『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』の注目ポイント
2020年に公開され大ヒットを記録した『映画 えんとつ町のプペル』に続くシリーズ最新作『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』が、3月27日(金)から公開になる。
新作では、夢を信じ、自分の信じる道を突き進んできた少年ルビッチの新たな冒険が描かれ、彼が友達プペルと再び出会うまでのドラマが描かれる。
ルビッチの新たな冒険がはじまる!
空を覆っていた煙が晴れて、夜になると星空が広がるようになったえんとつ町では、みんなが穏やかに暮らしていた。しかし、ルビッチは親友のプペルを失い、“同じ場所”に立ち止まったまま前に進むことができずにいる。
そんなある日、ルビッチは大事にしていたブレスレットをネズミに奪われ、追いかけているうちになぜか”えんとつ町”ではない不思議な世界に迷い込む。そこはすべての時を支配する異世界“千年砦”だった。偶然に出会った異世界ネコのモフと行動を共にすることになったルビッチは、この世界を司る女王ネズミのホーラに出会う。
ホーラによると、この町では壊れた時計は処分される。しかし、空に浮かぶ巨大な時計を擁する時計台はなぜか壊れてもいないのに、針は“11時59分”で静止していた。ホーラはルビッチに「元の世界に戻る唯一の方法は、止まってしまった時計台を動かすこと」だと告げる。
ルビッチとモフは時計台の謎を探るために行動を開始し、時計師のガスと出会う。かつて、ガスは誰もが知る腕利きの時計師だった。しかし、ある日、彼は美しい歌声を持つ女性ナギに出会い、人生が大きく変化する。
時計の針が止まった世界で、ルビッチ、モフ、ガスらそれぞれの想いと人生の時計が交錯していく。そして、そのすべてが再び動き出した時、誰も予想しなかった奇跡の展開が巻き起こる。
“止まった時計”と重なり合う時間たち
最新作では、ルビッチがえんとつ町を飛び出して、新たな舞台“千年砦”で冒険を繰り広げる。この町にある時計台の時計は、壊れてもいないのに針が動かずに止まっている。
劇場には時計の短い針と長い針にまつわるエピソードが印象的に語られ、時計の文字盤や装飾、ふたつの針が回転しながら時を刻む動き、その内部で動く歯車などのモチーフが、様々なデザインをまとって描き出される。
本シリーズは魅力的なキャラクターや物語だけでなく、細部まで緻密に描き込まれた“作品世界そのもの”が大きな魅力だが、本作ではさらにグレードアップした世界が描き出される。様々なアイテムが高密度で積み上げられたエリアがあれば、広大な空間に不思議な建築物だけがそっと建っている場面もある。広い空に浮かぶ巨大な時計台のビジュアルも圧巻だ。
劇中ではルビッチと新たな相棒モフのドラマ、ガスとナギのドラマが並走して描かれるが、その後景は統一感がありながらも空間や色彩の設計にそれぞれ独自の工夫が凝らされている。シーンが変わるたびに新たに注目したくなるポイントがスクリーンに出現する。“プペル”シリーズの持つ観ているだけでワクワクする感覚が、新作ではさらにパワーアップしているのだ。
また、描かれる時計のモチーフが単なるデザインや背景ではなく、物語の内容としっかりとシンクロしているのもポイントだ。未見の方のために詳細は説明しないが、劇中に登場する時計や建物のデザインは、ルビッチやガスたちの心の中、秘めていた想いと関係がある。
ワクワクする世界に隠された"ドラマとのリンク”を探しながら、二度三度と楽しむのもオススメだ。
“信じて待つ”ことから見えてくるもの
『えんとつ町のプペル』シリーズはいつも“信じる”ことが重要なテーマになっている。周囲から何を言われても、自分の信じた道を進みたい。誰かのために自分の想いを貫きたい。そんな真っ直ぐな想いが本シリーズを支えているのだ。
新作の冒頭でルビッチは、親友のプペルを失い、立ち止まった状態だ。信じていれば、いつかまた会える。しかし、待っても待っても、その日はやって来ない。自分は再会を待てるのだろうか? ルビッチの中にかすかな迷いが芽生え始めたタイミングで、彼は異世界に迷い込み、そこで時計師のガスに出会う。彼もまた、ある人を信じて100年もの間待ち続けている人物だった。
本作の製作総指揮・原作・脚本を務めた西野亮廣は語る。
「物語の根底にあるのは、僕自身が20代前半に体験した、“遠くへ行ってしまい、もう帰ってこなくなった友人を、ただただ待ち続けた日々”です。あの日の記憶を掘り起こしながら、この物語を書きました」
ここで描かれるのは、作者が体験したリアルな感情だ。
しかし、“信じて待つ”ことは本当に難しい。
成功をおさめること、嫌いな相手を倒すことが目標であれば、自分で作戦を立てて、行動してゴールまで走ればいい。ところが目標が“信じて待つこと”になった瞬間、そこにあるハードルは想像以上に高くなる。いつ帰りが来るのかわからない、そもそも帰ってくるのかさえわからない。それでも人は“信じて待つ”ことができるだろうか?
ここで試されるのは、相手を信じる気持ちだ。
それは目に見えるものではない。しかし、本作ではルビッチの冒険を通じて、その想いが観客の中に静かに浮かび上がってくる展開になっている。様々な情報や周囲の声に心がかき乱されることが多い昨今、“信じて待つ”ことを描く本作は、多くの観客の心をとらえるだろう。

