片岡愛之助「妥協なき稽古で仕上がっている」 ルパン歌舞伎第2弾『流白浪燦星 碧翠の麗城(ルパン三世 へきすいのれいじょう)』新橋演舞場で開幕
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『流白浪燦星 碧翠の麗城(ルパン三世 へきすいのれいじょう)』より (左から)中村米吉、片岡愛之助
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すべて見る歌舞伎「流白浪燦星(ルパン三世)」の第2弾となる新作『流白浪燦星 碧翠の麗城(へきすいのれいじょう)』が2026年3月5日から、東京・新橋演舞場で上演中だ。
原作はご存知、モンキー・パンチによる『ルパン三世』シリーズ。1967年の連載開始以来、国内外で人気を集め、映画、テレビアニメ、ゲームなどあらゆるメディアで展開されており、誕生から60年近く経った現在も、その人気は衰え知らずだ。
2023年12月には、東京・新橋演舞場にて新作歌舞伎『流白浪燦星(ルパン三世)』が上演され、ルパンたちの活躍を歌舞伎の技法や演出を盛り込んで大胆に描き出し、大きな話題を呼ぶと、2025年9月には京都・南座で再演、さらにパワーアップされ、舞台で客席を沸かせた。本作『流白浪燦星 碧翠の麗城』はその第2弾となる。

本稿では3月4日に行われた公開舞台稽古の様子を、同日の取材会に出席した片岡愛之助、中村米吉、市川笑三郎、市川笑也、市川中車のコメントも交え、お届けしたい。ちなみに、3月4日は愛之助の54歳の誕生日。取材会の最後には、サプライズで特製ケーキが登場し、米吉から愛之助に54本のバラの花束が手渡された。
第2弾となる『流白浪燦星 碧翠の麗城』の舞台は、封建時代の「諏訪の国」。諏訪の太守、春宮家の息女・瀬織姫は、鎌倉初瀬寺で静かな日々を送っていたが、父の死によって、お家存続のため、執権の弾正と無理やり結婚させられることになる。そこへ、寺にがっぽり貯め込まれた金を盗みにルパン三世(流白浪燦星)がやってきて、ふたりは出会う。
前作に続き、主人公の流白浪燦星を演じるのは片岡愛之助。今回は流白浪に加えて、石川五ェ門の二役を演じ、舞台をさらに盛り上げる。
前作では尾上松也と尾上右近が五ェ門を勤め、ふんどし姿で丸裸になる場面もあったが、愛之助は「今回、僕も丸裸にされるのかとドキドキしていましたが、残念ながら(笑)なかった。ホッとしております」と安どの表情を浮かべる。二役ということで、見どころは「早替わり」。本編オープニングで早速、流白浪燦星/五ェ門の見事な早替わりを披露しているので、ぜひ注目してほしい。
あらすじや“城”を冠した題名から、とある『ルパン三世』映画を連想するファンもいるはず。冒頭で流白浪燦星が盗み出した小判が、実は偽物だったというシーンもあり、思わずニヤリとさせられる。同じシーンでは「最近は、金も高値で」といった時事ネタも盛り込まれており、新作歌舞伎ならではのフレキシブルな脚色も光っている。
「みんなの力を合わせて練りに練った物語。この場面はこうしたい、ああしたいと繰り返しお稽古をして続けてきました。新作でもここまで細かくやることはないんじゃないでしょうか。原作ファンの皆さんも、歌舞伎好きの方も『あっ、これは知ってる』というオマージュがいろんな場面にあるので、普段から歌舞伎をご覧になるお客様も、歌舞伎は初めてという方も、退屈せずに分かりやすく楽しめると思います」(愛之助)

その言葉通り、お馴染みの名セリフやルパン一味と銭形刑部の大捕り物といった原作のエッセンスに、先述した早替わり、迫力溢れる立ち回りや華麗な宙乗りといった歌舞伎らしい演出が見事に融合し、歌舞伎版『ルパン三世』の世界を体現している。まさに大スペクタクル。和楽器で演奏される、あのテーマ曲にもテンションが跳ね上がる。
第1弾の成功を経て、出演陣の演技にも自信がみなぎり、演出もよりダイナミックで大胆な進化を遂げている。「キャラクターがすっかり入っておりますので、方向性に迷うこともなく、僕自身も楽でした。前回はルパンというものを、どうやって歌舞伎に落とし込むのかという迷いの中だったので」(愛之助)
自由を夢見ていた深窓の姫に、流白浪燦星という風が吹いた時、幻の古城に秘められたお宝を巡る冒険が始まる。流白浪燦星と姫、淡く通っていくふたりの想いは、それぞれの定めの狭間で揺れ動く。
ヒロイン瀬織姫には中村米吉。新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』や『ファイナルファンタジーX』のヒロイン役で話題を呼んだ米吉が、物語を華やかに彩る。愛之助は「瀬織姫は米吉さんじゃないと勤まらない。熱烈オファーをさせていただいた。この可愛さ、ピュアさ、透き通る透明感が必要ですから」と起用の経緯を振り返る。

