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『六月博多座大歌舞伎』会見レポート。八代目菊五郎が各演目の見どころを語る

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尾上菊之助改め八代目 尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め六代目 尾上菊之助襲名披露『六月博多座大歌舞伎』が6月2日(火)に福岡・博多座で開幕する。それに先駆け合同取材会が開かれ、八代目尾上菊五郎が登壇した。

八代目 尾上菊五郎、六代目 尾上菊之助の襲名披露興行は昨年5月の東京・歌舞伎座で幕を開け、大阪、愛知、京都を経て、大劇場での襲名披露興行は博多座で締めくくられる。演目は、【昼の部】「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」「車引(くるまびき)」「新古演劇十種の内 茨木(いばらき)」、【夜の部】「ぢいさんばあさん」「男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)」「襲名披露 口上(こうじょう)」「連獅子(れんじし)」と華やかな演目が並ぶ。

博多座は大好きな場所

―八代目菊五郎さんの博多座総出演回数は今回で12度目ということになります。この襲名披露興行、大劇場ではここ博多座が締めくくりとなりますが、改めてどのような思いで臨まれますか。

「博多座は大好きな場所で、お客様が歌舞伎を心待ちにしてくださっているという空気が満ち溢れる劇場でございます。ですので今回、襲名披露興行でお邪魔させていただくのをとても楽しみにしておりました。昨年の襲名興行と違う点に『茨木』と『ぢいさんばあさん』の初役がありますが、もうひとつ、この博多座公演のために“祝幕”を作らせていただきました。タマホームさんに贈呈をいただき、今は言えないのですが、著名な作家の方に手がけていただいたもので、とても華やかで、音羽屋を象徴するような祝い幕になりました。まだ詳細は申し上げられませんが、ぜひ劇場でご覧いただきたいです」

―八代目菊五郎を襲名なさって約1年となりますが、名前への向き合い方に変化は出てきましたか?

「父である七代目菊五郎は現在も健在で、七代目と八代目が並び立つということに、最初の頃は違和感を持たれる方も多くいらっしゃったかと思います。けれども父が『しっちゃん・はっちゃんと呼んでくれ』と言ったように(笑)、七代目と八代目が並び立ち、私も最近では『八代目、八代目』という風に呼んでいただけるようになりまして、菊五郎という名前も少し馴染んできたような感覚でございます。(菊五郎としては)歌舞伎の魅力を現代のお客様にお伝えすることは勿論のことですけれども、歴代の音羽屋、初代から七代目の菊五郎に自分の芸を認めていただけるのか、という緊張感を持って舞台を務めています。これは菊之助時代には感じなかった菊五郎という名前の重みとして、日々感じながら舞台に立たせていただいております」

―同時襲名でご子息の菊之助さんが博多座初お目見得となります。歌舞伎俳優として、父親として、両方の見方をなさってると思います。今の菊之助さんをどんな風に思っていらっしゃいますか。

「今年、小学校を卒業致しまして中学校に入学いたしました。昨年5月に菊之助という、いわば青年期の名前を12歳という年齢で襲名させていただく機会もいただきまして、菊之助だからこそ勤めることが許されるような『道成寺』、『車引』、『連獅子』と、大人でも骨が折れるような大役を勤めさせていただきまして、一年を通して精神的にも肉体的にも、彼は懸命に努力をして成長していると思います。いま彼が大人でも大変な役に向き合う姿をぜひご覧いただいて応援していただければという風に思っております」

昼の部、夜の部の演目の見どころ

―演目についておうかがいします。まず【昼の部】は、「寿式三番叟」「車引」「新古演劇十種の内 茨木」が上演されますが、それぞれの見どころと、今回の襲名披露興行ならではのポイントをぜひお聞かせください。

「昨年の5月の幕開けにも『寿式三番叟』の五人での三番叟の形を取らせていただき、幕を開けさせていただききました。尾上菊之丞さんの振付けで新たにこの形で作り上げたものですが、五人の三番叟が踊り込んでいく姿が非常に華やかです。三番叟というと黒の衣裳なんですけれども、(今回は)五色の三番叟が彩りも豊かです。翁に坂東彌十郎さんに出ていただきまして、五人の三番叟が華やかに踊る舞踊で幕を開けさせていただきます。

『車引』は、なんと言っても九州は菅原道真公に縁のある土地でございますし、また歴代の音羽屋、初代菊五郎も菅原道真を非常に信仰しておりました。菊之助は昨年6月にも梅王丸を勤めさせていただきましたけれども、1年を経て、彼がまたどういう風に梅王丸を演じるのかは、これから稽古をしていきます。松王丸に中村鷹之資さん、桜丸に上村吉太朗と、1年経った3人の姿をまたご覧いただきたいと思っております。

