森崎ウィン&木内健人、Wロイドが互いに感じる“すごさ”とは?『SPY×FAMILY 2』で深まる信頼
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インタビュー
(撮影/荒川潤)
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すべて見るシリーズ累計発行部数4,200万部突破のコミックを原作に、2023年にミュージカル化された『SPY×FAMILY』。2025年に再演が行われ、9月からは続編となる『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』の上演が決定している。前作に引き続き、ロイド・フォージャーをダブルキャストで演じるのが、森崎ウィンと木内健人だ。本番に向けて絶賛稽古中の二人に、ロイドというキャラクターの魅力、ダブルキャストの醍醐味、カンパニーの雰囲気を教えてもらった。
たくさんの方に届いたからこそ実現した続編

──9月からミュージカル『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』が開幕します。これまで初演、再演と重ねてきた中で、どんな反響が届いていますか?
森崎 舞台上から見ていて、老若男女問わず多くの方にご覧いただけたという実感がありました。それは遠藤(達哉)先生が生んでくださった原作の力強さ、大きさがすごくあったからこそで、その力を借りてミュージカルにする意義を考えなければいけないなと思いますね。昨年再演した際、ミュージカルを全然観ない人からも「『SPY×FAMILY』やるんだね」と言われたり、「映画やるの?」と勘違いしてる方もいたりして(笑)。幅広い方々まで話が届いているというのは再演をやった意味がありましたし、「オリジナルミュージカルが日本で行われてるんだよ」と多くの方に知らせることができたのかなとも思います。もちろんそれは東宝さんの努力もあってのことではあると思うんですけど。
木内 2をやれること自体がその反響のひとつなのではないかなと思います。漫画原作のミュージカルで続編をできるというのは僕は経験がないですし、世間的にも少ないんじゃないかなと思っていて。続編をこれだけたくさんのお客様が楽しみにしてくださっているというこの事実に、僕たちもキュッと身が引き締まる思いがありますし、どうにかその期待を超えて、カンパニーみんなで頑張っていけたらいいなと思っています。
──森崎さんは初演から、木内さんは再演からロイド・フォージャー役を演じられていますが、改めてキャラクターの魅力を感じたことや今回の見どころを教えてください。
木内 まずは先輩!(笑)
森崎 ……こうなるんだよな(笑)。僕個人としては、今のご時世に、戦争や世界平和という大きなテーマを乗せているこの『SPY×FAMILY』を演じられるのがまずすごく幸せなことだなと思っています。このテーマを伝え続けないといけない世界にはもどかしさを感じますが。ロイドは、原作で描かれている通りの、なんでもできる凄腕スパイです。ただなぜスパイになったのか、彼がどんな思いで、戦争をどういう視点で見てきたのか、どんな経験をしてきたのかが、2でちょっと顕になる部分があったりして。1の「子供が泣かない世界を作るため」というセリフでも見えていた彼の人間性が、今回はもっと深いところまで表現できるんじゃないかなと、スパイとしてだけじゃないロイドの一面を作っているところです。
木内 僕が1と2の大きな違いだと思っているのは、音楽を使ったロイドの感情表現です。1よりも、〈黄昏(たそがれ)〉(ロイドのスパイとしてのコードネーム)の感情の振れ幅が大きくなっていて、それを音楽で表現しているのではないかと思うんです。ロイドは冷静沈着で常に的確な判断ができる凄腕スパイですけど、彼がぶち当たる壁が、音楽でどうストーリーとリンクして表現されているかも観ていただけたら嬉しいなと思います。
森崎 ロイドはすっごく真面目でまっすぐなんですよ。だからこそ笑えるのかなというところもあったりして(笑)。そこも出していけたらいいなと思っていますね。
木内 そうだね。どんな些細な壁も全力で越えていこうとするのは、彼の面白いところだなと思いますね。
映像とミュージカル、それぞれで培った表現方法

