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現職総理大臣の父と息子が入れ替わる!? 池井戸潤作品を舞台化した“痛快政治コメディ”『民王』有澤樟太郎×別所哲也インタビュー

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(左から)別所哲也、有澤樟太郎 (撮影:森好弘)

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半沢直樹シリーズや直木賞受賞作『下町ロケット』などで“働く人々”の心情をまざまざと描き出し、映像化作品もヒットを連発するなど、今や国民的作家とも称される池井戸潤。そんな池井戸作品で初の舞台化となるのが、本作『民王』だ。ドラマ版でも高視聴率を獲得した本作は、ミュージカルとしての上演が決定! 総理大臣・武藤泰山の息子・翔役に有澤樟太郎、泰山役には別所哲也と、ミュージカル 『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』でも親子役で絶妙なコンビぶりを見せたふたりが再タッグ。他に豊原江理佳、林瑠奈(乃木坂46)、山崎大輝、上川一哉、福田転球、一路真輝、竹中直人と、手練の役者陣が脇を固め、“痛快政治コメディ”を盛り上げる。有澤と別所に意気込みを聞いた。

現職総理大臣・武藤泰山(別所)と息子で大学生の翔(有澤)は、ある日突然、身体と心が入れ替わってしまう。悩む間もなく“泰山”として国会に出ることになった翔だったが、政治に興味がなく遊んでばかりの日々だったため、トンチンカンな答弁を繰り返すことに。文書の漢字すら読めず誤読する“泰山”に世間の批判は集中し、さらに周囲ではスキャンダルが勃発! 一方、学生の“翔”になってしまった泰山も、就職面接で横柄な態度を披露して不合格となってしまう。その後も政界にうごめく人々や翔の友人たちが入り乱れ、事態は思わぬ方向へと展開する。

オファーを受けたとき、「翔は有澤さんにピッタリだからというお話をいただいて、役どころを見たら“現職総理のドラ息子”。それってどういう意味なんだろう……と初めは思ったんです」と笑いながら明かす有澤。

「ところが原作を読んでみると、翔は一見ダメ息子のようですが、実はまっすぐで、言葉に芯がある青年だということが分かりました。本音と建て前を使い分ける政治家ではないから、翔は“泰山”になってからも本音で戦っていく。こんな素敵な役にオファーしてくださったんだと、とても嬉しかったです」と目を輝かせる。

「まず、あの池井戸作品がミュージカルになるというので驚いて、さらに総理大臣役というのでまた驚いて……」と、こちらも胸中を話すのは別所だ。

「僕はこれまで海外ミュージカルに出演することが多かったので、前回有澤さんと親子役で出演した『ジョジョの奇妙な冒険』も、イチから作っていくところにやりがいを感じました。今回も同じくオリジナルのミュージカルですから、これはぜひチャレンジしたいなと。もちろん原作もドラマも拝見していたので、こんなに素晴らしい作品を有澤さんと親子役でできることに、今から武者震いをしています」と笑顔で話す。

インタビュー中も、有澤の発言に別所が「そうそう!」と共感を示すなど、すっかり意気投合している様子のふたり。とはいえ世代の異なる両者が入れ替わるという“難役”には、どう挑むのだろうか。

「僕はやっぱり、翔のイメージはつかみやすいんです。でも泰山に関しては総理大臣なので正直、役づくりはどうすればいいのか悩みますし、まずは稽古場で別所さんのアプローチを見させていただいてから作っていこうと思っています。親子だから似ている部分があると思うので、若者の自分と年を重ねてからの自分、というイメージで少しずつとらえていければ」と有澤。

「公式サイトの告知映像を役柄として有澤くんと撮ったんですが、すでに試行錯誤が始まっていたよね(笑)。あのときは僕の中に“有澤樟太郎”がいるイメージだったけれど、稽古場でもこんなに素敵な青年をどう自分の中に入れ込めばいいのか悩むと思う。どちらにしても、有澤さんに怒られないように作っていかないと」と別所が茶目っ気たっぷりに話すと、「何をおっしゃるんですか!」と有澤がツッコむなど、信頼関係の中で役づくりを目指している様子が伝わってくる。

クリエイティブ陣も豪華な顔合わせが実現! 「すごくミュージカルらしいミュージカルになりそう」

スタッフに目を転じると、脚本は映画『シャイロックの子供たち』で第47回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞したツバキミチオ。ミュージカルには初めての参加だ。楽曲は、カーネギーホールでソロリサイタルを開催するなどピアニストとしての評価に加えて、Cateen(かてぃん)名義でYouTube活動も展開する角野隼斗。角野は池井戸からのラブコールを受けたもので、こちらもミュージカルには初参加となる。そして演出は、舞台『千と千尋の神隠し』での演出補・レジデントディレクターや、舞台『ヒストリーボーイズ』ほかで翻訳・演出を務め、高い評価を得ている永井誠と、クリエイティブ陣も豪華な顔合わせが叶った。

