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三代目尾上辰之助の襲名披露華々しく。「團菊祭五月大歌舞伎」上演中

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昼の部『寿曽我対面』より 前)曽我五郎=尾上左近改め三代目尾上辰之助 後)喜瀬川亀鶴=尾上右近、化粧坂少将=坂東新悟

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2026年5月3日、歌舞伎座5月公演「團菊祭五月大歌舞伎(だんきくさいごがつおおかぶき)」が初日の幕を開けた。近代歌舞伎の礎を築いた名優、九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の偉業を顕彰する「團菊祭」は、歌舞伎座の吉例興行として今日まで受け継がれ、長年愛されてきた。昼の部『寿曽我対面』夜の部『鬼一法眼三略巻』にて尾上左近が三代目尾上辰之助を襲名披露するなど、華やかな舞台となった本公演を、オフィシャルレポートをもとにお伝えする。

昼の部の幕開きは、歌舞伎ならではのエンターテインメント性に溢れた『南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)』。原典は、曲亭馬琴が文化11(1814)年から30年近い歳月をかけて書き上げた98巻、106冊に及ぶ江戸読本を代表する超大作。

昼の部『南総里見八犬伝』より 左から)犬坂毛野=大谷廣松、犬江親兵衛=中村鷹之資、犬田小文吾=大谷廣太郎、犬飼現八=坂東巳之助、犬川荘助=中村種之助、犬村大角=市川男寅、犬塚信乃=尾上右近

時は足利時代。犬塚信乃(尾上右近)は、父の遺言に従い、行方が分からなくなっていた足利家の重宝・村雨丸を足利成氏のもとに持参するが……。互いに八犬士と知らずに戦う犬飼現八(坂東巳之助)と信乃が大立廻りを披露し、本作の見せ場であるダイナミックに屋根の大道具が替わる“がんどう返し”では、屋根が垂直になるまで戦い続けるふたりの至芸に大きな拍手が送られ、熱気に溢れた。ところ変わって、利根川下流のほとりでは、里見家復興を願う犬山道節(坂東彦三郎)が図らずも村雨丸を手に入れたところに、屋根から落ちて、九死に一生を得た現八と信乃ら、八人の勇士が勢揃い。暗闇の中、村雨丸を巡って互いに探り合う“だんまり”となると、八犬士それぞれの役どころが際立ち、まるで動く錦絵のような麗しい舞台面が観客の視線を惹きつけた。

続いては、紀貫之が詩の名人と挙げた六歌仙を素材にした舞踊『六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)』。

昼の部『六歌仙容彩』より 僧正遍照=八代目尾上菊五郎

幕開きの「遍照」は、かつては公家で今は出家の身である僧正遍照(八代目尾上菊五郎)が、その年齢や身分にもかかわらず小野小町(中村時蔵)に恋心を抱く様子がおかしみを誘う。続く「文屋」では、色好みの公家として登場する文屋康秀(八代目菊五郎)が江戸の遊里や下町情緒の風情を踊る洒落た雰囲気の場面に。気品と色気ある優美な踊りで魅せる「業平」は、平安時代を代表する美男美女の在原業平(八代目菊五郎)と小町の姿が観客の目を引く。

昼の部『六歌仙容彩』より 文屋康秀=八代目尾上菊五郎
昼の部『六歌仙容彩』より 左から)在原業平=八代目尾上菊五郎、小野小町=中村時蔵

そして、名僧として知られる喜撰法師(八代目菊五郎)が桜満開の中浮かれ気分で足取り軽やかに登場する「喜撰」。茶汲女のお梶(中村雀右衛門)が通りかかると、喜撰はその美しさに見とれて……。最後の「黒主」は、小町の才能を妬む大伴黒主(八代目菊五郎)が小町の傍らに現れ……。雰囲気の異なる5人の歌人を八代目菊五郎が華麗に踊り分け、洒落っ気溢れる趣向の舞台に、場内があたたかな雰囲気に包まれて幕となった。

昼の部『六歌仙容彩』より 前)喜撰法師=八代目尾上菊五郎 後)祇園のお梶=中村雀右衛門
昼の部『六歌仙容彩』より 左から)小野小町=中村時蔵、大伴黒主=八代目尾上菊五郎

昼の部の切には、左近改め三代目尾上辰之助襲名披露狂言『寿曽我対面(ことぶきそがたいめん)』を上演。祖父・初代尾上辰之助、父・尾上松緑も辰之助襲名披露狂言として勤めた代々所縁ある曽我五郎を、新辰之助が勤める。

初代辰之助、当代の松緑が辰之助襲名披露で五郎を演じた際には、七代目尾上菊五郎が十郎を勤めた。この度は、七代目尾上菊五郎の長男・八代目菊五郎が十郎を勤め、新辰之助の五郎と兄弟の絆を見せる。また、工藤祐経に七代目菊五郎、傾城大磯の虎に雀右衛門、小林妹舞鶴に中村萬壽、鬼王新左衛門に市川團十郎、そして後見に松緑と、「團菊祭」ならではの豪華顔合わせで襲名を寿ぐ。