──ダブルキャストとしてお互いの演技をご覧になる中で、自分にはないものだなと感じることはありますか?
木内 ウィンくんって空間察知能力がすごいんですよ。全体をよく見てる。とあるシーンで僕の動きを見ていたウィンくんから「健人くん、ここでこういう風に後ろを人が通っているから、ロイドは動かない方がいいと思う」と言われて、次ウィンくんがやるのを見ていたら仰る通りでした。誰も気がつかない部分もウィンくんだけは気づいている。リアルロイドじゃんって思いますね!
森崎 でもこれは悩みで、本来の俳優って多分健人くんの感覚が普通で、そういう全体の見え方をコントロールするのは演出だと思うんですよ。ただ今作に関しては自分の捉え方に没頭しすぎると、すべてが壊れていくというのを1で感じたし、ライブでも冷静に、客観的にやったときのほうが「今日良かったね」と言われることがとても多くて、僕はこっちのタイプの方が性に合うのかなと思っています。
木内 確実に僕にはないところなので、うらやましいといつも思う。1の再演で僕が急遽ロイド役に入ったとき、もちろんG2さんからお芝居や役作り、動きのことを聞きましたが、ウィンくんからもたくさんアドバイスをもらい「そこまで見ているのか、そこまで聞いているのか」と感動しました。他の作品に出演しているときにもこの視点があればもっとできることがあったのかなとも思ったし、今回少しでもその能力を手に入れたいなと思っています。
森崎 いや、いらないと思う(笑)。
木内 いーや!でもそれはウィンくんが普段映像のお仕事もたくさんしていて、カット割りという、僕は一切持ってない表現手法の経験があるというのも大きいかもしれないなと思っていて。ウィンくんから「ここで抜かれる」「ここをなめてこう映る」という発言が出たときに、「その頭の中、一回見せてくれ!」と思うんですよ。舞台だと「お客さんが良きように切り取って見てくれている」という感覚があるんですが、G2さんの演出って照明をグッと絞ったり、セットでこう見せたいというのがはっきりしていて、僕もウィンくんみたいに考えられたらと思う瞬間が結構あって。
森崎 僕がなんでこうなったかというと、『レディ・プレイヤー1』の主演のタイ・シェリダンの存在が大きいかもしれないです。現場に入ってきてカメラを見て、「これ何ミリ?」って聞くんですよ。要はそれで画角がわかるじゃないですか。そこから「画角はこれくらい? OK!」と言って、その画角の中で確実に演じるんですよ。長回しのシーンでも「どのタイミングでフォーカスがくる?」と確認して、フォーカスとライトが来たらツーっと涙が流れて。そこまで客観的になっていながら「あのシーンは泣くよね」と通っている芝居を提示する。スピルバーグが拍手しているのを見て悔しかったのを今でもすごく覚えています。「どこか学校に行ったの?」と聞いたら、「行ったことない。現場で見て真似てるだけ」と言っていて(笑)自分はなんて小さい人間なんだと思いました。あと舞台では、初演での(鈴木)拡樹くん。あの人は凄い、ビビった! 舞台全体がどういう絵になるか、照明や音楽のタイミングを全部わかっているんですよ。その姿を見たことも大きかったかもしれないですね。そして僕が健人くんを見ていてすごいなと思うのは、歌のピッチがめっちゃいい。
木内 ええっ!?
森崎 感情がマックスになっていると人間ってコントロールできない瞬間があって……それは僕の話なんですけど(笑)。今回ロイドが感情的になる瞬間があるんですけど、感情任せだと歌が伝わらないし、なんでこの音符で書かれているのかを表現するのが僕らの仕事なんだけど、僕はまだ下手で外れたあとに気づくんです。でも健人くんは感情をマックスで表現しながらも冷静でいるというか、歌をちゃんと伝えていて、それを自然とやっているのはミュージカルで培ってきた経験の深さだなと思います。今回だとシルヴィア役の真瀬(はるか)さんも、ちゃんと感情も伝わってくるけど、ビシッと歌を伝えてくるから一緒にやっていても痺れますね。
木内 ありがとう!
森崎 あと再演のとき、あれだけの短期間でセリフも歌も動きもズバッと入れて、完璧に仕上げて。あれもすごかった。
木内 ウィンくんがいたから乗り切れた。他のカンパニーのみなさんにもたくさん支えていただきました。
改めて身が引き締まった、カンパニー全体の気合を感じた瞬間