まず、「池井戸作品のミュージカル化をツバキミチオが手掛ける」ことについて、ふたりに尋ねると。

「台本を読んで、ツバキさんは本当にミュージカルがお好きなんだなというのがとても伝わってきました。やっぱりミュージカルに出ている側としては、どうなるんだろう?と興味津々だったんです。それが、冒頭から息子と父親のコントラストがドラマティックに描かれていて、皆さんが気になっているであろう入れ替わりのシーンも、こう描かれるんだと驚きました。その後もテンポよく進んでいくので、あとは僕らがそれをどう演じるかにかかっているよね」と有澤を見る別所。有澤もうなずきながら、「すごくミュージカルらしいミュージカルになりそうですよね」と興奮の面持ちだ。

「原作とドラマは泰山のシーンから始まるんですが、ミュージカル版は違うので新鮮でした。物語の構成も、『この場面はこちらにくるんだ!』という驚きがあります。だから完成したら、また新しくて素晴らしい『民王』になるんじゃないかって、今からワクワクしています」と有澤は話した。

ミュージカル作品だけに、角野の楽曲にも注目だ。

有澤が「おしゃれで洗練された楽曲が、さすが角野さんという感じです。一方でブロードウェイっぽさを感じる力強い曲もあって、これが本番で生演奏されたら、どれだけ聴きごたえがあるだろうと、今から楽しみです」と語ると、別所も「クラシカルで壮大な感じの曲もあれば、ドライブで聴きたくなるようなジャジーな曲もあるよね。角野さんはニューヨーク在住だから、その辺りも関係あるのかな?」と会話が弾む。

「本作は“痛快政治コメディ”ということで、劇中の政界ではいろいろあるものの、息子の視点で世界が見直されていったり、親子の関係が再構築されたり、池井戸先生が原作で書かれたメッセージが音楽に乗せて表現されていく。それってミュージカルならではの魅力だなと感じます」と有澤。

続けて「僕自身も翔と同じように、政治には生活者としての素朴な気持ちしか持っていなかったんですが、本作では泰山のような政治家側と翔みたいな国民側、どちらの気持ちも描かれているのが面白いなって思うんです。“ザ・政界”とでもいうような言い分も、国民側の『こう思う』という意見も描かれていて、両者が並ぶナンバーがあるのも楽しいです」と有澤は話す。

別所も「政治を難しいものと敬遠するんじゃなくて、そこに泰山と翔の親子関係や入れ替わりという要素を入れたのは、やっぱり池井戸先生のメッセージだと感じますね。政治は人間で成り立っているものだし、一方で学生の就活だってとても大切。世代こそ違うけれど、それぞれの場所でそれぞれの人がモヤモヤしたり頑張ったりしていることを、お客様に軽やかにお届けできれば」と語る。この点についても、シリアスで多層的なテーマを含んだ舞台『ヒストリーボーイズ』を見事にまとめあげた永井の演出なら、今作でも確かな期待をもって劇場に向かうことができそうだ。

「お客様には楽しんで観ていただければ嬉しいです」(有澤)、「ショーアップされる部分も面白くなりそうです」(別所)というふたりの言葉を胸に、9月の開幕を楽しみに待ちたい。

取材・文:藤野さくら 撮影:森好弘

<公演情報>
ミュージカル『民王』

原作:池井戸潤『民王』(文春文庫/角川文庫)
脚本:ツバキミチオ
音楽:角野隼斗
演出:永井誠
共同音楽:浪岡真太郎(Penthouse)
歌詞:大原拓真(Penthouse) 角野隼斗

【キャスト】
武藤翔:有澤樟太郎
武藤泰山:別所哲也
村野エリカ:豊原江理佳
南真衣:林瑠奈(乃木坂46)
貝原茂平:山崎大輝
新田理:上川一哉
蔵本志郎:福田転球
武藤綾:一路真輝
城山和彦:竹中直人

【東京公演】
2026年9月6日(日)~10月6日(火)
会場:シアタークリエ

【大阪公演】
2026年10月11日(日)~13日(火)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

【福岡公演】
2026年10月17日(土)~19日(月)
会場:博多座

関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/tamiou/

公式サイト:
https://www.tohostage.com/tamiou/

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