日本初上演ミュージカル『AGATHA(アガサ)』製作発表記者会見レポ ート&花總まり×黒羽麻璃央×渡邉蒼が語り合う役柄への取り組み
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『AGATHA(アガサ)』製作発表記者会見より(後段左から保坂知寿、内田未来、原田優一、上原理生、東山光明、丸山泰右、前段左から渡邉蒼、花總まり、黒羽麻璃央)
アガサ・クリスティ没後50年の節目となる今年、脚本・作詞ハン・ジアン、作曲ホ・スヒョンによる韓国発のミュージカル『AGATHA(アガサ)』の日本初上演が実現する。“ミステリーの女王”アガサ・クリスティの実際の失踪事件、その空白の11日間に迫る本作。日本版初演への期待が高まる中、先日都内で実施された製作発表記者会見に、主演の花總まりをはじめ、黒羽麻璃央、渡邉蒼、上原理生、原田優一、東山光明、内田未来、丸山泰右、そして保坂知寿という全出演者が登壇した。その模様を取材するとともに、アガサを演じる花總まり、ロイ役の黒羽麻璃央、レイモンド役の渡邉蒼に話を聞いた。
抽選で選ばれた40名の参加者と報道陣が待ち構える中、会見はキャストたちの歌唱披露でスタートした。冒頭は、将来を嘱望される推理作家・レイモンドを中心として披露された「悪夢」。渡邉の気迫のこもった歌に上原、原田、東山、内田、丸山、保坂がコーラスとして加わる、ゴージャスで迫力に満ちたオープニングナンバーだ。アガサの担当編集長・ニューマン役の東山、アガサの私生活を追う記者・ポール役の原田とレイモンド役・渡邉によるコミカルな「捜査協力」に続き、謎めいた存在・ロイによる「闇の刻印」を、黒羽が妖しげに、情感豊かに歌い上げると、最後にアガサ役の花總が登場。自分だけの空間に身を置くアガサが自身の内面を歌う「夢の中」で、本作のミステリアスな世界観を垣間見せた。
その後挨拶の場にのぞんだ花總は、稽古序盤戦という段階での歌唱披露だけに「緊張した」、「歌詞を間違えた」と告白するみんなに、同意したり驚いたりしつつ、作品をアピール。「お話の根本にあるのは、アガサ・クリスティが11日間行方不明になったという、実際に起こったこと。この作品自体が推理小説のようなので、謎解きをする感覚で観ていただくと、皆さんとの一体感も生まれるのではないかなと思います」。
ロイ役について黒羽は、「あまり言うなと言われていて(笑)、謎のままに」としながら、「一冊の推理小説のようなストーリー。登場人物に感情移入し、推理しながら楽しんでいただけるのでは」。渡邉も「戯曲の読後感は日本のミュージカルで感じたことのない感覚で、クリストファー・ノーランの映画を見たときのようでした」と述べた。
アガサの夫アーチボルド役の上原も、「本当によくできている作品。事実は小説より奇なり。楽しみにしていただきたいです」。
「捜査協力」でコミカルな演技を見せた原田は、「稽古していない歌だったので、結構好き勝手に動いていました(笑)」というが、コンパクトなカンパニーゆえに自身を含め大半のキャストが複数の役を担うため、「最初から汗だく。千秋楽近辺には“ちょっと細くなった?”となるのでは」とユーモアたっぷりだ。
東山も「作品はシリアスですが、カンパニーはすごく明るい。舞台では全員、音楽が鳴り出したらノンストップです」。
アーチボルドの秘書ナンシー役の内田は、「緩急がとても美しい。華やかなところとミステリー特有の緊張感、空気の揺らぎみたいなものを多く感じます」と笑顔を見せる。
警部エリック役の丸山も「作られた方々の願いのようなものが、押し付けがましくなく伝わってきます」。
保坂が演じるのは、アガサに長年仕えるメイド、ベス。「アガサ・クリスティの小説の色、空気感など、受け取れるものに満たされた舞台。彼女の小説を読んでみたくなる作品を届けられたら」と意欲的だ。
“ミステリーの女王”のイメージを壊さずに──花總まりが語るアプローチ。
会見終了後、花總、黒羽、渡邉に尋ねたのは、それぞれの役柄について。
これまで何人もの歴史上の人物を演じてきた花總だが、今回演じるのは“ミステリーの女王”。どのようなアプローチを? と聞くと、「スチール撮影では、アガサ・クリスティさんのあの有名なお写真を思い浮かべていました。でも、取り組むのは今回の脚本、音楽であり、11日間の失踪事件。大事なのはそこに書いてある台詞ですから、演出の末永陽一さんと相談しながら作っていきたい。そして、皆さまが持つアガサ・クリスティさんのイメージを壊したくはありません。晩年と若い時というふたつの年代を行き来する形で物語が展開されるので、自分なりに楽しみながら、うまく作っていけたらいいなと思っています」。
黒羽にロイのことをもう少し、と訴えると、「物語が進むにつれて、ミステリーのように紐解かれていきます。アガサが失踪している時間に存在し──あ、これも言ってはだめ(笑)?」と探り探りで匂わせる。そんな黒羽について、「麻璃央くん自身も、以前共演した『エリザベート』のルキーニのイメージとは全然違うんです(笑)。いろんな顔を持つという点でロイと重なると感じます」と花總。黒羽も「花總さんも、稽古場で出番を終えて戻ってきたとたん、“ほわん”とされて(笑)、その二面性が素敵なんです」と言葉を返した。韓国ミュージカルの魅力については、「韓国の方は感情の起伏が豊かなところがあって、ちょっと憧れがある。それが日本の人たちに刺さるのかなと感じます」と分析する。
渡邉が演じるのは、なんと13歳から40歳までのレイモンド。「13歳といっても、すごく賢い。クリスティの小説の、ポアロ的な役割かと思いますが、推理小説らしいストーリーだけで終わらないのがこの作品。13歳としての初登場の台詞について、演出の末永さんは“お客さまに何かを与えられる人であることをここで見せて”とおっしゃったのですが、アガサに対しても、いっぱい与えていかなければと思っています」と述べ、「人間の深層心理の暗い部分を描けるのは、その技術があるからこそ」と、韓国ミュージカルの素晴らしさを讃えた。
最後に「二度三度と観ると、“あ、ここでこんなこと言っていたわ”とか、“あ、これ見逃していたわ”と、のめり込んでいくと思います」と本作の魅力を語った花總。「色々な方に観ていただきたいと思っています」と呼びかけた。
取材・文:加藤智子
<公演情報>
ミュージカル『AGATHA(アガサ)』
Lyrics and Book by HAN JIAHN
Music by HUH SOOHYUN
演出・上演台本・訳詞:末永陽一
翻訳:宋元燮
音楽監督:甲斐正人
出演:
花總まり
黒羽麻璃央 渡邉蒼
上原理生 原田優一 東山光明
内田未来 丸山泰右
保坂知寿
【東京公演】
2026年7月18日(土)~8月2日(日)
会場:よみうり大手町ホール
【愛知公演】
2026年8月15日(土)・16日(日)
会場:名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
【大阪公演】
2026年8月27日(木)〜31日(月)
会場:森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】
2026年9月4日(金)〜6日(日)
会場:キャナルシティ劇場