一方、米吉は「前回おやりになって、チームワークができている中に参加するのはプレッシャーもある」としつつ、「流白浪燦星と出会って物語が進むなかで、お姫様として、この座組に新しい空気をご提供できれば」と意気込みを語った。
心踊る冒険譚である『流白浪燦星 碧翠の麗城』だが、同時に流白浪燦星と瀬織姫のロマンスも重要な見せ場。愛之助は「ラブラブになってはいけない。淡い恋模様をお見せできれば」と語っており、実際、ふたりの切ない距離感は、歌舞伎との相性がとても良い。
囚われの姫を助けるため、流白浪燦星一味が立ち上がる。流白浪、次元、五ェ門、不二子が大敵の弾正と宝を争い、銭形がそれを追う。2023年の初演、2025年の再演に引き続き、次元大介を市川笑三郎、峰不二子を市川笑也、そして銭形刑部を市川中車が演じるなど、盤石の布陣が集結した。

笑三郎が「愛之助さんが二役なので、ずっとご一緒。その距離感をきっちりお見せできるよう、それを課題に、お芝居がさらに良くなるよう勤めたい」と抱負を語れば、愛之助は「頼りになる最高の相棒です」と全幅の信頼を寄せる。続けて、笑也は「今回、不二子のテーマは“エロ”です」と大胆発言。愛之助も「いつもはセクシーなんですが、今回はエロ」と語っており、前回とは趣の違う不二子の艶やかさに期待してほしい。
中車は「すごく強面で、あごが二つに割れているにも関わらず、お目目はパッチリ、下まつげはクリとしたイメージ」だと銭形像を語り、「なので、下まつげをきっちり描かせていただこうと思います。米吉さんには『フランケン?』って言われて(笑)」と苦笑い。すかさず、米吉は「(フランケンではなく)フランキーです、『ONE PIECE』の」と訂正し、報道陣の笑いをさらっていた。
「僕らが言うのもなんですが、妥協なき稽古で皆様に納得してもらえる、かなりいい風に仕上がっています。(来年2月の博多座まで)長丁場ですが、千秋楽まで全力で勤めてまいりたいと思います。この作品で、歌舞伎人生をスタートしていただいてもいいかなと思います。(ルパン三世の口調で)待ってるぜ~」(愛之助)
物語の鍵を握る瀧津弾正久永(たきつだんじょうひさなが)を中村錦之助(新橋演舞場・御園座)、坂東彌十郎(南座・博多座)、七藍屋雅吉実は守矢正之助(ななあいやまさきちじつはもりやまさのすけ)を市川猿弥、新橋演舞場公演では花屋久松を市川寿猿が演じる。自由を求める瀬織姫と古城のお宝を狙う流白浪燦星一味はどのように交差し、どんな活躍を見せてくれるのか、作品への期待が高まる。

取材・文/内田 涼
舞台写真/©モンキー・パンチ Ⓒ松竹
<公演情報>
『流白浪燦星 碧翠の麗城(ルパン三世 へきすいのれいじょう)』
〈東京公演〉
日程:2026年3月5日(木)~27日(金)
会場:新橋演舞場
〈愛知公演〉
日程:2026年4月3日(金)~26日(日)
会場:御園座
〈京都公演〉
日程:2026年9月2日(水)~26日(土)
会場:南座
〈福岡公演〉
日程:2027年2月6日(土)~26日(金)
会場:博多座
[原作]モンキー・パンチ(『ルパン三世』より)
[脚本・演出]戸部和久
[配役]
流白浪燦星/石川五ェ門:片岡愛之助
瀬織姫:中村米吉
峰不二子:市川笑也
次元大介:市川笑三郎
花屋久松:市川寿猿(新橋演舞場)
七藍屋雅吉実は守矢正之助:市川猿弥
銭形刑部:市川中車
瀧津弾正久永:中村錦之助(新橋演舞場・御園座) 坂東彌十郎(南座・博多座)
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/kabuki-lupin/
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