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團子・壱太郎ほかで今夏上演 スーパー歌舞伎の新作『もののけ姫』製作発表記者会見レポート

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スーパー歌舞伎『もののけ姫』製作発表記者会見より、左から)横内謙介(演出)、市川中車、市川團子、中村壱太郎、鈴木敏夫(株式会社スタジオジブリ・代表取締役プロデューサー)

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三世市川猿之助(二世猿翁)が、歌舞伎の伝統と斬新でダイナミックな演出とを融合させたスーパー歌舞伎を世に送り出したのが1986年。『ヤマトタケル』から始まったその系譜に、いよいよ新作が加わる。猿翁を祖父に持つ市川團子とその父・市川中車ら澤瀉屋の面々、さらに中村壱太郎、中村時蔵、市川門之助という強力な布陣で贈る『もののけ姫』だ。原作は、1997年の公開から今もなお世界中で愛され続け、アニメの枠を超えて映画史におけるマスターピースとなっているスタジオジブリの同名映画(宮﨑駿原作・脚本・監督)。6月5日、都内で行われた「製作発表記者会見」に足を運んだ。

会場に詰め掛けた大勢の記者とカメラを前に、やや驚いた様子で登場した登壇者たち。呪いをかけられた少年・アシタカを演じる團子と、山犬に育てられた少女・サンを演じる壱太郎も、いつも以上に表情を引き締めている様子が見受けられた。

冒頭、松竹の山根成之取締役副社長・演劇本部長より「二世猿翁がスーパー歌舞伎を始められて40年という節目の年に、スタジオジブリさんの作品を歌舞伎で上演が出来ますことが嬉しく、また光栄の極みと思っております」と挨拶。続けて「日本を代表するコンテンツ(スタジオジブリ)と、歌舞伎界でも非常に魅力的なスーパー歌舞伎というコンテンツとが合わさることによって、お客様がご覧になったことがないような舞台が出来上がるのではないかと思っております」と自信をのぞかせる。

続けての挨拶となったスタジオジブリの鈴木敏夫代表取締役プロデューサーは、「『もののけ姫』の映画を作ろうとした時、本当にいろんな方から“時代劇なんてもう古い”と言われて反対されたのを思い出しました。それでたくさんのご意見を伺って、一個一個クリアしていって、やっと映画にすることが出来たんです。今日、宮﨑とふたりで話していて、それと同じことを歌舞伎の世界でもう一度やれるということに感動していました」と原作者の想いを伝える。さらに「これは時代劇だよ、チャンバラなんだよ、と。だから歌舞伎になることはごく自然な流れじゃないかって、そんなことも言っていましたね。團子さんと壱太郎さんとは先日お話をしていて、このおふたりなら成功は間違いないと思いました」と明るい表情で期待を寄せた。

一方、猿翁と長くタッグを組み、スーパー歌舞伎『八犬伝』を始め、スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』などの演出も担当してきた横内謙介は、「この素晴らしい仕事に携わることに責任の重さを痛感しております」と真剣な面持ちだ。

「猿翁さんは、常に『古典を守りながらも、現代人に届く舞台にしなければいけない』とおっしゃっていました。キャッチコピーのようなものをとも言われて、“夢見る力”(『新・三国志』)などといったコピーもそれで付けたんですね。今回は猿翁さんがいらっしゃらない(中での初めての新作な)ので、表立ってこうだというわけにはいかないのですが、もし猿翁さんに伝えるとしたら、(映画に出てくる)『ともに生きよう』という言葉ではないかなと。それは現代の我々だからこそ考えなければならない、解決していかなければいけないテーマだと思いますし、今回はそれにしたいですと、先ほど猿翁さんのお墓参りで伝えてきました」とスーパー歌舞伎そのものへの想いもまじえて語った。

團子が語る「皆さまが明日を生きる活力となるような舞台に」

鈴木プロデューサーの映画製作秘話と、横内の猿翁との思い出を、強い眼差しでじっと見つめながら聞き入っていた團子。

市川團子

「スーパー歌舞伎は、祖父が『現代の人にも歌舞伎の魅力を伝えたい』という精神のもと、命がけで創始したものでございます。そして『もののけ姫』は国内外でも本当に人気で、ジブリの代表作でもある、そういった作品でございます。この2つの大きな冠の中で歌舞伎として新作を上演するということに、正直怖さもあります。それでも今は覚悟を持って、どうにかいい舞台を創って、おひとりでも多くの皆さまに感動していただければと思っています。そして皆さまにとって明日を生きる活力となる舞台となるよう、出演者の皆で力を合わせて、誠心誠意、向かっていきたいと思っております」とひと言ひと言を噛みしめるように話した。

