世界初演オリジナル・ミュージカル『最強のふたり』 秘書イヴォンヌ役・紅ゆずるに作品の魅力を聞く
ステージ
インタビュー
紅ゆずる (撮影:藤田亜弓)
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全世界で大ヒットした、実話を基にしたフランス映画『最強のふたり』が、オリジナル・ミュージカルとして日本で世界初演される。
事故により首から下が麻痺した大富豪フィリップと、刑務所を出たばかりで学歴も経験もない元受刑者ドリスという、立場も価値観もすべてが正反対のふたりの男が出会い、ぶつかり合いながらやがてかけがえのない友情を育んでいく物語。
W主演として、ドリス役を川平慈英、フィリップ役を浦井健治がそれぞれ演じる本作に、元宝塚歌劇団星組トップスターで、退団後もその確かな実力で数多くの舞台で活躍する紅ゆずるが出演。フィリップの有能な秘書イヴォンヌを演じる。「久しぶりのミュージカル出演ということもあり、正直とてもドキドキしています」と声を弾ませる紅に、役柄への思いや作品が問いかけるメッセージについて、稽古場で話を聞いた。
――退団後のミュージカル出演は『エニシング・ゴーズ』以来ですね。
紅 本当に。今回、オファーをいただいて嬉しい反面、(ミュージカルから)離れていた時間も長かったので、「私で大丈夫ですか?」と自信がなかったんです。でも、いざお稽古に入ると感覚を取り戻すのにそれほど時間はかからなくて。楽曲や歌詞に込められた思い、この休符にはきっとこんな理由がある、とかを考えながら歌うことがとても楽しいです。
――ミュージカルの勘を取り戻す?
紅 歌い、演じていくうえで楽曲が大きな柱となって、「この何小節の間に、台詞を収めないといけない」、「この音が始まるまでには、台詞を言い終えないといけない」といったことを常に意識しなければいけないのはミュージカルならではですが、一方で演じる側にとって楽曲は強い味方ですし、こういう感覚は懐かしいなとも感じています。
――今回は『最強のふたり』の初ミュージカル化、そして世界初演です。台本を拝読しましたが、紅さん演じるイヴォンヌも映画版とはかなり印象が違うようです。
紅 そうなんです。映画とはまったく違うキャラクターだと思っていただいて大丈夫だと思います。もちろん、ドリスやフィリップに対する友情や信頼といった根っこの部分は変わりませんけど、まず年齢設定が違いますし、私自身も台本を読ませていただき、新たなイヴォンヌ像を求められていると感じました。メガネ女子の“キャラ感”が強いですし、コメディ要素もあります。「あっ、だから私にオファーをいただいたんだな」って(笑)。

――映画版を知らなくても楽しめますし、紅さん演じるイヴォンヌの登場シーンには、思わずクスッとさせられるものが多いです。
紅 ただ、自分が面白いと思うことをやり過ぎて、アンサンブルの調和を崩してしまわないよう、おっしゃる通り“クスッと”を意識しています。メインキャラクターでは唯一の女性なので、ならではのトキメキや憧れも表現できたらと思っています。
――笑いという面では、ドリスを演じる川平さんとのやり取りも見どころでは?
紅 慈英さんはとにかく面白い方なので、自分としては(コメディ要素の)二番手になれればという思いもあります。めちゃくちゃ気さくな方ですし、稽古場でもムードメーカー。「どんな芝居も必ず受け止めるから、大丈夫。何でもいらっしゃい」という雰囲気。なんと頼もしいことか。それと慈英さんも私も大のサウナ好き(笑)。稽古場でも情報交換しています。
――フィリップ役の浦井さんとは、役柄の上でも強いつながりがありますね。
紅 お稽古中は、自分の黙々と集中して準備されている印象が強いですね。実は浦井さんと私は、それぞれ別の『ロミオとジュリエット』でベンヴォーリオ役を、『ガイズ&ドールズ』でネイサン・デトロイト役を演じている共通点があるので、お互い「今回、こんな形で共演できて不思議だね」って話をしています。
――『最強のふたり』には違いを乗り越えることの大切さ、お互いを癒し合う尊さが描かれていると思います。紅さんはお客様にどんなメッセージを届けたいですか?
紅 フィリップのようにお身体が不自由な方々に親切に接するのは当然のことですが、こちらが心配し過ぎると、当人にとっては重荷になってしまうこともあると思います。もちろん個人差はあると思いますが、意識しすぎると「自分は違うんだ」と思わせてしまうかもしれない。ご当人にしか分からない気持ちもあると思いますから、いろいろなことを想像することが大切だなって思うんです。
映画版では人種やジェンダーについても語られていますが、そういったものすべてが共存して、人間同士がリスペクトで繋がることでこの世界が成り立っている。そんなことを『最強のふたり』をご覧になる皆さんにも、ダイレクトに感じていただけると嬉しいです。

取材・文:内田涼 撮影:藤田亜弓
<公演情報>
オリジナル・ミュージカル『最強のふたり』
脚本・作詞・演出:板垣恭一
作曲・編曲・音楽監督:桑原あい
出演:
川平慈英 浦井健治/紅ゆずる 宮原浩暢(LE VELVETS) 小野塚勇人
福田えり 加賀谷真聡 宮野怜雄奈 元榮菜摘 菊池愛
演奏:
Keyboard Conductor:桑原あい/大谷愛 Drums & Percussion:横田誓哉
Cello:飯島奏人 Reed:近藤淳也(東京・名古屋公演)/小西稔大(大阪公演)
【東京公演】
2026年5月1日(金)~10日(日)
会場:ヒューリックホール東京
【大阪公演】
2026年5月14日(木)~17日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
【名古屋(愛知)公演】
2026年5月21日(木)
会場:御園座
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/saikyo-futari/
公式サイト:
https://saikyonofutari.jp/
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