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宮本佳林のクリエイティブに対する熱い思い 高い解像度を持って表現される楽曲世界 「一分一秒を争いながら進化したい」

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宮本佳林はこれほどまでに熱い人間だったのか――。
7月29日にリリースされた両A面シングル「HANAKIN/シャニカマー」に際した今回のインタビューで、そのように感じた。楽曲自体はとてもポップで共感性が高い。一方で宮本自身は、高い解像度で楽曲の世界を解釈し、描き出している。
ハロー!プロジェクト在籍時より歌唱力や表現力の高さに定評があったが、2020年12月にJuice=Juiceを卒業して本格的にソロ活動をスタートさせてから、アーティスト性に磨きがかかっている宮本。今回はそんな彼女に「HANAKIN/シャニカマー」や、10月よりスタートする公演『宮本佳林 5周年記念LIVE TOUR 2026』について話を訊いた。

今の世の中は、あらゆる分野・場面で選択肢が増えている

――"華金"と言えば、昭和・平成初期は職場の同僚や友人とパーっと派手に盛り上がって過ごすイメージでした。ただこの楽曲のなかで歌われている"華金"は、自分の時間を大切にして楽しむものとして描かれていますね。

休日前のワクワク感はかつても今も変わらないと思います。でも昭和・平成初期の"華金"が「みんなと早く飲みに行って盛り上がりたい」だったら、今は「早く帰って"推し活"したい」なのかもしれません。私も、休日前はいつもと違う過ごし方をします。たとえば普段なら、翌日のむくみを気にしちゃって塩分が高いものは控えるのですが、次の日が休みなら気にせずに食べます。特に、大きなボトルに入った駄菓子のイカ。体が「もう無理です」「1日の塩分量を超えそうです」と言っているのが聞こえるんですけど、そんなことはお構いなしに食べます。

――そうやって開放的な気分で"華金"を楽しむことができるのも、普段から仕事などを一生懸命がんばっているからですよね。この曲を聞くとそうした背景が伝わってきます。

ただ私の場合は、基本的には仕事を休みたくないタイプなんです。休むと、すごく疲れた気持ちになります。どうしてだろうと思って「休むと逆に疲れる理由」を調べたり、考えたりしたんです。そこで分かったのが、休日はやれることがたくさんあって、選択肢が増えることが疲れにつながるようなんです。実際に選択は人間の体力や労力を消費する傾向があるという論文もあるらしく、それを知って「そういうことか」って。

――それは納得です。だから、ルーティンの生活って逆にすごく楽なんですよね。

毎日、やることを決めて動くことができますもんね。たとえば友人と食事へ行くにしても、「なんでもいいですよ、食べたいものを食べましょう」と言う人って、優しいように見えるけど実はそうじゃないと私は思っていて。選択させるということは、相手に労力を渡しているということなんです。

――たしかに!

だからそういう場合は、選択肢を3つくらいに絞って、相手に「どうする?」と渡すとスムーズなんです。しかも今の世の中は、あらゆる分野・場面で選択肢がどんどん増えているし、いろんなことが技術的にもできるようになってきました。だからこそ"華金"や休日も、やりたいことも増えて、逆に疲れてしまうことがあるのだと思います。

――その点「HANAKIN」で歌われている内容はシンプルでいいですよね。デパ地下で惣菜を買ったり、ちょっと高めのモンブランをたべたり、ポイント2倍を狙って買い物をしてちょっとしたハッピーを味わったり。

「HANAKIN」の主人公は、自分なりの金曜日の楽しみ方を知っているから、疲れることもなく快適に過ごすことができているのではないでしょうか。なんなら、曲を聞いたみなさんもこの歌詞の通りに過ごせば、きっと気楽で楽しい"華金"になるかも!

――宮本さんは"華金"や休日はどのような過ごし方をするのですか。

結局、休みの日もその前夜も仕事をしている感覚です。映画を見ても、「今度、ラジオで話そう」と考えちゃって、細かくしっかりと見てしまいます。最近はAIを使ったバイブコーディングにハマってしまい、ますます休む時間がなくなってきました。

――自分でコードを書くのではなく、AIにさまざまな指示を出すなど対話を重ねながら、アプリやシステムを制作・開発するものですね。

今回の「HANAKIN」にちなんで、「週末生態系診断」という診断サイトのようなものも作って公開したり。AIがさまざまなことを教えてくれるので、勉強したいことも増えました。

――AIを使った開発や勉強が、活動にも生きているのですね。

「エンタメとAIは相反するもの」という考え方やイメージは、どこかにあると思います。たとえばAIが作風や声などを模倣できてしまい、それがクリエイティブを脅かすとされています。私自身もAIをすべてのクリエイティブに活用することは大賛成というわけではないのですが、一方でクリエイターがいろいろな方面に知られる手助けになるはず。そうなるためのAIの存在は絶対に必要だと思い、勉強をしてより良い使い方を模索したいんです。