次いでマイクを持った壱太郎は、「僕の人生で、おそらく一番大きな歌舞伎の記者会見になっています」と率直に心境を吐露。

中村壱太郎

「それだけ注目されているということに、改めてワクワクとドキドキを感じています。先ほど鈴木さんがこれは時代劇だとおっしゃっていましたが、本当に時代冒険活劇だと思いますし、ひいては脈々と続く歌舞伎の歴史の中で、僕らは今“冒険”しているんだと感じています。たくさんの出演者とスタッフがいて、みんなでこの冒険を始めて、さらに7月3日の初日から8月23日の千穐楽まで冒険が続いていくんですね。僕が演じるサンはタイトルロールであり、ひと言では表せない“少女と獣”を掛け合わせた“歌舞伎の女方”になるんじゃないかと思っています。新しい歌舞伎の、多分新時代の幕開けの舞台になると僕は感じていますので、『これを観なければ損だ』と思わせるような作品にしたいと思っております」と熱くアピールした。

中車も「壇上の皆さまからどんどん熱が伝わってきて、この公演はとても豊かなものになる予感がしています。1986年に父がスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』を打って出た時、先ほど鈴木プロデューサーが『もののけ姫』を発信したと時と同じように、たくさんの方から“止めた方がいい”という意見があったと聞いております。しかし父はやりとげ、成功させて、40年が経ちました。その時父が感じていた熱というのも、もしかしたらいま私がこの空間で感じている熱と同じようなものかもしれない、と思いました」と想いを語る。

「また、父が猿翁を、私が中車を、そして息子が團子を襲名したのが2012年、今回と同じく新橋演舞場でした。その頃、父と何度も何度も話し合いを重ねていたことも思い出しましたし、先ほど横内さんがお墓参りをしてくださって、この場に父がいてくれているような気がしております。本作も父の意思を継いで、“父だったらどうするか、父ならどう考えるか”ということを全員で感じながら、壱太郎さんや時蔵さん(エボシ御前役)たちのお力も借りながら、前に進んでいきたいと思っております」と感慨深い表情で締めくくった。

6月12日より配布開始された本公演限定のオリジナルチラシ。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが特別に描き下ろした「もののけ姫」の人気キャラクター、森の精霊・コダマと題字を組み合わせたオリジナルデザイン。

その後、アシタカの役づくりについて聞かれた團子は、「まだ稽古に入る前なのですが、寡黙な人物であるということ、王子であり、孤独で呪われた運命にも腐らずに立ち向かうということ。それから奔走した姿が未来において大きな影響を与えているという、この3つの点がアシタカという人物を構成する大きな要素だと解釈しています。台本(脚本は丹羽圭子と戸部和久)を読んで、まず原作へのリスペクトを感じましたし、その上で、全体的には映画の要素と歌舞伎の要素との塩梅が大切なポイントになると思っています」と話す。

壱太郎も、「この壮大なスケール感は、台本だけではまだまだ計り知れないところがあると感じています。今は多分たくさんのことを考えていらっしゃるであろう横内さんと、5、6時間はしゃべりたい気持ち(笑)。先ほど『ともに生きよう』という言葉があったのですが、まず人と人、そして人と生き物、さらに生き物と自然とが、共にどう生きるか。その大きな丸の中で、どうやってサンを演じるのかっていうところが、大きな起点になってくるように思いました」と、緊張気味の中にも笑顔をにじませた。

新たな歌舞伎の流れの中で、大きな足跡を残すであろう本作。熱気あふれる壇上の様子に、本番への期待がますます高まる会見となった。


取材・文:藤野さくら


<公演情報>
スーパー歌舞伎『もののけ姫』

原作:宮﨑駿
オリジナル音楽:久石譲
脚本:丹羽圭子 戸部和久
演出:横内謙介
協力:スタジオジブリ
製作:松竹

【キャスト】
アシタカ/シシ神:市川團子
サン:中村壱太郎
エボシ御前:中村時蔵
ジコ坊:市川猿弥
モロの君:市川笑三郎
甲六:市川青虎
猩々:市川寿猿
ヒイさま/トキ:市川笑也
ゴンザ:市川門之助
乙事主:市川中車

2026年7月3日(金)~8月23日(日)
会場:東京・新橋演舞場

関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/mononoke-kabuki/

公式サイト:
https://mononoke-kabuki.jp

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