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音で旅をする、音で語り合う。チェリスト・宮田大が盟友ジュリアン・ジェルネを迎え故郷・栃木へ

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宮田大

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フランスから始まりアメリカへと向かう、音楽による旅。チェリスト・宮田大が15年以上の盟友ピアニストであるジュリアン・ジェルネを迎え、故郷・栃木で舞台に立つ。40歳という節目の年に、2人がつむぐのはどんな「物語」か。

きっかけは「ジェットコースターの待ち時間」

2009年、宮田大はロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで、日本人として初の優勝を果たした。その直後、南フランスのマントン音楽祭で初めて顔を合わせたのが、ベルギー生まれのピアニスト、ジュリアン・ジェルネだった。

宮田は「最初から波長が合っていた」と振り返る。

「相手が音楽で新しい波を起こそうとした時に、それが気持ちのいいウェーブだと自分も乗ってみようと思える。ジュリアンが挑戦しているなら、自分はこの音で応えてみようかなと。音楽の発想とか気持ちの変化って一期一会なので、0.1秒単位で変わる音のニュアンスを舞台上でお互いに感じ合って、一緒の波に乗っていくんです。それがジュリアンとは初めましての時からできていた」

宮田が「ぜひ次のツアーに来てほしい」と頼むと、ジュリアンが快く承諾して来日してくれた。それから15年以上、毎年のように2人で日本ツアーを回る。

演奏中、チェロとピアノは背中合わせだが、阿吽の呼吸で音楽を合わせることができた。一方で、なかなかスムーズにいかないこともあった。言葉の壁だ。

「私は英語があまり得意ではなくて、最初の頃は探り探りなところもありました。でも、2014年頃、二人で後楽園遊園地やUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に行ったんです。ジェットコースターの待ち時間って長いじゃないですか。これは逃げられないぞと(笑)。ジュリアンも自分の拙い英語を理解しようと努力してくれて、言葉の壁を優しさで取っ払おうとしてくれたことがありがたかったです」

プライベートの会話が増えたことで、信頼関係はグッと深まった。その優しさはリハーサルにも現れるという。

「ジュリアンは初日から完璧です。共演者によっては本番に向けて少しずつ完成度を上げていくタイプもいますが、彼は最初から100%で来てくれる。日本でのツアーをすごく大切にしてくれていると感じます」

旅の地図は、音でできている

(左から)宮田大、ジュリアン・ジェルネ

今回のプログラムは、ジュリアンの母国語であるフランス語にちなんで、フランスの作曲家の作品をメインに据えたという。

前半の軸となるのは、フォーレの「5つの歌」とサン=サーンスのチェロソナタ第1番。フォーレの選曲はジュリアンの発案で、チェロとピアノに合う歌曲を5曲選び出した。本来は声楽のための作品だが、宮田はチェロを「人間の声に近い楽器」だと話す。

「チェロは弾くとか奏でるというより、歌う、という表現がしっくりくると思うんですよね。歌曲との相性がいいんです」

一方、後半から旅の景色はフランスからアメリカの視点に移っていく。ガーシュウィンの「パリのアメリカ人」では、オーケストラのさまざまな音をチェロとピアノだけで表現する。

「オーボエやクラリネット、タクシーのクラクション音まで!どこまでオーケストラの音を出せるのか、挑戦です」

そして、ジョン・ウィリアムズのハリウッド映画音楽の世界へ――。観客を飽きさせないようアイデアを練った、バリエーションに富んだプログラムだ。

「音楽で世界を旅するように、1曲1曲のストーリーを感じてもらえたらうれしい」

内側からにじみ出るもの

公演直前の7月5日、宮田は40歳の誕生日を迎える。音楽家として節目の年に、地元・栃木での公演は特別な意味を持つ。

特に、宮田が「人間の成長を描いているような曲」というサン=サーンスのチェロソナタ第1番には、新たな境地が見えてきたという。

「若々しいエネルギーの中に、内なる感情が秘められている作品。だからこそ、40歳になった自分が弾いたら、フレッシュさだけではない、内側からにじみ出るような音楽になると思うんです。それを、ホームである栃木で、ジュリアンと演奏できる。すごく幸せなことですよね」

地元の皆様から「大ちゃん」と親しみを込めて呼ばれてきた。その温かさは、ジュリアンにも伝わっているという。

「前に栃木で演奏した時、ジュリアンに『大の表情がやわらかかった。ここは居心地がいいんだね』と言われたんです。トークの様子を見て、そう感じたそうです。言葉がわからなくても、空気感で伝わっているんだなと驚きました」

会場となる栃木県総合文化センターは客席がすり鉢状で、観客の顔がよく見える。幼い頃から見守ってくれた先生たちも駆けつけてくれる。アットホームな空気の中で、その瞬間にしか生まれない音があるはずだ。

「これまで何度も弾いてきた曲でも、40歳になったからこそ感じる、熟成した演奏を届けたい。ぜひ、その変化を確かめに、聴きに来ていただきたいです」

取材・文:北島あや

<公演情報>
宮田大チェロ・リサイタル2026 with ジュリアン・ジェルネ【栃木公演】

2026年7月18日(土)
会場:栃木県総合文化センター メインホール

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2607459

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