劇団「南極」注目の1回限定公演『宇宙戦争』、その構想とメンバーの思いをインタビュー!
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インタビュー
南極オールメンバー (撮影:藤田亜弓)
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すべて見る気鋭の劇団として注目を集める「南極」が、10回目となる本公演『宇宙戦争』で、ユニークかつ意欲的な企画を進行中だ。上演するのは、今年5月に開館したばかりの新劇場・東京建物 ぴあ シアター。さらに上演するのは、8月22日(土)の1回きり。果たしてその狙いとは? 作・演出を手がけるこんにち博士に話を聞くとともに、劇団員9人からのメッセージもお届けする。
――新作『宇宙戦争』ですが、創作の起点になったこと、きっかけから教えてください。
こんにち博士(以下 博士) これが南極にとって10回目の公演になるんですが、劇団員10人でやるとなった時、「SFのエポックメイキング的な作品を作ろう!」というのをまず目標に決めました。昨年上演した『wowの熱』くらいから、すごく大きいものとすごく小さいもの、その対比が面白いなと思うようになったんですが、うまく言語化できていなかったんです。でも自分たちが描いているものって大きいと小さいなんだ、そしてそれが南極の面白ポイントなんだ、と気がついて。で、大きいモチーフとしてなにがいいかと考えた時、パッと思い浮かんだのが『宇宙戦争』で、タイトルもこれにしようと思ったんです。

――『宇宙戦争』といえばH・G・ウェルズの小説はもちろん、スティーブン・スピルバーグ監督の映画を思い浮かべる人も多いかと思います。そういった中でどんなところに南極らしさを出していけるのではないかと考えていますか?
博士 スピルバーグの映画では、異星人と地球人の衝突をそのままスペクタクルとして描いたわけですよね。でも今回僕らがやるのは演劇なので、そういうでかい衝突を宇宙規模で描くこともできますし、小さなひとりの人間の中で起こる感情のぶつかり合いとして描くこともできる。その両輪で描けるのが、演劇のマジカルなところかなと。ですから『宇宙戦争』というスケールはそのままに、全然違うベクトルでそのスケールをでっかくしたり、ミクロにしたり。ぐわんぐわんとした大小の振れ幅、みたいなものを見せられたらなと思っています。
――本作の上演は東京建物 ぴあ シアターにて、8月22日(土)の1公演のみを予定されています。その理由は?
博士 最近僕らが作っている演劇の特性として、かなりたくさんの美術や小道具を作って舞台上に乗せる、ということをやってきたんです。でももちろん演劇なので、上演が終わったらすべて無くなってしまう。その一回性というか、演劇ならではの“今ここ感”みたいなものが南極は特に強いと思うんです。で、10回目の公演ということをみんなで考えた時に、そこをより尖らせていきたいなと。 稽古期間も3か月くらいたっぷり取って、美術や小道具もいっぱいしっかり作った上で、1回しかやらない。そうすることで、ホースの吹き出し口をギュッて押えたらビュー! と出るみたいな、これまでにない出力のものになるんじゃないか。さらにチケット料金も極力おさえたいってことをみんなに相談したら、「なんやかんやおもろそうやな」と言ってくれて。よし、思い切って試してみよう、ということになったんです。
――現段階(5月上旬)で台本の執筆具合はいかがですか?
博士 今はまだ『ホネホネ山の大動物』(※現在は公演終了)の稽古中なので、これの本番が終わった翌日から『宇宙戦争』の稽古を始める予定です。そろそろ書き始めなければいけないのですが……。たぶん僕、ジブリ映画の『耳をすませば』を見ることによって、完全にピースがはまって、一気に書ける気がするんです。ただ僕には今、これを見る手段がなく……(苦笑)。あ、でもそれぞれの役どころ、役名については、すでに全員分決まっています。
――ではお話できる範囲で、登場人物についてご紹介いただけますか?
博士 まずユガミノーマル演じる“光線”と、端栞里演じる“凪”がダブル主人公になります。このふたりのぶつかり合いを、宇宙戦争規模で描く、という物語になるわけです。和久井千尋の役は“裏スティーブン・スピルバーグ”。なんか和久井って、若い時のスピルバーグにちょっと似ているんですよね。物語上、裏スピルバーグが出ることは先に決まっていて、劇団員10人の中で誰がやるか? と考えた時に、消去法で和久井になりました(笑)。 あと瀬安勇志の役が“征服者・環(かん)”。マーベルの『アベンジャーズ』シリーズに、征服者カーンっていうキャラクターがいるんですね。新しいラスボスとして期待されていたんですけど、それを演じていた俳優さんがちょっと問題を起こしちゃいまして。マーベルから外されたので、それならば、ということで、征服者環として南極が引き継ぐことにしました(笑)。
――これが南極初体験という方もいらっしゃるかと思います。楽しみにされている読者にメッセージをお願いします。
博士 本当に1回だけの公演ということで、僕らにとっても、お客さまにとっても、特別な体験になるのではないかと思います。演劇のマジカルさを存分に味わってもらおうと思っているので、ワクワクしながら観に来ていただけると嬉しいです。
南極全メンバーにも直撃インタビュー!
■ユガミノーマル

