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『DUMB SHOW/ダム・ショー』柳家花緑×小西成弥 「“動く週刊文春”をのぞき見て楽しんでほしい」

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チケットぴあ

(左から)柳家花緑、小西成弥

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2004年にイギリスの劇作家ジョー・ペンホールにより発表され、ローレンス・オリヴィエ賞の最優秀新作賞にノミネートされた『DUMB SHOW / ダム・ショー』が4月に紀伊國屋ホールにて上演される。現実に起きたフェイクニュース事件に着想を得て、人気タレントが、投資を勧めるプライベートバンカーを装ったタブロイド紙の記者の罠にハメられていくさまを通して、ジャーナリズムの倫理観への疑義や人間の尊厳・善悪を描き出す本作。人気TVタレントのバリーを演じる柳家花緑とニュース編集者のグレッグを演じる小西成弥が意気込みを語った。

――花緑さんにとって、舞台出演は約10年ぶりとなります。10年ぶりに舞台出演を決めた理由を教えてください。

花緑 理由はたまたまオファーがあったからというだけです(笑)。10年空いたのも、なかなかタイミングが合わなかったというのがありまして。今回、ちょうどスケジュールが合ったということで、ご縁を感じて出演させていただくことになりました。

――戯曲を読んで、どのような印象を持ちましたか?

花緑 これはエラい話だなと(笑)。すごくイマドキな話で、いま、芸能人の“リアル”みたいなものをSNSやTVを通じて僕ら(視聴者)は見せられている時代じゃないですか? でも、この初演が22年前ということで、何も変わっていないんだなという。

――花緑さんは立場的には“芸能人”ですから、晒される側であるわけですけど、恐怖を感じた部分もあったのでは?

花緑 おかげさまで、この話を「面白い」と思えたのは、僕は彼(バリー)と同じような体験をしていないからですね(笑)。浮気もクスリも脱税もしていないというのが今回、この作品に出演することになったきっかけと言えると思います。もしやっていたら、ヤバいですよ(笑)。
“他人事”として演じていても、人間、どこかで絶対に後ろめたさって出てくると思うんです。「ないもの」の体験をさせていただけて、笑って演じられることにホッとしております。
とはいえ、身に覚えはなくとも、いろんな芸能人を見てきていますから「明日は我が身」みたいな怖さはありますよ。もしも事故みたいな形で何かに巻き込まれてレッテルを貼られたら、ずっと世間に「あの人ね」と言われるでしょうからね。

――小西さんは物語にどのような印象を持ちましたか?

小西 僕もこういうタイプの作品に出演するのは初めてなんです。週刊誌であったり、最近ではSNSで同じようなことが起きているじゃないですか? 僕自身、俳優という表に出る仕事をしているので、(SNSなどで)晒される側にいると言えますけど、客観的に見て、そういう現象は楽しいものではないな…と思っている部分がありました。
一人ひとりの人間が、ときに“モノ”のように扱われてしまったり、誰かのストレスのはけ口のように消費されてしまう場面を見ると、やはり胸が痛むことがあります。もちろん、報道には社会にとって必要な役割があると思っていますが、その一方で、人が人を消費してしまうような行き過ぎた側面については考えさせられることも多くて。そんな中で、今回自分が演じるのは記者の側ということで……。

花緑 自分が普段「イヤだな…」と思っている側を演じるんだもんね(笑)?

小西 そうなんですよ(苦笑)。特に今回、いつも以上に「普段の自分とは違う」という感覚があって、もちろんそれがお芝居の面白さでもあり、役作りも含めて楽しみでもあるんですが。

3人芝居ならではの醍醐味にも乞うご期待

――花緑さんはバリーという男に対してはどのような印象をお持ちですか?

