長塚圭史演出で描き出す実在した難民キャンプの物語 KAAT『ジャングル』詳細発表
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長塚圭史 (撮影:宮川舞子)
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すべて見る2026年10月10日(土) から11月1日(日) まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>で上演される、長塚圭史演出による『ジャングル』の公演詳細が発表された。
本作は、ドーヴァー海峡に面したフランス北部の港町・カレーで、2015年初頭から2016年10月まで実在した難民キャンプ「ジャングル」での出来事をもとに、ヨーロッパ諸国で大きな社会問題となっている移民・難民問題を描いた、ジョー・マーフィー&ジョー・ロバートソンによる作品。ロンドン・Young Vicでの初演時(2017年)には、多国籍なキャスティングと臨場感のある舞台美術で大きな話題となり、その後世界各地で上演されている。
難民キャンプ「ジャングル」にはさまざまな国から、異なる言語、文化、宗教を持つ人々が集まり、ともに生活を送っていた。難民・移民問題に対して身近に感じることが難しい日本人にとっても、作品に描かれる「分断」や「不寛容」は誰もが直面しうる課題だ。今回、この多様な人種の物語を、長塚が主宰を務める劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」と、公募で集まった神奈川県民で上演。難民キャンプという多様な個が集まった環境を、年齢や職種などバックボーンが異なるメンバーで構成された阿佐ヶ谷スパイダースと神奈川県民がともに創作することで表現する。舞台上に登場する俳優たちとともに、観客も「ジャングル」を体感することで、遠い世界での出来事として捉えるのではなく、身近な課題として向き合い、県民や観客をはじめ、この作品に関わるすべての人たちと共有することを目指す。
会場設計は、多様な使い方ができる同劇場大スタジオの特長を生かし、臨場感のある舞台装置と特殊な客席形状を予定。キャストとの距離感も近く、物語の世界に入り込んだような感覚で観劇することができる。また、実際のキャンプの中にも飲食店があり、本作にも登場人物が作り上げたレストランが登場。より世界観に入り込めるよう、会場内で飲食物などの物品販売が行われる。客席での飲食とあわせて、登場人物のひとりになったような気分で芝居を楽しめる。
本作について長塚は「今尚世界中で戦争は続き、世界で増え続ける難民は我々の問題でもあります。本作はこうした世界の難民・移民問題の現状の深刻さを語るだけではありません。限りなく現実に近いフィクションであり、人間が果たして如何に生きるか、我々の善意とはどこにあるのか、あるいは悪意はどこまで歯止めが効かないのかを問います」とコメントしている。
なお、本作はKAAT神奈川芸術劇場2026年度のテーマ「なぜ人は線を引くのか -Why do people draw the lines?」を掘り下げる3作のうちの1作。2026年度は長塚がKAATの芸術監督に就任して第2期目の最初の年にあたり、今後のプログラムの新たな展開を予兆させる挑戦となる。同テーマのもと、『蛙昇天』(作・木下順二、演出・ウォーリー木下)が10月下旬から11月上旬に、『もうちょっとしたら、このあたりで』(仮)(作・兼島拓也、演出・田中麻衣子)が2027年1月下旬から2月上旬にそれぞれ上演される予定だ。
【あらすじ】
フランス北部の港町・カレー。ここには、中東、アフリカ、アジアなど世界各地から逃れてきた移民や難民が集まり、難民キャンプがつくられている。通称「ジャングル」。
難民たちはみな、よりよい環境を求めてドーヴァー海峡を渡り、イギリスにたどり着くことを目指している。異なる言語、文化、宗教を持つ人々が共に生活をする中で、イギリス渡航への希望を抱きながらも、劣悪な環境や政治的な無関心、暴力、差別などの現実に直面する。
カレーでの出会いや交流を通じて生まれる葛藤、連帯、そして分断。
登場人物たちは、互いに言葉が通じない中でも助け合い、時には衝突しながらも、共通の目的に向かって生き抜こうとする。それぞれの居場所を求め続け、行きつく先は──
希望と絶望が交錯する日々の中で、「人間らしさとは何か」「共生とは何か」を問い直される、彼らの、そして私たちの物語。
■長塚圭史 コメント全文
「人はなぜ線を引くのか?」
KAAT神奈川芸術劇場、2026年度のテーマ作品です。
昨今、日本でも難民については大きく問われています。2015年、欧州で大きく注目された、フランス北部のドーヴァー海峡に面するカレーという街に、渡英を切望する数千人の難民が集まりました。ここはやがて難民キャンプとなり、「ジャングル」と呼ばれるようになります。2年ほどで、フランス政府によりこのキャンプが強制的に解体されたという出来事をご存じの方もいらっしゃるかと思います。
中東、アフリカからやってきた難民たちの祖国は、どこもかつて英仏あるいはその他の欧州列強国に占領・統治された歴史を持つ国々ばかりというのはあまりにもシニカルです。本作の劇作家ジョー・マーフィーとジョー・ロバートソンもまた、大国イギリスの本音と建前に鋭く迫ります。
今尚世界中で戦争は続き、世界で増え続ける難民は我々の問題でもあります。本作はこうした世界の難民・移民問題の現状の深刻さを語るだけではありません。限りなく現実に近いフィクションであり、人間が果たして如何に生きるか、我々の善意とはどこにあるのか、あるいは悪意はどこまで歯止めが効かないのかを問います。
そしてKAAT神奈川芸術劇場の大スタジオが大胆に普段と様相の異なる劇場となります。
ぜひ劇場でご体感ください。
<公演情報>
『ジャングル』
作:ジョー・マーフィー&ジョー・ロバートソン
翻訳:小田島創志
演出:長塚圭史
音楽:阿部海太郎
出演:
坂本慶介 藤間爽子
大久保祥太郎 森一生 李千鶴
板崎泰帆 内間遼 すやまあきら 西山斗真 松本庵路 宮崎柊太
アミリ健アルヴィン 古燈直人
平木幹太 村田亘将 依田光正
伊達暁 中村まこと 中山祐一朗
千葉雅子
他
2026年10月10日(土)~11月1日(日)
会場:神奈川・KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
チケット一般発売日:2026年8月1日(土)
公式サイト:
https://www.kaat.jp/d/jungle2026
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