映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』アレン・ネルソンとは何者だったのか? その軌跡を辿る
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『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』 (C)Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners (C)Allen Nelson/KODANSHA
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すべて見る塚本晋也監督の最新作『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』が、9月11日(金)公開より公開される。
デビュー作『鉄男』以来、人間の痛みと暴力を見つめ続けてきた塚本監督。その最新作で描かれるのは、ベトナム戦争で加害者となり、その後PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみながらも生涯をかけて戦争の真実を語り続けた実在の元米兵、アレン・ネルソンだ。塚本監督は「世界がますますキナ臭くなってしまっている今、必ず作らなければならない映画」と語り、数年にわたる取材を経てこの実話を映画化した。

1947年、ニューヨーク・ブルックリンで生まれたアレン・ネルソンは、貧困やアフリカ系アメリカ人への差別から抜け出すため、18歳でアメリカ海兵隊へ入隊した。1966年、沖縄・キャンプ・ハンセンで実戦訓練を受けた後、ベトナム戦争の最前線へ送られる。女性や子ども、老人までもが犠牲となる戦場で、自らもまた人を殺める「加害者」となったネルソン。その経験は、戦争が終わった後も彼の心から消えることはなかった。

帰国後、アレンを待っていたのは平穏な日常ではなかった。激しい悪夢やフラッシュバックに苦しみ、家庭は崩壊。20代前半にはホームレス生活を送るまでに追い込まれる。当時はまだPTSDという概念すら広く知られておらず、その苦しみを理解されることはほとんどなかった。戦場を離れても、ネルソンの中では戦争は終わっていなかった。

人生の転機となったのは、心理学者ニール・ダニエルズ医師との出会いだった。何年にも及ぶカウンセリングの中で、ダニエルズ医師は「なぜ君は人を殺したのか」と問い続ける。逃げ続けてきた記憶と向き合い、自らの過去を受け止める長い歳月を経て、アレンは「自分の体験を語ることこそが、戦争を繰り返さないために自分ができる償いなのだ」と考えるようになった。

1996年、沖縄で起きた米兵による少女暴行事件をきっかけに、およそ30年ぶりに来日したネルソンは、日本各地で講演活動を開始した。その回数は1200回以上。自らが人を殺したという事実を隠すことなく語り続け、「戦争は被害だけではなく、加害も生み出す」という現実を、世代を超えて伝え続けた。2009年、枯葉剤の影響による多発性骨髄腫のため61歳で死去。現在もその遺骨は、石川県加賀市の光闡坊に眠っている。
塚本監督は原作となる手記をもとに、アレン・ネルソン氏の遺族への取材に加え、日本で彼を支え、講演活動をともにした人々への聞き取りを数年にわたって重ね、その人生を映画化。青年時代のアレン・ネルソンをマーク・マーフィー、長年にわたり彼と向き合った心理学者ニール・ダニエルズ医師をアカデミー賞俳優のジェフリー・ラッシュが演じる。

また、日本でネルソンと出会い、彼の講演活動を支えた多くの人々への取材をもとに、その存在をひとりの人物へと集約したキャラクター黒井をリリー・フランキーが演じた。ネルソンが日本で平和を語り続けることができた背景には、彼の言葉を受け止め、活動を支えた数多くの日本人の存在があったのだ。

『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、アレン・ネルソンという実在の人物の壮絶な人生を軸に、戦争がひとりの人間に残した傷と、その傷を抱えながら生き抜いた希望の軌跡を描く。そして、アレンとともに歩んだ日本人とのつながりを通して、「戦争とは何か」「人は過去とどう向き合えるのか」を、観る者に問いかける作品となっている。
<作品情報>
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』
9月11日(金)公開
公式サイト:
https://nelsonsan.jp/
(C)Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners
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