久世岳の人気コミックが“体感型2.5次元舞台”に! 舞台『うらみちお兄さん』シアターサンモールで開幕
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『体感型2.5次元舞台 うらみちお兄さん 〜集まれ!飛び出せ!よい子のみんなこんにちは!〜』より (撮影:早川潤)
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すべて見る久世岳による人気コミックを原作とした『体感型2.5次元舞台 うらみちお兄さん 〜集まれ!飛び出せ!よい子のみんなこんにちは!〜』が、7月8日に東京・シアターサンモールで開幕した。
子ども向け教育番組「ママンとトゥギャザー」の体操のお兄さん・表田裏道(西海龍人)が、笑顔の裏に大人の本音を抱えながら過ごす日常を、歌のお兄さん・蛇賀池照(二階堂心)や歌のお姉さん・多田野詩乃(澤田真里愛)、ウサオ君こと兎原跳吉(中田凌多)、クマオ君こと熊谷みつ夫(大海将一郎)ら個性豊かな面々とともに描き出す。初日に先立ち行われた公開ゲネプロより、“体感型”な本作の見どころをレポートする。
劇場に足を踏み入れると、そこはそのまま子ども向け教育番組「ママンとトゥギャザー」の収録スタジオ。お兄さんたちの登場前には、AD・枝泥エディ(島田弘蓮)が観客に声出し練習をうながしてくれる。おかげで本編が始まる頃には、観客はすっかり番組に参加する“よい子”のひとりだ。
舞台化にあたって何より嬉しいのは、原作の空気がそのまま立ち上がっている点だろう。情緒不安定になりながらも体操のお兄さんとして奮闘する、うらみちお兄さんの日常が、“体感”という舞台ならではの強みをフックに、巧みに舞台作品へと昇華されていた。表の顔で大人として頑張る時間は、テンポよく進んでいく。だからこそ、感情のスイッチがオフへと切り替わった瞬間に大きなギャップが浮かび上がり、そこに笑いが生まれる。コメディ漫画である原作をサクサク読み進めながら腹を抱えて笑う、その感覚を体感できる場として、劇場が機能していたのが印象的だ。

その笑いを生んでいるのが、キャスト陣の振れ幅の大きな芝居だ。うらみちお兄さんを演じる西海を筆頭に、蛇賀池照を演じる二階堂心、多田野詩乃を演じる澤田真里愛を加えた3人が、マイナス100からプラス100までを一瞬で行き来してみせ、明るいだけではない悲哀を抱えた大人像を表現。表情は“お兄さん・お姉さん”のままなのに、ふと毒舌な本音がこぼれ出る。その塩梅が絶妙で、大人なら誰しも一度は頭をよぎったことのある未来への不安や、子どもの世界とは違う世知辛さが、笑いとともに舞台へあふれ出していく。
本音だけにスポットを当てず、全力のお兄さん・お姉さんを描くという原作の面白さも、Viviが手掛けた脚本はしっかりと拾っている。原作でおなじみの「ABC体操」をはじめ、番組内で披露された季節の歌など、5〜6曲が登場。歌のコーナー以外も充実しており、お絵かきコーナーやちょっとした寸劇コーナーも用意されている。その度にさまざまな衣裳を着せられ、やけに短パン率が高いうらみちお兄さんの姿も見どころのひとつだ。そして、番組そのものを本格的に作り込むことで、舞台上にたくさんの子どもたちの笑顔が想像できる。番組が幸福であればあるほど、そこに差し込む大人たちの本音の苦さが際立つ。この落差の設計こそ、本作を唯一無二にしている。
そして忘れてはならないのが、番組に欠かせないお友だち、着ぐるみのウサオ君とクマオ君の存在。動きに制限があり、さらに顔が隠れてしまうという条件のなか、中田凌多と大海将一郎はそれぞれ兎原と熊谷の個性をしっかりと表現してみせる。西海ら3人の熱演に、この2匹のお友だちの奮闘が加わることで、客席はいつしか舞台を観ているというより“番組に参加している”感覚に包まれていく。元気よく返事をし、歌い、踊り、ときには大玉を転がし!? 観劇を“体感”へと変える工夫が随所にちりばめられており、客席にいるのは、もはや観客ではなく番組を作る“よい子”の面々だ。“体感型”の看板は、伊達ではない。

物語に厚みを与えるのは、うらみちお兄さんたちだけではない。放送局社員の木角半兵衛や上武裁人も、負けず劣らずの強烈な個性を放つ。猫田又彦が営むバー「CAT KICK」では、猫田・兎原・熊谷の体育大同期組の気の置けないやりとりや、うらみちお兄さんと兎原たちの大学時代の先輩後輩関係が垣間見える一幕も。番組収録の現場を軸としながら、オフィスでのやり取りやオフの時間が差し挟まれることで、物語に心地よい緩急のリズムが生まれていた。
何もしたくない、しんどい──そうこぼしながらも、次の日がくればまた元気に子どもたちの前に立つ。そんなうらみちお兄さんの姿は、コメディとしておもしろいだけでなく、観る者に不思議と元気をくれる。原作に触れたときと同じあの感覚を、舞台で体感しながらもう一度味わえるはずだ。
会場の熱気を客席で浴びるもよし、後日の配信でその世界に浸るもよし。番組収録を軸とした本作は、配信とも相性がよい。画面越しに、「こんにちはー!」と手を振るお兄さん・お姉さんを眺めるのも、本作ならではの楽しみ方だ。本作は兎原・熊谷過去編を描くAパターン公演と、池照過去編を描くBパターン公演がある。配信ではAパターン・Bパターンの両公演が楽しめるので、二つの物語を見比べてみるのも一興だ。配信限定特典としてメイキング映像も視聴できる。本編のゆかいさを思えば、こちらも期待できそうだ。かつて“よい子”だったすべての大人たちに、ぜひ本作を見届けてほしい。
取材・文:双海しお 撮影:早川潤
<公演情報>
『体感型2.5次元舞台 うらみちお兄さん 〜集まれ!飛び出せ!よい子のみんなこんにちは!〜』
原作:久世岳(comic POOL/一迅社刊)
脚本:Vivi
演出:三貝豪(PLANET KIDS ENTERTAINMENT)
出演:西海龍人 二階堂心 中田凌多 大海将一郎 澤田真里愛 田口巧輝 島田弘蓮 小椋涼介 中島礼貴 鷲尾修斗
2026年7月8日(水)〜12日(日)
会場:東京・シアターサンモール
【配信情報】
■生配信
2026年7月12日(日) 13:30開演/Aパターン公演
2026年7月12日(日) 18:30開演/Bパターン公演
■アーカイブ配信
2026年8月14日(金) 10:00~20日(木) 23:59
※アーカイブ配信期間中は、本編に加えて配信限定特典としてメイキング映像を視聴可能。
販売期間:2026年8月20日(木) 20:00まで
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/uramichi-stage/
公式サイト:
https://uramichi-stage.com/index.html/
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