今回の公演はそのイベント性も含めて、演劇ってこんなに楽しくて面白いんだってことを広く知ってもらうチャンスだと思っています。自分の役が“光線”という名前でもありますし、演劇の面白さを真っすぐに届けたいですね。
■端栞里

私は演劇が好きで、演劇ばっかりやっています。こんにち博士の言うことももう肌感でわかるようになってきましたが、今回の稽古は長い期間、じんわりやるようなので、とにかくキャラクターを掘り切れたらなと思っています。
■瀬安勇志

南極でヴィラン(悪役)をやるのは5回目です。更に今回はマーベルさんから引き継がせていただくということで、南極なりの、自分なりの、ヴィランにおけるひとつの到達点をお見せしましょう。
■揺楽瑠香

私は劇団外のライブに出演する機会が多いのですが、その時に生まれる面白い音、体感するポップ性みたいなものを、まだ劇に落とし込めている自信がなくて。
その感覚を『宇宙戦争』には入れられたらなと思っています。
■九條えり花

こんなに大きな劇場に立つのは初めてなので、めちゃめちゃ緊張しつつも、いろいろな人に観てもらえるのはすごく嬉しいです。今回は一回性が特に強調される舞台なので、本番ならではの役者と観客の共鳴を楽しみたいです。
■井上耕輔

僕は刺激を求めて演劇をやっていて、でかい劇場でやれるのはずっと夢でした。だから今回はアドレナリンが出まくっていい芝居ができると思いますし、作品自体も絶対にすごいことになると思うので、めっちゃ楽しみです!
■ポクシン・トガワ

僕自身はあまり演劇を観るタイプではないのですが、南極のみんなとやるのはすごく楽しくて続いています。そういう南極でしか出せない面白さみたいなものを、この大きな劇場で、ぜひたくさんの人に楽しんでもらいたいです。
■古田絵夢

第10回にふさわしいタイトルだと思いますし、「南極と言えばこれだよね」みたいな作品になったらいいなと思います。また南極は毎回グッズにもかなり力を入れているので、それもひとつ楽しみにしてもらえると嬉しいです。
■和久井千尋

今回の役は実在する人物なので、ちゃんとイメージを持ってもらえるような、人としてのスケール感を出せたらと思っています。劇団を運営する上では先のことも考えつつ、1回きりの公演に集中して取り組んでいきたいです。

取材・文:野上瑠美子 撮影:藤田亜弓
<公演情報>
南極 第10回本公演 『宇宙戦争』
2026年8月22日(土) 会場:東京建物 ぴあ シアター
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/uchusenso/
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