面白い! 舘ひろし主演『免許返納!?』──ここまでやるか、のセルフパロディ【おとなの映画ガイド】
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『免許返納!?』 (C)2026「免許返納!?」製作委員会
続きを読む高齢ドライバーにとって切実なテーマをタイトルにした映画『免許返納!?』が、いよいよ6月19日(金)、全国公開される。主演は舘ひろし。ハーレーダビッドソンやレパードを乗り回し、ショットガンを撃ちまくっていたアクションスターも70歳を越えるとこういうことあるかも、と思わせるセルフパロディに近いコメディだ。豪華俳優陣が集結し、エンタメの世界を舞台にした業界内幕モノとしても、楽しめる作品になっている。
『免許返納!?』
舘ひろしの役名は南条弘。30数年前に舘が主演した作品の役名をそのまま使っている。カーアクションに出演しながら、免許を持っていない大スターが、一念発起して自動車学校に通うという、タイトルも『免許がない!』。舘ひろしのパブリックイメージを逆手にとった森田芳光脚本による設定を、そのままいただいちゃったのがこの映画のシャレたところ。

南条は、ことし70歳。1980年製作の『ハーレーライダー』で、疾走しながらショットガンをぶっ放すアクションが評判となりスターダムにのし上がった。その後数々の話題作に主演、2024年には文芸ドラマ『老人家族』で各映画賞の主演男優賞を総ナメにし、演技派としても評価が高い役者である──。
そんな、舘ひろしの過去をなぞったようなバイオグラフィーとフィルモグラフィーを先ず作り、そこから脚本家の林民夫がオリジナルストーリーを完成させた。

映画は、東映の三角マークと日活のロゴ(この2社の製作なのだ)が映し出され、『ハーレーライダー』のいかにも80年らしい1シーンから始まる。オートバイにまたがるノーヘルの男は南条と尾崎誠(宇崎竜童)の若い頃。まるで、『あぶない刑事』のタカとユージのようなバディであり、親友であり、ライバルである。

ふたりはいい年になってもいろいろ張り合っている。古希祝いパーティで「芸術映画なんかやりやがってよ。丸くなったもんだね、弘も」と尾崎に茶化されたときも、南条は悔しくて地団駄を踏んだ。ところが、尾崎がバイクの事故に遭い、入院。複雑な気持ちでテレビの取材にコメントしたのだが、それが拡大解釈されて「南条、免許を自主返納へ」と書き立てられることに。

憎まれ口をたたき合うふたりだけれど、アクション映画にかける熱い思いは同じ。病床にある尾崎の願いを知った南条は、ある行動にでるが……。

華のあるクセ強めなキャスト陣の熱演も見もの。お調子者で大胆な事務所社長に吉田鋼太郎、かつて天才子役だったサバサバ系毒舌マネージャー・川奈役は西野七瀬。南条の妻役は中山忍。

尾崎の縁者役がこれまた凄い顔ぶれで、最初の妻は大地真央、二番目の妻は真矢ミキ、三番目の妻がMEGUMI。美しいバラ(…には棘がある)系の競演だ。そして、その息子は『怪物』や『国宝』で名を馳せた黒川想矢。

もちろん、快進撃のつづく舘ひろしはパワー全開で熱演。かつての、ブイブイならしてちょいワルでカッコイイ、でもちょい肩肘張りすぎ、というイメージはここ10年ですっかり昇華され、自然体ダンディの域に達しているわけだが、それがうまくこの作品に活かされている。『帰ってきた あぶない刑事』での年齢を重ねたバディ感、『港のひかり』での高倉健を彷彿とさせる元ヤクザの漁師……、本作はそれらを含めた自身を、見事にカリカチュアライズしている。それも嫌みなく。

旅の途中で、トラブルに巻き込まれたところを、デコトラのトラック野郎(八嶋智人)に助けられ、彼の姉(南野陽子)がやっているスナックで飲むことになる。ふたりとも実は南条の大ファン。この店で、拝み倒されてカラオケを歌うことになるのだが、その曲は「泣かないで」。いわずと知れた舘ひろしの持ち歌だ。舘ファンだったという河合勇人監督のアイディアだそうだが、これはファンにはたまらないと思う。“ハズキルーペ”だってお茶目にかけちゃうし、ここまでやるか!の数々。驚きました。
文=坂口英明(ぴあ編集部)

(C)2026「免許返納!?」製作委員会