劇中口上では、八代目菊五郎が「この度の三代目尾上辰之助さんのご襲名、心よりお慶び申し上げます次第でござりまする。お父様の松緑さんとは幼き頃から舞台を共にしてまいりましたので、この度の襲名は私にとりましてもこのように嬉しいことはございません。この後も数多くの舞台をご一緒できるのを楽しみにしておりまする」。

昼の部『寿曽我対面』より 左から)中村萬壽、市川團十郎、尾上松緑、尾上左近改め三代目尾上辰之助、八代目尾上菊五郎、中村雀右衛門、七代目尾上菊五郎

團十郎は「同世代の染五郎さんや團子さんともご一緒されているそうですが、かつての松緑さん、八代目菊五郎さんと共に我々も三之助してご一緒させていただいておりますので、年の差はございますが新之助、菊之助とも何卒よろしくお願い申し上げまする」、などそれぞれ襲名のお祝いを述べると、松緑は「私の長男左近が、この度晴れて祖父の名跡でもござります辰之助の名跡を三代目として襲名いたし、ここにご披露申し上げる運びと相成りましてござりまする。私がお世話になっている先輩、同輩の皆様にご列座いただき心より御礼申し上げます。この後は三代目辰之助、何卒様温かくご声援の程をひとえにお願い申し上げ奉りまする」、三代目尾上辰之助は「祖父、そして父の前名の尾上辰之助の名跡を三代目として襲名させていただく運びと相成りましてござりまする。より一層芸道に精進してまいりますることにござりますれば、何卒いずれも様にはこれからもご贔屓ご支援の程をひとえにお願い申し上げ奉りまする」と挨拶。

最後は七代目菊五郎より「初代辰之助さんとは非常に仲が良く、幼い時から舞台を共にし、兄弟同然の間柄でございましたので、この度の襲名は私にとっても大変嬉しいことでございます。父松緑同様、三代目尾上辰之助いついつまでも御贔屓お引き立ての程、隅から隅までずぃーと、希いあげ奉りまする」と締め、“辰之助”の名跡を受け継ぐ真っ直ぐな姿に会場からは割れんばかりの拍手が送られ、神田松鯉寄贈による豪華な祝幕が引かれると、場内がおめでたい雰囲気に包まれた。

歌舞伎らしい錦絵のような美しい決まり
新辰之助「より一層芸道に精進してまいる覚悟」

夜の部の幕開きは、尾上左近改め三代目尾上辰之助襲名披露狂言『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』より「菊畑(きくばたけ)」。

夜の部『鬼一法眼三略巻 菊畑』より 左から)奴知恵内実は吉岡鬼三太=尾上松緑、吉岡鬼一法眼=坂東彦三郎

美しい菊の花が咲き誇る館。この館の主吉岡鬼一法眼(坂東彦三郎)は、もとは源氏方の兵法学者で、今は平家方として仕えている。一方で、この館には奴智恵内(尾上松緑)と奴虎蔵(左近改め三代目尾上辰之助)が仕えているが、実はこのふたりは源氏の再興を狙っている生き別れた鬼一の弟・鬼三太とその主・源牛若丸だった。ふたりは、鬼一が持っている秘蔵の兵学書「六韜三略(りくとうさんりゃく)」を手に入れようと正体を隠し館で仕えていたが、虎蔵に一途に恋い慕う鬼一の娘・皆鶴姫(中村時蔵)がふたりの素性を知ってしまう。さらに笠原淡海(坂東亀蔵)にもそのことが漏れてしまう。

夜の部『鬼一法眼三略巻 菊畑』より 左から)奴智恵内実は吉岡鬼三太=尾上松緑、奴虎蔵実は源牛若丸=尾上左近改め三代目尾上辰之助

幕が開くと、舞台の隅から隅まで咲き誇る菊。まさに「菊畑」という題に相応しい圧巻の美しさ、そして各役の絢爛な衣裳に客席はその世界に引き込まれる。虎蔵の若衆としての風情と牛若丸としての強さの両面がにじみ出ており、“辰之助”の名跡に新たな風を吹かせる姿は会場も思わず虜となり見守る。

夜の部『鬼一法眼三略巻 菊畑』より 左から)笠原湛海=坂東亀蔵、皆鶴姫=中村時蔵、奴虎蔵実は源牛若丸=尾上左近改め三代目尾上辰之助、奴智恵内実は吉岡鬼三太=尾上松緑、吉岡鬼一法眼=坂東彦三郎

そして、襲名披露狂言ならではの劇中口上。「狂言半ばではござりまするが」とお馴染みのご挨拶から切り出す父・松緑。辰之助が小さいころから見守る、彦三郎、亀蔵、時蔵と共に、皆様に襲名を披露。

夜の部『鬼一法眼三略巻 菊畑』より 左から)笠原湛海=坂東亀蔵、皆鶴姫=中村時蔵、奴虎蔵実は源牛若丸=尾上左近改め三代目尾上辰之助、奴智恵内実は吉岡鬼三太=尾上松緑、吉岡鬼一法眼=坂東彦三郎

