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東京バレエ団『かぐや姫』再演を前にリハーサルを公開 斎藤友佳理と金森穣が魅力を語る

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東京バレエ団×金森穣『かぐや姫』全3幕のリハーサルより (撮影:Shoko Matsuhashi)

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2026年5月5日(火・祝)、6日(水・休)、東京バレエ団が金森穣演出振付による『かぐや姫』全3幕を上演する。日本最古の物語文学「竹取物語」をもとに、2021年11月に第1幕、2023年4月に第2幕を初演、とクリエーションを重ね、同年11月に全幕世界初演を果たした作品だ。かつてベジャールが手がけた東京バレエ団オリジナルの全幕作品に続く、彼らの新たな代表作として世界に発信することを目指し、満を持しての再演へ。3月上旬、そのリハーサルが公開されるとともに、東京バレエ団団長・斎藤友佳理と金森穣が囲み取材に応じた。

かぐや姫と道児のパ・ド・ドゥを導く“月の光”

3月初旬のこの日、東京バレエ団のスタジオで公開されたのは、かぐや姫と道児のふたつのパ・ド・ドゥ。前半に披露されたのは、月を眺めて涙するかぐや姫と、孤独な青年・道児が互いに惹かれ合い、心を通わせる第1幕の踊りだ。全編ドビュッシーの楽曲が用いられる本作の中で、最も有名なピアノ曲「月の光」で踊られる、静謐で幻想的かつ情感あふれる場面となる。

本作の第1幕初演時からヒロインを踊ってきた秋山瑛は、2024年のブノワ賞にノミネートされた際のモスクワでのガラ公演で、また同年の東京バレエ団60周年祝祭ガラ〈ダイヤモンド・セレブレーション〉でも、柄本弾とともにこのパ・ド・ドゥを踊っている。ガラ公演ではコンサート用のピースとしてアレンジされ、トウシューズと純白の衣裳の秋山が神々しい美しさでかぐや姫を体現したが、全幕の舞台ではバレエシューズを履いたあどけない少女。お転婆で無邪気にふるまいながらもどこか神秘的な美しさをたたえるこの役柄に、長期にわたり向き合ってきた秋山の、より深みある表現が期待される。

道児役は、これまで第2幕、第3幕で帝役を演じてきた大塚卓。その気品ある姿で、多くの家臣を従え、威厳を保ちながら孤独に耐える帝を好演したが、今回彼が取り組むのは、明るく朗らかで村の童たちのリーダー的存在ながら、孤児ゆえの寂しさを滲ませる青年だ。月明かりのもとで手を取り合ったふたりは、時間の経過とともに、難易度の高い数々のリフトが頻出の複雑なコンビネーションをもって、高まり続ける二人の感情を表現してゆく。初役のハードルの高さに戸惑いつつ、果敢に向き合う大塚について、金森はリハーサル後の囲み取材でこう明かしている。「宮廷に生まれたら帝に、村で生まれたら道児に、というくらいの親和性があるふたりの人物。そういう意味で、帝を踊っていた卓が、今回道児を踊るのは“あり”だと思います。異なるキャスト、それぞれの個性が活きることが物語バレエの醍醐味。いろんな人がいろんな帝を、いろんな道児をやってほしいとは思いますが、卓はその両方を表現者としてできると思っているので、期待して配役しました」。

金森の舞踊をバレエで実現する難しさ、それをさらに実感させるのが、第2幕のパ・ド・ドゥ。宮中に忍び込んできた道児と、そこで帝の側室として暮らしながら孤独を募らせるかぐや姫との再会は、やはり月の明かりのもとで繰り広げられる。音楽も第1幕のパ・ド・ドゥと同じく「月の光」だが、ここで用いられるのは管弦楽版。瑞々しさにあふれた第1幕のパ・ド・ドゥが、月の光の波動を増幅させたような厚みあるオーケストラの響きによって、それぞれの環境の中で成長した両者の複雑な心情をのぞかせる、より大人びたパ・ド・ドゥとして再現される。バレエシューズをポワントに履き替えた秋山の身体はますます軽やか、息つく暇もないほどに次々と難易度の高いリフトを展開し、かぐや姫と道児の心の動きを伝えてゆく。

