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山時聡真、本島純政、村井良大が繊細かつ爆発力のある演技で新たな一面を見せる『オーファンズ』開幕!

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『オーファンズ』ゲネプロより (撮影:阿部章仁)

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山時聡真、本島純政、村井良大の3人による舞台『オーファンズ』が東京芸術劇場 シアターイーストで開幕。前日に行われたゲネプロの模様をレポートする。

ライル・ケスラーによる本作は1983年にシカゴで初演され、その後、日本も含め世界中で繰り返し上演されてきた世界的名作戯曲。物語に登場するのは一組の兄弟と、彼らを導く謎の男の3人だけ。凶暴な一面を持つ兄のトリート(山時)とナイーブな弟のフィリップ(本島)、ひょんなことからこの二人と生活を共にすることになるハロルドと名乗る男(村井)──。愛に飢えた3人の孤児たちの魂の共鳴を描き出す。

物語の舞台になるのは、アメリカ・フィラデルフィアの郊外にある古い一軒の家。ソファやテレビ、クローゼットにテーブルセットなどひと通りの家具は揃ってはいるが、床には空き瓶やゴミが散乱し、壁は落書きだらけで人間的な生活を送ることができる空間とは言い難い状況である。

フィリップはひとり、リビングでTVを見ているが、そこへ今日の“仕事“を終えたトリートが帰ってくる。二人の会話やリアクションから、彼らがたった二人でこの家に暮らし、トリートは盗みなどの犯罪行為によって金品を奪って生計を立てていること、フィリップはトリートの命令により、ほとんど家から出たことがなく、読み書きもろくにできないこと、そして、この二人は、兄のトリートが弟のフィリップを精神的に支配・抑圧することで成り立っているという異常さ、歪さが見えてくる。

だが、そんな二人のパワーバランスが、ひとりの闖入者の存在によって崩れていく。ある日、トリートが家へと連れ帰ってきたのがひどく酔いつぶれた男・ハロルド。トリートはハロルドがかなりの額の証券類をカバンの中に持っていることを知り、彼を人質に大金をせしめるべく誘拐を計画する。

だが翌日、酔いから醒めたハロルドは、自分がイスに縛り上げられていても、決して動じることはない。自らの手で縄をほどき、トリートから見張りを命じられていたフィリップを懐柔しその心にスッと入り込み、フィリップの肩を優しく抱いて、生まれて初めての“安心”を彼に与える。やがて、トリートが家に戻り、ハロルドが家で気ままに過ごしていることに激昂するが、ハロルドはそこでもまったく慌てることなく、自らも孤児であることを明かし、トリートとフィリップに破格の週給で自分の部下として働くことを提案する。

当初はそんな提案など一顧だにせず、暴力でハロルドを支配しようとするトリートだったが、逆に力でねじ伏せられ、ハロルドの提案通り、彼の部下として仕事を始めることになる。

ここから、トリート、フィリップ、ハロルドの3人の奇妙な共同生活が始まる。トリートはスタイリッシュなスーツに身を包み、ハロルドのボディガード、そして“使い”として彼の指示に従いながら仕事を覚えていく。そしてフィリップも、ハロルドから知識や教養、マナーを教えられ、自分自身や社会と向き合っていく。純真なフィリップがハロルドの導きの下で貪欲に様々なことを吸収し、成長を遂げていく一方で、トリートは自らの内にある暴力性や感情を抑え込むことができず苦悩する。ハロルドという“メンター”の存在によって安定と落ち着きを手に入れたかに見えた二人だったが、その関係性は少しずつ変化し、やがて衝撃的なクライマックスを迎えることに──。

宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』で主人公の声を担当し注目を集め、その後も話題作への出演が続く山時と、『仮面ライダーガッチャード』でデビューし、舞台版『光が死んだ夏』への主演も反響を呼んだ本島。凶暴性をのぞかせながらも愛を渇望するトリートと純真でナイーブなフィリップという感情表現の落差の激しい役柄を、若い二人が爆発力と繊細さをもって見事に演じている。特に、いびつな愛情と恐怖によって保たれてきた二人の関係性が、ハロルドという異物の存在によって変化していくさまは本作の大きな見どころ。知識や教養を得ることでフィリップが成長し、自らの支配が及ばなくなっていくことに焦りと戸惑いを感じるトリートと、外の世界へと目を見開いていくフィリップの対比を山時と本島が鮮やかに体現しており、共にこれまでの出演作とは違った顔を見せてくれる。

そして、若い二人の人生に決定的な変化をもたらすハロルドというキーマンを村井が独特の存在感で魅力的に表現。従来の上演では、もう少し年齢が上の俳優が演じることが多いとされるハロルド役だが、30代後半の村井はベテランのような風格を漂わせつつも、軽やかに“兄”のようなポジョションに立って演じており、飄々としながらも不思議と温かく、優しいまなざしで二人を見守り、導いていく。

衝撃的な物語の結末の中で、孤児たちはその視線の先に何を見るのか──?

取材・文:黒豆直樹 撮影:阿部章仁

<公演情報>
『オーファンズ』

作:ライル・ケスラー
翻訳:小田島恒志
演出:荒井遼
出演:山時聡真 本島純政/村井良大

2026年6月28日(日)〜7月5日(日)
会場:東京・東京芸術劇場 シアターイースト

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/orphans/

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