松緑は「この口上に私の戦友の皆さんがご列座してくださること、誠にありがたく心より御礼を申し上げる次第にござりまする。何はともあれ、三代目尾上辰之助行く末長く温かくご後援のほどをひとえに、お願い申し上げ奉りまする」と息子の襲名を寿ぐ共演者への感謝をのべ、そして辰之助は「この度祖父、父の前名・尾上辰之助の名跡を三代目として襲名させていただく運びと、相成りましてござりまする。この後はより一層芸道に精進してまいる覚悟でござりますれば、何卒いずれもさまには、ご贔屓ご支援の程ひとえにお願い申し上げ奉りまする」と意気込む。最後が松緑、時蔵、辰之助の三人で歌舞伎らしい錦絵のような美しい決まりとともに、辰之助のまっすぐ前を見据えるその姿に、会場からお祝いとこれからの新辰之助への期待が拍手と共に送られた。

夜の部『鬼一法眼三略巻 菊畑』より 左から)奴虎蔵実は源牛若丸=尾上左近改め三代目尾上辰之助、奴智恵内実は吉岡鬼三太=尾上松緑

そしていよいよ、團菊祭の夜の部最後の幕は、團十郎、八代目菊五郎揃っての豪華競演の歌舞伎十八番の内『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』

夜の部『助六由縁江戸桜』より 左から)花川戸助六=市川團十郎、三浦屋揚巻=八代目尾上菊五郎

舞台は江戸の吉原仲之町。『助六』を上演する際にお約束として幕開きに披露される口上を市川新之助が勤める。大勢の新造や若い者を従えた三浦屋揚巻(八代目尾上菊五郎)がほろ酔い加減で戻ってくる。そこに、手下のくわんぺら門兵衛(尾上松緑)らを携えて髭の意休(市川男女蔵)が現れる。揚巻には江戸一番の男伊達・花川戸助六という間夫がおり、全く相手にされず。それに腹を立てた意休は、助六の悪口を言いはじめる。

夜の部『助六由縁江戸桜』より 左から)花川戸助六=市川團十郎、三浦屋揚巻=八代目尾上菊五郎、髭の意休=市川男女蔵

そこに聞こえてくるのは尺八の音色。市川宗家が『助六』を上演する時のみ許される河東節での唄と共に、花道から出てきたのは江戸紫の鉢巻きに蛇の目傘を差した伊達男・花川戸助六(市川團十郎)。花魁たちも助六に夢中で、競って吸い付け煙草を渡すほどの人気ぶり。助六は、間夫の揚巻に言い寄る意休に喧嘩を仕掛け、その手下たちを一蹴していく。すると、白酒売新兵衛(中村梅玉)に身をやつした兄十郎に呼び止められる。実は助六は、紛失した源氏の宝刀・友切丸を探す曽我五郎で、吉原に現れては喧嘩を仕掛け、相手の刀を見定めていた。兄と共に、喧嘩を仕掛けていると、編み笠をかぶった侍が揚巻と現れ、顔を覗き込むとふたりの母・曽我満江(中村雀右衛門)の姿で……。

夜の部『助六由縁江戸桜』より 花川戸助六=市川團十郎

自身の團十郎襲名以来となる歌舞伎座での『助六』。花魁たち共にうっとりとしてしまう團十郎の華のある出からいよいよずらりと本舞台に俳優たちが揃うと、江戸桜が咲き乱れるように、共演者の豪華絢爛さに客席では陶酔する姿が。意休に対する八代目菊五郎の動じない凛とする姿や團十郎の挑発からをも感じるその江戸っ子のかっこよさは、悪態を言っても説得力を感じるものが。そして、『助六』のお楽しみのひとつでもある兄・白酒売と一緒に通りかかった人に喧嘩を吹っ掛ける場面では、尾上右近が股くぐりを無事に終え花道へと行くと、この度の三代目尾上辰之助襲名を寿ぐところも。会場も洒落じみた舞台に、笑いながら拍手を送る。

最後は團十郎の助六が八代目・菊五郎の揚巻の打掛の中に入り、まさに“令和の團菊”が揃っての決まりで、見応えたっぷりの歌舞伎十八番の幕となった。

「團菊祭五月大歌舞伎」の上演は5月27日(水)まで、東京・歌舞伎座にて。


<公演情報>
「團菊祭五月大歌舞伎」

【昼の部】11:00〜
一、南総里見八犬伝 芳流閣・利根川
二、六歌仙容彩
三、寿曽我対面

【夜の部】16:30〜
一、鬼一法眼三略巻 菊畑
二、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜

2026年5月3日(日・祝)~27日(水)
会場:東京・歌舞伎座

【休演】11日(月)、19日(火)
※昼の部:8日(金)は学校団体来観

終演予定時間:
昼の部 午後3時22分頃/夜の部 午後8時25分頃

※無断転載禁止

関連リンク

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2610616

公式サイト:
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/969/

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