純粋で澄み切った世界観を再び──安田成美が朗読劇『星の王子さま』を自由学園明日館で再演
ステージ
インタビュー
安田成美 (撮影:yuichi sugita)
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すべて見る300以上の国と地域の言葉で翻訳され、今もなお、世界中から愛されているサン=テグジュペリの『星の王子さま』。安田成美(構成・朗読)が企画し、阿部海太郎(作曲・演奏)とともに届ける朗読劇が、一昨年10月の八ヶ岳での初演、昨年7月の東京公演、11月の京都公演に続き、9月9日(水)~10日(木)に東京・豊島区の自由学園明日館で上演される。
街の喧騒から隔てられた重要文化財を会場に、声と音に耳を澄ませながら、純粋で澄み切った世界観を楽しむ唯一無二の時間と空間――。安田は4回目となる朗読劇『星の王子さま』に「皆様の心に響いて頂けることを真心から願っております」と強い思いを託している。
――八ヶ岳での初演から始まり、安田さんにとってもライフワークとなりつつある朗読劇『星の王子さま』。昨年に引き続き、自由学園明日館での上演を心待ちにしていらっしゃるファンも多いと思いますが。
安田 本当にありがたいことです。初演の頃は、朗読を聞いて涙されるお客様を見かけると、動揺してしまうこともあったんですが、公演を重ねながら、それこそが『星の王子さま』の魅力なのかもしれないと考えるようになって。私以上にお客様がいろんなことを感じてくださっている。そんな実感が、私たちにとっても手応えになっているんです。
――阿部海太郎さんが奏でる音楽が世界観をより彩っていることも、朗読劇『星の王子さま』の大きな魅力です。
安田 この朗読劇のはじまりは、もともと海太郎さんの音楽が大好きで、大好きな海太郎さんとご一緒に何かできたら、という思いがあったからなんです。実際、海太郎さんの音楽が、まるでプロローグのように、お客様を『星の王子さま』の世界に誘ってくださる。それは私自身も同じで、朗読する側としてはとても助けられているんです。

――過去の公演を振り返っても、特にオープニングの音楽は“生命の誕生”や“小さな物語のはじまり”を想像させます。
安田 海太郎さんの音楽を聞いていると、太古の細胞や原子が生まれてくる様子が想像できますし、それが『星の王子さま』の世界観につながっていきますよね。
――安田さんの朗読と海太郎さんの音楽。その融合が大きな魅力です。
安田 音楽の力は大きいですね。いわゆる演劇やお芝居は、会場の一体感みたいなものが魅力のひとつですけど、朗読劇の場合は、お客様一人ひとりが、声と音を通してそれぞれの世界や映像を脳裏に映し出されているように感じます。以前、出演させていいただいた『LOVE LETTERS』という朗読劇でも感じたんですが、朗読劇ならではの集中度も心地いいんです。みんなが感動を共有しているけど、決して押しつけがましくなく、個人が守られている。すごく面白い空間だなって。

――“目には見えないもの”が『星の王子さま』のテーマになっています。まさにステージと客席が“目には見えないもの”で深く結びついているのかもしれません。
安田 自然とそういう雰囲気が生まれるんです。再演には、どれだけ新鮮な気持ちで臨めるかがとても大事だと思うんですが、そこはやはり“ライブ感”といいますか、いい意味で毎回、雰囲気が違うので新鮮な気持ちを保っていられる。それに例えば、本番中に「今日は海太郎さん、やけに長く演奏するなぁ」って思っていたら、実は私の(朗読の)タイミングが少し駆け足になっていたり(笑)。お気づきになるかは分かりませんが、私と海太郎さんの間でそんなやりとりもあるんです。
――朗読劇『星の王子さま』の見逃せないポイントに美術もあるかと思います。ご次男の木梨銀士さんが美術を担当されていますが、どんなお話をしていますか?
安田 もともと、海太郎さんが次男の絵か何かを見て「銀士くんにも参加してほしい」と言ってくださったのがきっかけです。ですから、私と何か話すというよりは、海太郎さんのリクエストに合わせて、映像を作っているという流れですね。ただ、私自身も映像が加わることで、違う雰囲気の『星の王子さま』になって、手応えを感じていたので、「これからも付き合ってくれる?」と聞いたら、「いいよ」と言ってくれました。
――素敵な舞台裏を教えていただき、ありがとうございます。安田さんは9月の朗読劇『星の王子さま』に続いて、11月には東京・丸の内の「COTTON CLUB」でバースデー・ライブの開催も控えています。
安田 デビュー(1984年)からの時間の流れを感じていただけるような、ちょっと“大人”を意識した雰囲気にしたいと思っています。今回は大貫妙子さんにプロデュースしていただいたアルバム『ジィンジャー』(88年)の収録曲もご披露します。大貫さんの歌詞は凛とした大人の女性を描かれていて、今の年齢になった私が歌うと、いいんじゃないかなって。もちろん、松本隆さんが歌詞を書いてくださったデビュー曲の『風の谷のナウシカ』も歌う予定なので、私自身も楽しみにしています。
――最後に朗読劇『星の王子さま』を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
安田 子どもの目から見るとヘンテコな大人の常識を、皮肉も込めてあんなに可愛らしいストーリーに仕上げているのが『星の王子さま』の魅力。そして、繰り返し読むうちに、王子さまの故郷や愛するバラに対する純粋な気持ち……そういった目に見えない大切なものまで朗読劇に凝縮されています。私なりに感じる魅力を、朗読を通して皆さんに伝えられたら嬉しいです。自由学園明日館も本当に素敵な会場。海太郎さんは「家を出て、会場に着いて、そこから家に帰るまでが朗読劇」とおっしゃっていて、まるで遠足ですけど(笑)、その道中も含めて、丸1日を楽しんでいただければ。

取材・文:内田涼
ロケーション協力:kudan house
撮影:yuichi sugita
<公演情報>
朗読劇『星の王子さま』
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 作/内藤濯 訳
構成・朗読:安田成美
作曲・演奏:阿部海太郎
美術:木梨銀士
2026年9月9日(水)・10日(木)
開場18:00 / 開演19:00
会場:重要文化財 自由学園明日館 講堂
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/hoshinooujisama-narumiyasuda2026/
★2026年11月27日(金)、28日(土)には、東京・丸の内 COTTON CLUBで『YASUDA NARUMI 60th』が開催されます。
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