「誰に何を言われるか分からないけれど、私はこれを表現する」

――宮本さんの話を聞いて、「HANAKIN」はそれぞれの時間の使い方を歌った曲だと実感しました。一方の「シャニカマー」も、洗練されたメロディーに乗せて歌われる、皮肉やひねくれが感じられる歌詞が興味深い1曲です。

そういえば人に言われたんですけど、私は中高生時代が一番ひねくれていたようなんです。今は「それだったら論破できる!」と謎の自信があって、ひねくれる必要もなくて(笑)。「シャニカマー」はすごく分析しがいがある曲で。例えばきれいな夜景を見ることができるテラス席で二人が食事をするじゃないですか。でもそんなテラス席って1カ月前から予約しないときっと取れないだろうし、なんなら予約の時点で当日の天気がどうなるか分からない。雨が降ったらどうするつもりなんだろうって。予約してくれた相手の気持ちはすごくうれしいし、ありがたいけど、当日の状況が見えないのって私は疑問を感じちゃう!

――ハハハ(笑)。

こういうことを言うと「宮本佳林は斜に構えている」と言われるんですけど、これは論破なんです(笑)。この曲のインタビューでよく「斜に構えていることはありますか?」と質問されますが、そんな風に自分のことを思っていなくって。自分は斜に構えていないと思っている時点で、斜に構えるということを意識しているから、構えている可能性がある。私は構える、構えないじゃなくて……。

――宮本さんとご飯を食べに行くときは、ざっくり「なに食べる?」を聞くのはダメで、テラス席を用意した日には論破までされてしまう!

だけど「シャニカマー」に出てくる女の子って、最初は「テラス席は肌寒い」と言いながら、徐々に相手に絆され始めているじゃないですか。こういう器用で慣れている男性はキケンなのに! 曲を歌うときは主人公の気持ちになりきっていますが、宮本的には「ねえ、大丈夫? 騙されている可能性があるよ」って言いたくなっちゃいます。

――逆に宮本さんってなにをされたらうれしいんですか?

私はよく、自分が行ったことがないような国や場所の動画を見るんです。どこかの国の奥地とか。知らない知識や世界観を知ることができるので。自分の「当たり前」や「普通」は、生きてきた世界の中で構築されてきた普通であって、それぞれの価値観でしかないと思います。だから、「常識的に」や「普通に考えて」という言葉を常用してはいけないなって、そういう動画などを見て気付かされます。そういう気付きや知識を与えてもらえると「うれしい」と思うことができます。

――そんな「HANAKIN」「シャニカマー」などを引っ提げ、10月より『宮本佳林 5周年記念LIVE TOUR 2026』がスタートします。大阪では11月8日、OSAKA MUSEで開催されます。

2部構成で、第1部では宮本佳林の曲、第2部はほぼハロプロカバーになると思います。「ブロック投票制」という制度を設けていて、どの公演もセットリストが同じになることはないはず。あと第2部のハロプロカバーは、お客さんが歩いて帰ることができなくなるくらい盛り上がることができる内容になります。

――ちなみに"最強の宮本佳林"ってどんな姿ですか。

最強になんてずっとなれない気がします。もしエジソンのような偉大な発明ができたら「最強」と思えるかもしれませんが、上には上がたくさんいますから。自分でこんなことを言うのは偉そうなのですが、私はいろんなことをやるタイプで、どれもそれなりに上手くできるんです。でも「自分でやります」だから、一番強いものが見当たらない。だけどクリエイティブの世界には、ほとんど0点なのにひとつだけ1億点を取っている人もいらっしゃいます。私の見解ですが、クリエイターや芸術家はそれが正解のように感じるんです。生物として違う感じの人を見ると、私は最強になんてなれないなって。ただ、たくさんの方に「良いね」と言っていただけるエンタメを作り続けたい。自分のなかのクリエイティブな部分と精神性は、中高生のときはもっとあったはずなんです。でもいろんな経験を積み重ね、学びが増えると、そういう技術面に頼ることになる。

――なるほど。

だからこそ純度の高いクリエイティブを目指したいです。「誰に何を言われるか分からないけれど、私はこれを表現する」という強い力を発揮していきたい。そういう気持ちを無意識に封印していた部分もあったので、それを取り戻して打破するため、勉強や開発にも力を注ぎ、一分一秒を争いながらクリエイティブを進化させていきたいです。


Text by 田辺ユウキ/Photo by 福家信哉

<公演情報>
「宮本佳林 5周年記念LIVE TOUR 2026」
【埼玉公演】
▼10月17日(土) HEAVEN’S ROCK Kumagaya VJ-1
【千葉公演】
▼10月31日(土) 柏PALOOZA
【福岡公演】
▼11月1日(日) Fukuoka BEAT STATION
【大阪公演】
▼11月8日(日) OSAKA MUSE
【静岡公演】
▼11月23日(月) LIVE ROXY SHIZUOKA
【広島公演】
▼11月29日(日) 広島LIVE VANQUISH
【神奈川公演】
▼12月1日(火) KT Zepp Yokohama

公式サイト

https://www.jp-r.co.jp/karin_miyamoto/

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