画について話し合ったり、飲みながらあれこれ言い合ったりする時間が本当に楽しかったので、あれがなくなってしまうのがイヤだなぁ、と。それは新作をつくる上での一番大きなモチベーションとしてありました」

西野は本シリーズの“生みの親”で、彼の意思や想い、アイデアが隅々までつまっている。しかし、西野ひとりでは本シリーズは生まれなかった。一緒に行動してくれる仲間がいる、友達がいる。西野の想いは、劇中で主人公ルビッチがたどるドラマと見事にシンクロする。

『映画 えんとつ町のプペル』シリーズが宿す“唯一無二”の魅力

だからこそ、最新作『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』は、通常のシリーズ映画の“続編”とは異なる発想と想いを携えて創作が進められたようだ。

「新作をやる以上は、前作を超えなきゃいけないと思いましたし、仮に大コケするようなことになったとしても、前作とはまったく違うことをしたい。前と同じ打ち方でバットを持っても、前作を超えることはできないと思っていました」

前作では、タイトルの通り“えんとつ町”が舞台で、主人公の少年ルビッチと親友のプペルの冒険と友情が描かれたが、『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』では、ルビッチはプペルとははなればなれになっており、新たな世界“千年砦”が舞台だ。新キャラクターも登場し、観客のまだ知らない、新たな物語が描かれる。西野はシリーズの手ざわりや世界観、トーンを保ったまま“新しいフェーズ”を描くため、数年をかけて脚本を磨き上げていった。本作の脚本の第3稿と第4稿をネットに公開して感想を募り、スタッフとも話し合いを重ねて、脚本を執筆した。

「僕が芸人というのが大きいと思うんですけど“完成したネタを出す”という発想がまったくないんです。とにかく劇場で観客を前にネタをやって、その反応を見ながら1年、2年と時間をかけてネタをブラッシュアップしていく、というのが自然なんです。だから、ネットに脚本を公開したのも、奇をてらってるということではまったくなくて、対話をしながら作品をつくっていくことが僕にとっては普通なんです。

とは言え、他の場所でも言ってることなんですけど、多数決はしないんです。多数決するならリーダーはいらないってことになるので。ただ、全員の意見は必ず聞きます。いま、ニューヨークでミュージカルをつくってるんですけど、そこで聞いた“best idea win(最高のアイデアが勝つ)”って言葉がめっちゃ好きなんですよ。そのアイデアが僕のものであれ、監督のものであれ、衣裳さんのアイデアであれ構わない。大事なのは、最も良いアイデアが勝つ。だから、この映画でも僕のアイデアが勝つときもありますし、廣田(裕介)監督のアイデアがベストのこともある。そこは大きいです」

西野は作品を育てるために、創作の“仕組み”をゼロから作り上げた。作品を仲間や観客と分かち合い、良いアイデアが集まってくる環境をつくることに力を注いだ。通常の映画のようにベストセラー本をアニメーション映画にしても、『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』のような作品にはならない。この面白さはこの仕組みからしか生まれない。本作には少し不思議な“規格外”の魅力があるのだ。

「普通なら新作映画が公開になると、主題歌も新しくなるじゃないですか。でも、今回の映画も主題歌は同じなんですよ(笑)。新しい主題歌になることでPRの機会が増えるのかもしれないですけど、僕としては“あの曲が来た!”という展開が好きなんですよね。

主題歌を歌ってるロザリーナは、そもそも絵本を描いているときに開いた個展に遊びに来た子なんです。その時はまだデビュー前だったんですけど、彼女の歌声がめちゃくちゃ良くて、この映画の主題歌を歌ってほしい!ってお願いして、曲をつくって彼女に歌ってもらって、それをアトリエで聴きながら絵本を描き、映画の脚本も書いた。要するに絵本も脚本もこの曲に”あて書き”している状態なんです。だから、新しい映画になっても、この曲以外は合わないんですよね」

通常の映画であれば、それでも新主題歌を用意するかもしれない。しかし、本作では、作り手の想いのこもった曲が何度でも主題歌になる。その意図をスタッフもキャストも共有して映画づくりが進んでいく。本作は作り方も完成した映画も“唯一無二”なのだ。

大きいことやろうと思ったら “待つ覚悟”をしないといけない

その上で西野は、最新作で主人公ルビッチが“信じて待つ”物語を描いた。親友プペルとはなればなれになってしまったルビッチはなぜ、友達を待つのか? 彼はなぜ待つことを諦めなかったのか? 観る者のハートをギュッと掴むドラマの奥底には西野個人の想いがつまっている。

「これはもう完全に個人的な話ですけど、芸人をはじめて2、3年目ぐらいに相方の梶原(雄太)くんが失踪しちゃって活動休止になったことがありました。僕は2、3か月部屋にひとりでいて、事務所から“お前、ひとりで続けるか?”って言われたんですけど、ここでひとりで始めたら、梶原くんが戻ってくる場所がなくなっちゃうなと思ったんです。僕は梶原くんと一緒にいた時間が好きでしたし、帰ってくるかどうかはわからないけど、僕が待っていないと帰ってこられないと思ったんです。だから、僕は“待つ”って覚悟を決めました。今から振り返ると、人生で一番覚悟を要した瞬間はこの時だったと思うんです。帰ってくるかどうかわからない相手を信じて待つって大変な覚悟じゃないですか。

で、その後、帰ってきた梶原くんが活躍したかというと、してないんですよ(笑)。やっぱり梶原くんはテレビの仕事が苦手なままで、そこから14、5年経って、やっと梶原くんがユーチューバー“カジサック”になって、自立して頑張るようになった。だから僕としては17年ぐらい梶原くんのことを待っていたと思うんです。

でも、改めて思うのは、いま、自分がこうしてメディアの仕事をはなれて作品を作ったり、海外でやれているのは、梶原くんが日本で頑張ってくれているのがすごく大きいんです。彼がいてくれるおかげで僕には戻ってくる場所がある。だから17年待って良かったな、って思ったんです。もし、あの時、梶原くんのことを信じて待っていなかったら、自分は今みたいな活動はできてなかったと思うんですよね。

“早く行きたければ、ひとりで行け。遠くに行きたければ、みんなで行け”って言葉がありますけど、まさにあれだなと思っていて。大きいことやろうと思ったら、どこかで“待つ覚悟”をしないといけないと思ったんです」

『映画 えんとつ町のプペル』シリーズは、西野の“偽らざる想い”と、多数の人たちから寄せられるアイデア、本作にしかできない“作品づくりの仕組み”によって、他にはマネのできない作品になった。

長い時間をかけてついに第2作目が完成したが、人気シリーズの多くは三部作。西野の想いはすでに“次回作”に向かっている。

「そうですね。やっぱり描かないといけないと思っていますし、ルビッチとプペルの物語に決着をつけないといけない。そこは宿題だと思っています」

映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~

3月27日(金)公開 (C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

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