山下美月×藤野涼子が極上のコンビ感! 滋賀・大津の名所も再現された舞台『成瀬』が開幕
ステージ
ニュース
舞台『成瀬は天下を取りにいく』ゲネプロより、左から)成瀬あかり=山下美月、島崎みゆき=藤野涼子 (c)宮島未奈/新潮社 (c)松竹
続きを読むフォトギャラリー(11件)
すべて見る2024年本屋大賞を受賞した大人気小説で、宮島未奈のデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』。3作目の『成瀬は都を駆け抜ける』をもってシリーズは完結となったが、第1作と続編の『成瀬は信じた道をいく』を原作にした舞台が、7月4日、東京・サンシャイン劇場で開幕した。そこで初日前日に行われた公開ゲネプロ、および出演者の山下美月、藤野涼子、山崎静代、ISSEI、天宮良、田畑智子が登壇した囲み取材の模様をレポートする。
滋賀県大津市・膳所(ぜぜ)に暮らす中学2年生の成瀬あかりは、誰からも一目置かれる存在。そんな成瀬が夏休みの始まり、幼馴染の島崎みゆきにこう宣言する。「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。8月末に閉店する西武大津店に通い、そこから中継される夕方の情報番組に毎日映る、ということらしい。西武ライオンズのユニフォームを着用し、日々西武大津店に足を運ぶ成瀬。島崎も渋々成瀬につき合っていたが、ついに閉店というその日に……。
やはりこのシリーズの一番の魅力は、成瀬あかりという規格外の人物の魅力に尽きる。勉強ができて、運動神経も良く、絵を描くのも、かるたも、けん玉もうまい。かといってただの優等生ではなく、10代という若者ながら、人としてスケールがとにかく大きいのだ。その場の空気を読む、といった忖度は決してせず、興味のあることにとことんのめり込み、自らの道をひたすら突き進む。一番の目標が、「200歳まで生きる」というのも成瀬ならば納得である(そして成瀬ならばそれも可能だろうと信じられる)。
そんな決して“等身大”ではない成瀬という役に挑戦することになったのが、本作が初の単独主演舞台となる山下美月。これがまたハマり役で、そのスッとした佇まいと独特の口調は、まさに原作から抜け出てきた成瀬そのもの。けん玉スキルの高さにも驚かされる。山下自身は「(成瀬と)自分に似ているところはまだ見つかっていませんが……」と笑いつつ、「やっていてすごく楽しいですし、今までにやったことのないような面白いキャラクター。普段できないようなことを舞台上でさせていただいています」と目を輝かせた。

そんな成瀬という絶対的な軸がありつつ、本作はその周囲の人々が輝く群像劇として非常に秀逸。当初は成瀬というその特異な存在を疎ましく思ったり、嫌煙したりしていた人々も、いつの間にか成瀬のペースに巻き込まれ、それまでの自分とは違う一歩を踏み出すことになるのだ。自身もそんなひとりであり、ずっと成瀬を近くで見守ってきたのが幼馴染の島崎。成瀬の非凡さに目がいきがちだが、島崎の存在が成瀬にとっていかに大きいかは、あるエピソードからも明らか。島崎役の藤野の自然体な演技がまた素晴らしく、藤野は「山ちゃん(=山下)演じる成瀬あかりの面白さを伝えることが、島崎みゆきの見どころであり、頑張っていきたいところです」と意気込みを語る。
そんな成瀬と島崎は、漫才コンビ・ゼゼカラを結成し、M-1グランプリにも挑戦している。劇中にも漫才を披露するシーンがあるが、プロの漫才師である山崎は、「めちゃくちゃふたりが可愛いんですよ。なんかニコニコしながらずっと見ちゃうというか、それですべてが成立している感じ。堂々とした掛け合いも素晴らしいですね」と太鼓判を押す。
また一見成瀬とは縁遠いと思われがちな“恋愛”パートを担うのが、広島の高校生・西浦航一郎。成瀬のこれまでにない一面を見られるパートだが、演じるISSEIは本読みの際、脚本・演出のG2から「『それだとモテそうだからちょっとやめようか』と言われて……」と苦笑い。普段とは真逆(?)な役柄に挑む、意外な苦労を語った。またISSEIが「西浦の頑張りどころ」と挙げる、成瀬とのデートシーンは、実際にある“ミシガン”というクルーズ船が舞台。そのミシガンを始め、成瀬の世界観に欠かせない、滋賀県大津の名所がそのまま舞台上に再現されているのもたまらない(美術:伊藤雅子)。
小説の各エピソードを散りばめた構成も見事で、原作ファンも納得の舞台化。早くも続編が期待される一作だ。
取材・文:野上瑠美子
<公演情報>
舞台『成瀬は天下を取りにいく』
原作:宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』(新潮文庫刊)、『成瀬は信じた道をいく』(新潮社刊)
脚本・演出:G2
キャスト:
成瀬あかり:山下美月
島崎みゆき:藤野涼子
呉間言実:山崎静代
ISSEI:西浦航一郎
成瀬慶彦:天宮良
成瀬美貴子:田畑智子
ほか
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2667289
【東京公演】
2026年7月4日(土)~7月12日(日)
会場:サンシャイン劇場
東京公演公式サイト:
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/naruse_2607s/
【京都公演】
2026年7月16日(木)~7月26日(日)
会場:南座
京都公演公式サイト:
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/naruse_2607m/
【滋賀公演】
2026年7月28日(火)~7月29日(水)
会場:大津市民会館 大ホール
滋賀公演公式サイト:
https://www.otsu-kaikan.jp/event/38854/
フォトギャラリー(11件)
すべて見る
