川本嘉子がヴィオラとヴァイオリンを携えオール・シューマン・プログラムに挑む
クラシック
インタビュー
©島崎 陽子
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すべて見る日本を代表するヴィオラ奏者の川本嘉子。ソリストとしてはもちろん、室内楽およびオーケストラ奏者としても幅広く活躍を続けている。2025年は無伴奏作品によるリサイタルで話題を呼んだが、今回彼女が挑むのはヴィオラだけではなくヴァイオリンを手にしてのオール・シューマン・プログラムによるリサイタルだ。川本は1991年に東京都交響楽団への入団をきっかけにヴィオラに転向しているが、もともとはヴァイオリン奏者であった。
「ヴィオラに転向してからはときどき弦楽四重奏に混ぜていただいたり、以前指揮の勉強をしていた際に弾くことはあったのですが、公に演奏することはあまりありませんでした。こうして演奏会で取り上げようと思った大きなきっかけは去年のことです。まずアルゲリッチ音楽祭でハイドンのピアノ三重奏曲第25番を、そのあとにバッハの《ブランデンブルク協奏曲》の第4番で独奏することになったのです。それらがとても楽しかったというのもありますし、しばらく寝かせていたのがよかったのか、楽器の音色がとてもいいものになっていたのです。せっかくだからもっといろいろな場で演奏したいなと思い、今回もヴィオラだけでなくヴァイオリンを演奏することにしました」
プログラムは辻󠄀本玲(チェロ)、上杉春雄(ピアノ)を迎え、ヴァイオリン・ソナタ(ヴィオラ版)2曲にピアノ三重奏曲第1番(Op.121)というオール・シューマン・プログラムである。
「最初はブラームスのプログラムを検討していたのですが、ブラームスのヴィオラのためのソナタ(クラリネットソナタからの編曲)が61歳のときに書かれたので、私自身が同じ年になる来年にしようと。それならその前にやるのはシューマン以外にないと思ったのです」
また川本が今回シューマンに取り組んだのにはこんなきっかけもあった。
「昨年、富士山静岡交響楽団の定期演奏会でシューマンのチェロ協奏曲(Op.129)をヴィオラ用に編曲して演奏させていただいたのです。それも今回の決定に影響したかもしれません」
川本がシューマンの魅力にはまっていったのは歌曲からだという。
「もともとはそこまで好きな作曲家ではなかったのですが、ある先輩がシューマンフリークで、そのお話をきいているうちにどんどん興味が湧いてしまい、歌曲を聴くようになりました。そのあとピアノ曲もたくさん聴くようになって…。繊細な書法や変化に富んだ和声などに惹かれるようになりました。今回演奏するソナタや三重奏曲にもその要素が散りばめられていますし、楽器同士の緻密なアンサンブルが楽しいのです。特に今回ご一緒する辻本さん、上杉さんは技術の高さはもちろんですが、とても緻密に音楽を作り上げていかれる方々ですし、素敵なものになるのは間違いないと思います」
今後はヴァイオリンの演奏も積極的に行っていきたいという川本。さらに拡大するプログラム、そして深まる音楽性で聴衆を楽しませてくれることだろう。今回のリサイタルはその大きな足掛かりとなるはずだ。
取材・文:長井進之介
川本嘉子[ヴィオラ&ヴァイオリン]
芸術家の肖像
〜シューマン・プログラムを通じて辿る芸術の軌跡〜

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2604983
7月7日(火) 19:00開演
Hakuju Hall (東京都)
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