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赤澤遼太郎、29歳の挑戦「悔しさとハングリー精神は持ち続けていたい」

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インタビュー

ぴあ

(撮影:興梠真帆)

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その眩しい笑顔と愛すべきキャラクターで、多くの人から弟のように親しまれてきた赤澤遼太郎も、今年で29歳。大人の俳優として、今までにない表情を見せるようになってきた。

そんな赤澤の成長を目撃できるのが、毎年恒例の記念公演だ。25歳から続けている本公演も今年で5回目。29歳の今年は、苦手なダンスをテーマに『踊らないと出られなイ世界』に挑む。

挑戦を続ける赤澤の根底にあるのは、今も昔も変わらない悔しさとハングリー精神だった。

年を重ねるほど恥をかいていかないといけない

――これまで赤澤さんは記念公演で苦手なことに挑戦し続けてきました。苦手なことって基本的にやりたくないと思うんですね。なぜ赤澤さんは苦手なことにチャレンジしようと思ったんでしょうか。

僕も基本的にやりたくはないんです(笑)。でも、苦手なことから逃げ続けているのも良くないなと。だから、せっかくならその苦手をお客さんと一緒に共有して、コンテンツにできたら面白いなと思ったのがきっかけです。

28歳の記念公演では和殺陣にチャレンジしたんですけど、その後に『大逆転!戦国武将誉賑』という明治座さんの舞台があって、そこで殺陣を披露したときに、記念公演でやったことが活きているんだって感想をいただけたんですよ。僕はそれがうれしくて。需要と供給がいい感じにマッチしてきたなって、回を重ねるごとに実感しています。

――今回の29歳記念公演でチャレンジするのはダンスです。

ダンスは本当にいちばん苦手です。事務所の人から「次は何をやる?」と聞かれても、ずっとダンスとは自分から口に出してこなかったんですよ。今回も「次はダンスはどう?」と言われて、「ダンスっすか……?」とはぐらかすやりとりを3ラリーくらいました(笑)。でも、もう逃げられないなと。僕も来年で30歳。やっぱり年を重ねるほど恥をかいていかないといけないなと思うので、自分の成長のためにもここはやるしかないと腹を括りました。

――ダンスの何に苦手意識を抱えているんですか。

いちばんはリズム感ですね。グルーヴ感みたいなのが苦手で。昔から『太鼓の達人』がめちゃくちゃ下手くそなんです。弟のほうが上手いよってよく言われていて。子どもの頃にそういう言葉をかけられたのもあって、おのずと苦手意識を持つようになったのかなと。

――動画を見て踊るとき、ちゃんと左右逆にして踊れる人ですか。

踊れないです。

――反転動画じゃないとわからないですよね。

そうですそうです! オーディションでダンスがあるときは正面から撮った動画しか送られてこないので、マジで大変です。1回、左右を逆に覚えちゃったことがあって、オーディション会場に行ったら自分だけみんなと左右逆で踊ってたことがありました(笑)。

――じゃあ、今人気の『好きすぎて滅!』とかも踊れない?

無理です(笑)。でも今回の記念公演では、そういうTikTokで人気のダンスもやってみようかなと。事前に練習したら、ある程度のものにはなっちゃうので、あえて準備はせずに。恥をかくということが公演の目的でもあるので、全然できない姿も全部みなさんにお見せできたらと思っています。

『リチャード三世』では稽古中にトイレで悔し泣きした

――ファンのみなさんにとっては、そういう成長を見られるのもまた劇場へ行く楽しさのひとつだと思います。この間、『リチャード三世』を観に行ったんですよ。そしたら、赤澤さんが初めてのシェイクスピアにもかかわらず、しっかり存在感を残していてびっくりしました。

ありがとうございます! 『リチャード三世』は間違いなく僕のターニングポイントになる作品だと思っています。まず出演者のみなさんがすごい方たちばかり。その中でみっちり稽古ができる時間もとっていただけて。本当に贅沢な環境を整えてもらったと思っていますし、これでダメだったら僕はもう俳優としてダメだという気持ちで臨みました。

――きっとプレッシャーも相当あったんだろうなと思いました。

ありましたね。いちばん難しかったのは、やっぱり言葉です。松岡和子さんの訳したシェイクスピアの台詞って詩的で、至るところで韻を踏んでるんです。それを操るのが難しくて。でも(吉田)羊さんや(渡辺)いっけいさんはまるで現代語のように自分のものにしている。もう本当についていくだけで精一杯。稽古場のトイレで、できない自分が悔しくて泣いたこともありました。

――森新太郎さんの演出も、赤澤さんがよくお出になっている2.5次元舞台とはまた違いますしね。

いちばんびっくりしたのはBGMがないことでした。かかったとしても、本当に必要最低限。僕、こういう環境で台詞を言うのがほぼ初めてだったんですよ。この場を自分だけで持たせられるのかなって、はじめのうちはずっとビクビクしていました。

――2幕の序盤に、赤澤さんの演じたバッキンガムの見せ場があるじゃないですか。あそこなんて今の年齢の赤澤さんだから出せる躍動感があって、すごく良かったですよ。

うれしいです。あそこのシーンも最初は台詞を言おうとばかりしてたんですけど、ある日の稽古終わりに森さんと30分くらいマンツーマンで稽古をする時間があって、そこで今の形に変わったんです。やっぱりあれだけ重厚な顔ぶれの中にいると、自分ももっと渋みを出す方向を夢見ていたんですけど、それも違うなと。とにかく汗だくになりながら、森さんのおっしゃることを一つひとつやってみて。そこで一気に僕のバッキンガムの方向性が掴めた。

