渡辺大「本当に目が離せない2時間に」──舞台『罠』が6月に再演!
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インタビュー
渡辺大 (撮影:藤田亜弓)
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すべて見る「演劇界のヒッチコック」と呼ばれたロべール・トマの不朽の名作で、上川隆也が主演を務める舞台『罠』が、2026年6月6日(土) から26日(金) までのよみうり大手町ホール公演を皮切りに、全国で上演される。
登場人物は6人。新婚妻の行方不明事件を発端に、緊張感漂うやりとりが続く、セリフ劇、心理劇としても見応え十分の本作。2024年に「読売新聞創刊150周年記念舞台」として上演され、二転三転のハラハラする展開、意表を突く結末、そのミステリアスな演出が評判を呼んだ大人気公演だ。今回、妻の安否を気遣う夫・ダニエル役を演じる渡辺大に、作品の魅力や前回公演の思い出、自らがかかった「罠」についてなどを聞いた。
――改めて再演にあたっての意気込みを教えてください。
渡辺大(以下、渡辺) 初演をご覧になった方はお分かりですが、ノンストップで2時間の舞台。ですから、とてもドキドキしていますし、無事に務まるかなという心配もあります。いざ始まると、もちろん乗り切れるんですけど、やはり開幕前の時計の音を聞くだけで一歩出る恐怖が芽生えます。もちろん初演でご一緒したメンバーに会えるという喜びや、名作に再び取り組めるという嬉しさも。いろいろな感情が入り混じっています。
――前回の稽古場や本番で何か印象的だったことは?
渡辺 共演者の皆さんは数多く舞台を経験されているなか、当時の僕は舞台経験が浅く、確か3本目の舞台でした。しかもそれまで僕が出演させていただいてきた大人数の作品とは違い、6人という限られた人数でワンシチュエーションを紡いでいくので、その難しさを感じました。 主演の上川(隆也)さんもご自分の役回りのことがおありになるのに、いろいろとご指導いただく機会がありましたし、(演出の)深作さんも含め、皆さんから少人数のストレートプレイの難しさを教わりました。

――例えば、どんなことを?
渡辺 特にこういうサスペンス劇では、自分自身の感情の見せ方や届け方はもちろん、芝居以外の小道具の見せ方が肝になるということです。また、ピンマイクをつけず、(舞台上に取り付ける)フラットマイクだけでの芝居でしたから、声の出し方や、口元をどう見せたら効果的かだったり、あらゆることです。僕としては、非常に舞台の醍醐味や奥深さを教わった作品です。
――物語の鍵を握るカンタン警部役の上川隆也さんの印象を教えてください。パブリックイメージはとてもストイックな方という印象です。
渡辺 あまり変わらないと思います。作品に対してすごくのめり込んでいかれる方だし、本当にいろいろなことを考えていらっしゃる。
稽古中も本番期間も、上川さんの作品への向き合い方に刺激を受けることがたくさんありました。例えば、確か上川さんの発案で、齟齬が絶対にないように1場を全部早口で返す「スピード返し」を毎日やっていました。この舞台は会話が詰まったり澱んだりすると怖いし、取り返しがつかない。だからこそそれぞれがセリフをしっかり覚えているかを確認するため、上川さんを中心に全員参加でスピード返しをしていました。
――稽古場でも緊張感がありそうです。
渡辺 他の現場ではそこまでスピード返しを毎日やることは少ないです。それは緊張感というか、少し変な言い方かもしれませんが、シチュエーションに変化がない作品ゆえに、その突き詰め方がこの作品の面白さに繋がったとも思います。
――ダニエル役を演じる際に心がけていたことは?
渡辺 この『罠』という作品は、いろいろな座組みで上演されてきましたが、犯人が誰なのかを仄めかすようなヒントを見せず、誰も綻びを見せないからこそ、犯人が犯人であることを自覚していない怖さが出ると思うんです。ですから、ラストで明かされる結末まで犯人の痕跡を残さず、みんなが潔白だと信じて生きる。みんな本当のことを言っているという感覚でやっていました。
――小説ではなく、舞台でサスペンスものを見せる面白みはどんなところにあると思いますか?
渡辺 原作もとても面白いですし、原作通りの舞台なんです。ただ、それを実際に具現化・ビジュアル化する面白さはすごく感じます。ロベール・トマさんはワンシチュエーションがお好きで、本でも舞台でも情景が変わらないのがひとつの面白さとしてあります。それを2時間やろうが、飽きさせない魅力もある。難しい縛りをしているんですけど、とにかく面白いんです。
サスペンスものは絶対に修正ができません。この作品は特に修正がきかないという自覚を全員で共有しながらいかに最後まで持っていくか、慎重に慎重に1時間55分ぐらいを紡いで、残り5分でそれを大胆に崩していく。これもまた面白いです。
――ほとんど初演と同じキャストですが、今回は須藤理彩さんが看護師のベルトン役を演じます。
渡辺 そこは大きな変化だと思います。須藤さんがどんなベルトンで襲来してくるのか、相対するのが楽しみです。また、再演と言って、2年の年月は経っていますから。僕も含めて、皆さんいろいろなことを経験されてから戻ってきています。ワインもそうですけど、2年間寝かせるとどうなるか。どういう熟成がされているのか。100%同じものではないと思うので、そこも楽しみです。またできる喜びと、またその緊張感を存分に味わいたいです。

――最後に観劇を楽しみにされているお客様にメッセージをお願いします。
渡辺 初演のとき「1回記憶を抹消してから、もう1回この作品を見直したい」とどなたかが仰っていたんですが、そのお気持ちはすごく分かります。それぐらいインパクトの大きい作品ですから、初回の方は期待値を高く持って見ていただきたいです。本当に2時間、目が離せない。6人の些細な言動や行動をくまなく見ていただいて、楽しんでいただけたら。退屈する場所がひとつもないと思います。もちろん2度3度ご覧にいただいて結末がわかった上でも、6人の言動や行動が気になると思いますから。楽しみにご覧いただけたら嬉しいです。
取材・文:五月女菜穂 撮影:藤田亜弓
衣裳:スーツ(ラルディーニ)、シャツ(ジャンネット)ともにトヨダトレーディング その他スタイリスト私物
<公演情報>
『罠』
原作:ロベール・トマ
翻訳:平田綾子
演出:深作健太
出演:上川隆也 藤原紀香 渡辺大 財木琢磨 須藤理彩 藤本隆宏
【東京公演】
2026年6月6日(土)〜26日(金)
会場:よみうり大手町ホール
【大分(中津)公演】
2026年6月28日(日)
会場:中津文化会館
【福岡公演】
2026年6月29日(月)
会場:福岡市民ホール 大ホール
【高松公演】
2026年7月1日(水)
会場:レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール
【徳島公演】
2026年7月2日(木)
会場:あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)
【大阪公演】
2026年7月4日(土)・5日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール
【水戸公演】
2026年7月7日(火)
会場:水戸芸術館 ACM劇場
【新潟公演】
2026年7月9日(木)
会場:新潟県民会館 大ホール
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/wana2026/
公演オフィシャルサイト:
https://wana-ntv.jp/
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