花緑 人気タレントという立場ですけど、日本と欧米で、いわゆる“TV番組の司会者”という位置付けには違う部分がある思うんですよ。また、会話が進むにつれて、彼自身も少しずつ落ち目になっている部分なんかも見えてくる。
プライベートでは奥さんのことなど、いろいろ大変なことも起きていて……。終盤で、女性記者のリズから、ある事実について「なんでそんな大事なこと言わなかったんですか?」って問い詰められて「プライベートだからだよ!」って言い返すところがすごく印象的で好きですね。正義をかざして問い詰めてくるけど、そもそもの前提として、あっちの正義とこっちの正義が違うっていうのが見えてくるぶつかり合いがあって、もしかしたら観客の中にもリズの側の視点で見る人もいるかもしれない。
著名人のいろんな事実について「知らなければそれでいい」とは言えないかもしれないし、かといって、世間にそれを晒しても、誰も幸せにならないわけで。バリー役というより、この3人の関係性が、現代の社会の凝縮のような感じがしますよね。台本を読んでいるだけでは、どういうニュンス、どれくらいの強さで言ったらいいのかわからないセリフが多くて、それによってトーンもかなり変わってくると思います。

小西 現時点ではまだ戯曲上の言葉としてしか読めていないので、実際に稽古場でセリフとして発して、会話をした時に、その言葉とは裏腹の感情がたくさん出てきそうだなと感じています。稽古をすることでより立体的になっていく部分もあると思いますし、田村孝裕さん(演出)とは初めてご一緒させていただきますが、演出でどのようになっていくのか、すごく楽しみです。

花緑 僕は妻が熊谷真実さんのファンで、田村さんが作・演出された熊谷さん主演の『マミィ!』という芝居を拝見したんですが、すごく面白かったんです。聞いたら、熊谷さんが田村さんに、自分の物語を芝居にして演出してほしいとお願いしたと。それほど演劇人から信頼されているすごい人なんだと思って、その方からガッツリと演出を受けるのはすごく楽しみです。

――普段の落語との違いなどで楽しみにされていることなどはありますか?

花緑 今回、劇中で実際にバナナを食べたり、牛乳を飲んだりするシーンがあるんですけど、普段、僕がやっている落語だと実際のものはない状態で、扇子を使ったりして仕草で見せないといけないんで、そういう部分も楽しみですね。
落語って自己完結芸なので、一人で演劇をやっているようなものなんですよ。一人だから、長ゼリフを勝手に変えてもいいし、自分で収めちゃえばいいんですけど、3人でお芝居するとなるとそうはいかないですよね。もちろん、落語みたいに座ったままじゃなく、動き回らないといけないし、そういう意味で落語と演劇って両極にあるように感じています。それはプレイヤーとして良い経験だなと思うので、楽しみです。

小西 ぜひ稽古場で、落語の世界の面白いお話もいろいろ聞かせていただきたいです。

花緑 もちろん喜んで!

――グレッグという役も、単にスキャンダルを暴いてやろうというだけでなく、物語が進むにつれて、彼なりの葛藤なども見えてくる複雑な役ですね。

小西 そうなんです。会話が進むにつれて、お客さまも誰に感情移入したらいいのかわからなくなってくる部分があると思いますし、3人の関係性、距離感も変わってくるので、そういう部分も楽しんでいただけると思います。僕は去年、4人芝居に出演させていただいたんですが、一人ひとりの占めるウエイトが大きくて、セリフも多くて大変だったんですけど、今回はさらに少なくなって3人ですから、緊張感もありますが、それだけディープな芝居ができるのがすごく楽しみです。

――最後に作品を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

小西 ハラハラドキドキするスリリングな展開も楽しんでいただきつつ、週刊誌などのニュースが消費されていくというテーマ性も感じていただけたら嬉しいです。

花緑 現実的な話をすると、紀伊國屋ホールで10回公演するということは、400人×10で4千人を呼ばなきゃいけないわけです。ぜひ、お一人で何度でもお運びいただけるとありがたいです(笑)。見てくださる方に「柳家花緑だ」じゃなく、最初から最後まで舞台上にバリーという人物がいるように感じてもらえたらと思っています。3人しかいないのに現実がどんどん変わっていくので、本当に事件が目の前で起きている――「動く週刊文春」を除き見ているような気分を味わえるお芝居を見せたいと思います。

取材・文/黒豆直樹

〈公演情報〉

『DUMB SHOW/ダム・ショー』

日程:2026年4月11日(土)~4月19日(日)
会場:紀伊國屋ホール

[作] ジョー・ペンホール
[翻訳]小田島創志 一川 華
[演出] 田村孝裕
[出演] 柳家花緑 小西成弥 伊波杏樹

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/dumbshow/

公演オフィシャルサイト:
https://dumbshow2026.jp/

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