次の日にまた同じシーンをみなさんと稽古したんですけど、羊さんたちもびっくりしていました。あの瞬間の、僕のバッキンガムがみなさんに届いた感覚は忘れられないです。そこからは今まで抱えていた不安がなくなって、楽しくバッキンガムを演じられました。

――あの階段のちょっと高いところに足を上げるお芝居が好きです。

あれは森さんもお気に入りのシーンです(笑)。森さんは本番の幕が開いてからも毎日劇場に来てノートをくださるんですけど、たまに足を上げられない日があって、そのときは必ず「なんで上げなかったの?」って言われます(笑)。今回は本当に森さんにたくさん支えていただきました。2幕のそのシーンに入る前は、いつも森さんが「行ってこい」って僕の背中を叩きに来てくださるんです。

――いいお話です。

もう森さんのことが大好きです! 『リチャード三世』に出会えたことは、僕にとって一生の財産。ちょうどMANKAI STAGE『A3!』という大きな作品を卒業して、新しい場所に踏み出すタイミングでもあったので。ここで情けない姿を見せたら、『エーステ』という作品にも、一緒にやってきた仲間やファンのみなさんにも顔向けできないぞと。稽古中も挫けそうになったら、秋組のみんなが観に来てくれたときに誇らしく思ってもらえる自分でいたいって、その気持ちを支えに頑張っていました。

29歳になって玄米を食べるようになりました

――29歳の記念公演ということで、ちょっと20代のご自身を振り返ってもらおうと、21歳のときに出したファースト写真集『にじゅういち』を持ってきました。

(写真集を見て)わー! 顔が全然違う(笑)。若いですね。撮れないですよ、こんなの(と、波打ち際でパシャパシャしているカットを開く)。これと、ベッドでシーツにくるまってるカットは若手俳優が必ず通る道ですよね(笑)。そう思うと、29になったんだなって感じがします。

――赤澤さんは日頃からご自身のポジションや実力に対する焦りを素直に口に出してきました。今もその焦りはありますか。

めっちゃありますね。それこそ10年以上役者としてやってきましたけど、音楽がかかっていない環境で芝居をしたことがほぼなかったのも特殊じゃないですか。そういうことも含めて、まだまだ経験が全然足りないなって感じますし。もっといろんな作品に挑戦していかなきゃいけないなって、『リチャード三世』をやって改めて思いました。

――人気に対してはどうですか。

人気は最近そんなに気にならなくな……いや、嘘っす。カッコつけました(笑)。やっぱりみんな売れてるなとか、普通に思います。でも、そこの悔しさは持っていていいものなのかなと。「あいつは人気だから」を言い訳にしたくない。ちゃんと悔しさとハングリー精神を持った上で、自分にできるアクションを起こしていきたいと思っています。

――21歳の赤澤さんに取材した際、「大人になったなと感じることは?」という質問に対して、赤澤さんは「ハイボールを飲めるようになったことかな」と答えていました(笑)。

もうやめてください! オーバーキルですそれは(笑)。マジで恥ずかしい!

――29歳の赤澤さんは「大人になったなと感じることは?」という質問に、なんと答えますか。

えー、日本酒を飲めるようになったことかな(笑)。

――重ねてきた(笑)。

いや、待ってください。もうちょっとちゃんとしたことのほうがいいですよね(笑)。あ、税金とか保険のことについて考えるようになりました。周りでも「いい税理士さん知ってる?」とか、そういう会話が増えてきて。

――それ、あと10年したら今度は健康の話ばっかりになりますよ。

みたいですね。『リチャード三世』でも大先輩方が「膝が痛い」とか「ラーメンが食べられなくなった」とか、そんな話をよくされています(笑)。

――逆に29歳になってから始めたことってありますか。

玄米を食べるようになりました。28歳までは本番前でもバーガーキングとか腹いっぱい食べてたんですけど、食べすぎると血糖値も上がるし、体に合っていないなと思うようになって。最近は鮭を焼いて、玄米とお味噌汁を食べるのが朝ごはんの定番。そしたら結構調子がいいので、これは続けようかなと思っています。

あと、『リチャード三世』をやってからなんですけど、本番前に台詞を返さなくなりました。今までは本番で飛ぶのが怖くて必死に返してたんです。けど、そうすることでアップで返したリズムを本番で追っちゃうところもあって。勇気を出して返さずやってみたら意外とうまくいって。今は頭の中でイメージトレーニングはするけど、初めてその日声に出すのは板の上というのが僕のトレンド。そうすると、自分の吐いた言葉にも新鮮に反応できるのでいいなって。それが、29歳の新たな発見です。

取材・文:横川良明 撮影:興梠真帆

★7月12日(日)まで、赤澤遼太郎29歳記念公演舞台『踊らないと出られなイ世界』オフィシャル先行受付中!
https://w.pia.jp/t/ar29th-kinen/


<公演情報>
赤澤遼太郎29歳記念公演舞台『踊らないと出られなイ世界』

企画・プロデュース:赤澤遼太郎
脚本:佐藤友治
演出:後藤健流

出演:赤澤遼太郎 後藤健流 回替わりVTRゲスト

2026年9月3日(木)~7日(月)
会場:東京・シアター・アルファ東京

公式サイト:
https://x.com/akazawa_kinen

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