今回の再演では秋山、大塚のほか、足立真里亜と柄本弾がWキャストとして主役カップルを踊るが、それぞれが個性を活かし、魅力あふれる舞台をつくりあげるだろう。

ドビュッシーの音楽による全幕バレエとして、ヨーロッパへ

その後実施された囲み取材では、金森と斎藤が上演への思いを語った。

「どんな作品でも初演の時は、限られた時間の中で、ギリギリ最後までエネルギーをかけて作品を生み出します。ただ当然、生み出してみてから、いろんな気づきがある。ここはもう少し詰めたいな、ここの振付はこうだな、と貯めておいたアイデアを、今回の再演でさらにブラッシュアップできているので、ぜひ楽しみにしていただきたいです」(金森)

「いま、レパートリーとして頻繁に上演しているベジャールさんの『ザ・カブキ』、『M』という全幕作品に続く東京バレエ団の顔として、海外公演に持っていき、残り続けてくれたらと願っています。ドビュッシーの音楽による全幕バレエとして、フランスに持っていきたい、ヨーロッパに持っていきたいという夢がありますが、近いうちに発表できる時が来ればいいなと思っています」(斎藤)

2021年、Noism Company Niigataを率い独自の身体表現を追求、創作を続けてきた金森の振付に初めて触れたダンサーたち。当時の取り組みについて斎藤は、「試行錯誤、探りながらでした」と振り返る。「第3幕が出来上がった時、これは、いまの東京バレエ団にとって、ダンサーにとって絶対に必要なものになってくるという手応えのようなものを感じました。私と穣さんの間のパイプとなってくれたのは、(演出助手の井関)佐和子さんで、彼女の存在がなかったら、きっとここまでできてなかったと思います。心から感謝の気持ちを伝えたい」と笑顔を見せた。

この5月から大規模改修工事による休館に入る東京文化会館での、これが最後の公演となる。東京バレエ団がホームとしてきた劇場が約3年間も利用できなくなることへの戸惑いを隠しきれない斎藤だが、恒例の、また休館前最後の開催となる〈上野の森バレエホリデイ 2026〉での上演が実現することに、「ファミリーで楽しめるバレエとして、『かぐや姫』は本当に相応しいですし、いいタイミングだなと思います」という。金森も「実演芸術にとって、継続性がどれだけ大事なことか。願わくは『かぐや姫』がここから海外に飛び立ち、また東京文化会館に凱旋できる日が来ることを夢見ます」。斎藤はまた、海外の主要なバレエ団がこの『かぐや姫』を上演するようになれば、という希望も明かす。「『かぐや姫』を売ってしまう(笑)?」と金森は一瞬面食らった様子だが、斎藤は金森に「日本の振付家として世界に羽ばたいていってもらいたい」と、さらなる大きな夢を抱いているという。

ここ数年、断続的にではあるが、金森とともに仕事をし、その姿をずっと見てきた斎藤だからこその言葉だ。金森はさらに、作品に込める思いをこう語った。

「全く未知の、どこにもないものを創っているはずなのだけれど、まるで何かを予見していたような演出、展開がそこにあったりする。数年が経ち社会情勢が変わると、その意味合いがまた色濃くなったり、褪せていったり、逆に明示的になったりということがある。だから、こちらがあえて演出を変えようとしなくても、響き合っていく部分も。と同時に、私自身も生きていますから、問題として感じること、人間として訴えたいこと、共有したい疑問みたいなものが、今回も新しい演出として入ってくると思います」(金森)

東京バレエ団のダンサーたちとの稽古は、当初は「お見合いみたいな感じだった」と振り返る金森。「彼ら自身にも、あの時見出した課題を、今回クリアしたいという思いが当然、見えます。私とダンサーの関係は深まっていると思っています」と、東京バレエ団と築き上げてきた絆を感じている様子。より充実した、世界へと羽ばたく輝かしい舞台に期待が寄せられる。

撮影:Shoko Matsuhashi

<公演情報>
東京バレエ団×金森穣『かぐや姫』全3幕

2026年5月5日(火・祝)、6日(水・休)
会場:東京文化会館 大ホール

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2664955

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