『茨木』は、市川團十郎さんに渡辺源次綱を勤めていただき、私は伯母真柴実は茨木童子を初役で勤めさせていただきます。新古演劇十種というのは五代目菊五郎が作りあげたもので、最初に作った『土蜘(つちぐも)』を昨年大阪で勤めさせていただき、2番目に作られた『茨木』を今回、博多座で初役で勤めさせていただきます。『茨木』は、綱が茨木童子の腕を切ったことで物忌みをし、あと一日経てば魔力が消えるというところで、茨城童子が綱を育てた伯母の姿になって現れるところから物語は始まります。一見すると人間が妖怪を退治するお話に見えがちなんですけれども、新古演劇十種というのは、人間の欲や業と、鬼とされてしまった人たちの悲しみや鬼ならではの思いが、深く作品の根底にテーマとして流れています。退治される側の思い、そして退治する人間の業を感じていただければという風に思っております」

―続いて【夜の部】は、「ぢいさんばあさん」「男伊達花廓」「口上」「連獅子」です。

「『ぢいさんばあさん』は、以前るんを演じた際に、なんと心が温まる素晴らしいお話だと感じまして、ぜひもう一度やらせていただけたらと思いました。今回は伊織を初役でやらせていただいて、中村雀右衛門の兄さんに(妻の)るんをしていただくという機会を得ました。現代は人と会わなくても思いがスピーディーに伝わる時代ですが、この作品はそれが非常に難しい時代の話でございます。とある若い夫婦が、事件をきっかけに離れ離れになってしまって、37年の間、相手のことを思い続け、老夫婦になって会い、37年間の思いを伝える。人と人の思いというものがこの作品には非常に温かく流れております。博多座のお客様というのは、歌舞伎を待ってましたという気持ちでいてくださると同時に、お話に対してすごく興味を持ってくださると感じています。ぜひこの森鴎外さんのストーリーを味わっていただければと思っております。

市川團十郎さんの『男伊達花廓』は、團十郎さんの颯爽とした男伊達の姿と鮮やかな立廻りをご覧いただければと思っております。そして『襲名披露口上』では、先ほどお話し申し上げました祝幕を楽しんでいただきつつ、雀右衛門の兄さんに口上をしていただき、坂東彌十郎の兄さん、そして團十郎さんと口上を述べていただきます。團十郎さんは小さい頃から幼馴染のように育ってまいりまして、5月、6月の襲名披露興行では毎日のように口上が違い、小さい頃の思い出や一緒に稽古に通った思い出を述べていただきました。博多座で“團菊”が揃う舞台がとても久しぶりという風にうかがいました。これからも團十郎さんと、古典の魅力をお客様にお伝えするべく團菊として手を携えて頑張っていきたいという風に思っております。

そして『連獅子』でございます。“獅子は千尋の谷に仔を落とし、這い上がってきた子だけを育てる”という故事に基づいて成立した舞踊ですけれども、一年ぶりに菊之助と踊らせていただきます。襲名という大きな節目にあたって懸命に私も彼に稽古をつけてまいりましたし、彼もそれに応えて食らいついてまいりました。その親子の心をお客様にも見ていただきたいと思います」

菊五郎とは、伝統と革新の中で息づいている名前

―5月30日(土)には船乗り込みも予定されています。これまでの思い出などはありますでしょうか?

「コロナ禍の中止から再開の年に乗せていただいた時、両岸からお客様が紙吹雪とともに『おかえりなさい!』とおっしゃっていただきました。この『おかえりなさい』というのがとても嬉しかったですね。今回、菊之助は初めてですので、とても楽しみにしていると思います」

―菊五郎という名前に向き合い、どんな役作りをしていこうと思われていますか?

「初代が京都で菊五郎を名乗ってから約300年間、菊五郎という名前が歌舞伎とともに歴史を作ってまいりました。菊五郎というものは伝統と革新の中で息づいている名前だなということを改めて、襲名してから感じるところでございます。その歴史を襲名するにあたり、勉強し直し、歴代の菊五郎がどういう役を大事にしてきたのか、当たり役にしてきたのか、自分に何ができるのか、ずっと考えながら今舞台に立っております。これからも古典の魅力、復活狂言の魅力、そして新作歌舞伎、その3本を柱に、菊五郎の魅力、それから歌舞伎の魅力を現代のお客様にお伝えできるよう精進していきたいと思っております」

六月博多座大歌舞伎

6月2日(火)~22日(月)
博多座

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2666743

『船乗り込み』
5月30日(土) 13:00~
https://www.hakataza.co.jp/lineup/132#a7

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