松尾スズキ×康本雅子が贈る2日間限定ダンス公演――「遊びにくる感覚で自由に楽しんで」(松尾スズキ)
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松尾スズキ
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松尾スズキが振付家・ダンサーの康本雅子と組んで、ダンスユニット「スーパーマツヤス」を結成。初のダンス公演に挑む!
休館中のBunkamuraシアターコクーンを2日間限定(3回公演)でオープンし、そこでの上演。松尾自身も3年ぶりにシアターコクーンに立ち、踊るという、ワクワクが詰まった企画だ。原作・監修、そして出演の松尾が本作に対する思いを語った。

――なぜ、今、ダンス公演をしようと思われたのですか?
松尾 もともと、いつかダンスだけの公演をやってみたいと思っていたところ、いろいろな偶然が重なって実現へと向かいました。康本さんと僕のスケジュールが合ったこと。またシアターコクーンがもう少しでいったん完全閉鎖されること。そして卒業公演以外で空いているのは最後になるので、何かに使えたらと思っていて。お芝居を上演するには予算とスケジュールが厳しい。それならダンスがいいなと思いました。
――松尾さんが身体表現に惹かれるのはなぜですか?
松尾 もともと海外のコメディアンとか、面白い動きをする人間に興味がありました。整理されたバレエ的な動きよりも、コンテンポラリーやフリーのダンス、アニメーションダンス、部族的なものなど、予想のつかない人間の動きが、昔から好きなんです。僕も自分なりに真似して、芝居の中でちょこちょこ試してみたり。それを濃縮した、動き中心の公演をやったら面白いかなと思いました。

――康本雅子さんが演出と振付、松尾さんが原作・監修を担当されます。松尾さんはどのように関わる形ですか?
松尾 この作品は僕が書いた短編小説集をモチーフにしています。ショートショートみたいな作品もあって、そこから康本さんがピックアップして着想を得た動きになる予定です。僕も自分が出るシーンの選曲など、全体のバランスを見つつ一緒に考えられたら。こうして思いを口にして、媒体の取材を受けるのも監修の仕事となりますかね(笑)。
実は当初、別の作品も考えていましたが、予算を範囲内に収めるために自分の作品を差し出そうという、献身的な話です(笑)。文字であったものが立体的に、それも身体表現として立ち上がる。僕の小説『クワイエットルームにようこそ』は映画化された後にミュージカルになりまして、そこには表現が立体化していく面白さがありました。自分の小説がダンスになるという新しい試みがどう転ぶのか、僕自身が楽しみです。今回は演出を康本さんにお任せします。これも初めての試みですが、彼女は手練れですから上手く形にしてくれると信じています。
――康本さんとは松尾さん作・演出のミュージカル『キレイ—神様と待ち合わせした女—』初演(00年)からのお付き合いとか。彼女のダンスの魅力を教えてください。
松尾 おもしろくなることに対して臆さないところが魅力です。いわゆる“変態”と呼ばれるような表現を率先してやってくれる。見た目はクールで美しいコンテンポラリーダンサーですが、おかしなものや変なもの、そういった動きに興味を持ってくれるところに僕はシンパシーを感じています。基本のダンスや民族舞踊など様々なスタイルを習得した彼女の、テクニックと熱量のバランス、その表現が非常に僕の好みです。
『キレイ』の初演では、康本さんはオーディションで選んだダンサーの一人でした。その後、『マシーン日記』で、片桐はいりさんの動きを振り付けていただいたのが、初めての実質的なコラボレーションです。そこから僕のミュージカルやお芝居の振付を手がけるように。振付家として、また演者として、様々な形で関わってもらっています。
――松尾さんご自身も出演なさいますが、激しく踊るシーンがあるのでしょうか?
松尾 体力の許す範囲内で、としか言えないですね(笑)。3回公演なのでなんとかなるんじゃないか、康本さんの演出に委ねてみようと。きっとお客さまは康本さんのファンの方、またシアターコクーンの改修前の姿を見届けたいという方、また約3年ぶりに僕が舞台に立ちどんなことをやるのだろうと興味を持つ方に三極化するんじゃないかな。コクーンは良い劇場ですから、ノスタルジックな思い入れを持たれている方も多いはず。
――今回、松尾さんが学長を務める「コクーン アクターズ スタジオ」の第1期・2期生から4名。そして主宰の大人計画からは宮崎吐夢さんが参加されます。
松尾 「コクーン アクターズ スタジオ」の卒業生から、ダンスができる3名と歌と楽器ができる1名、いわゆるスペシャリストを呼びました。「コクーン アクターズ スタジオ」の生徒たちは受け身じゃないんですよね。なんとか這い上がろうという気骨を感じて、やりがいがあります。プロになるためにどうすればいいのかを共に考える。僕も教育ではなく修業として捉え、彼らと接しています。そういう人たちにどんどんプロの舞台に立ってもらう、それが一番の学びになりますから。
吐夢の役割は息抜きですね。ダンスばかりを見せられていると、息が詰まったりもするので、そういう時にここは笑っていいところなんだ! というシーンを作る。僕なりのエンタメの解釈です。
――最後に、『海辺の独裁者』に興味のある読者にメッセージをお願いします。
松尾 ストレートプレイやモダンアートでは、自分で考えて! と投げかける作品もあります。もちろん自分の力で考えることは良いことです。でも美術館に行くと、解釈を押し付けられている気がして、遊びに来た感がなくなってしまうことも。僕は遊びに来たのに、勉強しなきゃいけないの? みたいな。
ですから今回は感じることで想像して遊べる公演がいいなと思っています。空いているシアターコクーンを使うことだけでも、十分遊びですから。だから、気軽に遊びに来て! という気持ち。みんなで自由に遊ぶことを体験していただきたいです。

取材・文/三浦真紀
撮影/石阪大輔
〈公演情報〉
COCOON PRODUCTION 2026『海辺の独裁者』
日程:2026/6/27(土)・28(日)
会場:Bunkamuraシアターコクーン
※休館中のBunkamuraシアターコクーンを特別に復活させて上演
[原作・監修] 松尾スズキ
[演出・振付] 康本雅子
[出演]
松尾スズキ 康本雅子
鈴木春香 中村 駿 阿部真理亜 水島晃太郎
羽衣* とねり* 村井友映* 倉元奎哉*
宮崎吐夢
*=コクーン アクターズ スタジオ第1期、2期生
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/umidoku-cocoon26/
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