──今回の取材では本番で使われる映像撮影の現場におじゃましていますが、おふたりがアーニャ役の子役のみなさんと楽しそうにお話ししたりと、とても和気あいあいとした雰囲気が伝わってきました。普段のお稽古も和やかな雰囲気なのでしょうか?
森崎 和やかですね。
木内 G2さんがとにかく「キープオンスマイル」と仰っていて。俳優って萎縮すると途端に機能が停止する生き物だと僕は思っていて、でもG2さんはみんなが台本を見て考えてきたものをとにかく否定しないので、すごくハッピーな現場です。それを見て子どもたちも思いっきり楽しそうにお芝居している姿を見ていると、演劇ってこうやって作ったほうが絶対にクリエイティブで楽しいよなと思います。すごく和やかで、気持ちのいいカンパニーです。
森崎 どうしても初日は決まっているし、チケットも発売している中で、もちろん和やかではあるけど、ものづくりってそんなに簡単なことではなくて。最近SNSで始まったSetlogを見ていただくと伝わると思うんですけど、スタッフのみなさんは僕らよりも先に入って仕込みや確認をして、俳優部が帰ったあとも打ち合わせをしていて。そういう中で演じられているというのは、稽古場に立つときも「全力でやってやろう」「この思いを舞台に持っていかなきゃいけないんだ」と思うんですよね。失敗するときもありますけど(笑)。それを忘れないでやらないと、スタッフのみなさんの優しさに甘えちゃう瞬間があるので、他のキャストのみなさんとも「ありがたいね」と言いながらやっています。
木内 出演者にも『SPY×FAMILY』経験者がたくさんいらっしゃって、多くのスタッフの人に支えられて、時間が限られた中で新作を作っていることをわかっているから、この前の通しでも「必ず形にするんだ!」と全員の手の取り合い方がすごくて。今回から入った人もなんとなくその空気感を感じてくださって、「頑張んなきゃ」という空気になっていて。
森崎 俺、あの瞬間すごく好きで、嘘みたいに緊張するんですよ。でも「このためにやっているんだよな」とも思って。
木内 わかるよ、わかる。そんな中、先陣を切ってパーフェクトなくらい仕上げてきている、アーニャたちの気合の入り方がすごい!
森崎 本当にすごい!
木内 もう土下座しようかと思うもんね、「マジで?」って。
森崎 みんな、楽しんでいるんですよね。僕たちも頑張らなきゃいけないですね。
木内 頑張ろう!
森崎 頑張りましょう、本当に!
長い公演期間、二人の息抜き&体調管理の方法とは?

──公演は9月からスタートし、千秋楽は12月末という長い旅路となりますが、おふたりならではの体調を整えるための方法や、リラックス法はありますか?
木内 ウィンくん、体調管理どうしてるの?
森崎 寝れば治りますね(笑)。自分なりのリラックス方法は、使うかわからないキャンプ道具をネットで買ってみたり、YouTubeの企画を考えたり、違う脳みそを使うことです。あとは自分との勝負なんで、自分がどこまで成長できるかという、自分で自分の首を絞めていくのがすごく好きで(笑)。「前回できたから次はこれもできるよな、ウィン!」っていう。
木内 でも俳優ってそういう生き物だよね。
森崎 みんなMなんですよ、多分(笑)。じゃないとみんなやっていけないと思うんですよね。健人くんはなにかあります?
木内 体調管理は、とにかくグルタミンを飲む。
森崎 グルタミン?
木内 人間、風邪をひくときって体のグルタミンが減るらしいんですよ。だからサプリメントで直接摂る。グルタミンがなくなって「頼まなきゃ」とぐずぐずしているとだいたい風邪をひくんですよ。差し入れしようか?
森崎 あ、はい……(笑)。僕は体調管理のために何もやったことがないから、逆に何かするのが怖いんですよ。
木内 グルタミンだけは飲んだほうがいい。錠剤と粉があるんですけど。
森崎 粉はヤだ〜。
木内 無味だよ! 僕はプロテインと一緒に飲んでる。
森崎 絶対まずいですよ。まあでも、年末までの分を……。
木内 結構な量だな(笑)。
森崎 4ヶ月分お願いします! 先輩!
木内 あ、ずるいぞ! こういうときだけ先輩って!(笑)
森崎 健人くんのほうが一個年上なんで(笑)。それに僕、もうすぐ誕生日ですし。
木内 でも4ヶ月分はイヤだな〜(笑)。
森崎 じゃあ3ヶ月分で(笑)。
木内 微々たる差だなぁ(笑)。リラックス法としては、ウィンくんと一緒で違うことをしますね。僕の場合は古着が好きなんでよく古着屋に行きます。
森崎 好きですよね。ずっと俺に「これ買ったんだけどさ……」と言ってくるんですよ。でも僕は興味なくて(笑)。
木内 僕はね、ウィンくんとお揃いのジャージを買いたかったんですよ。それで候補の古着の写真を見せたら「あー、いいですね」と、全然興味なさそうだった(笑)。
森崎 確かに、見せてくれたのはかわいかった。けど、セットで買ったらまあまあいい額なんですよ! 僕も健人くんにカメラの話をするけど、全然響いてなくて(笑)。
木内 だって額が! 古着の10倍くらいするから(笑)。
森崎 でも聞いてくれるから優しいなと思います(笑)。趣味があるっていいよねという話をしていますね。
木内 楽しいよね(笑)。
<公演情報>
ミュージカル
『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』

[原作]遠藤達哉 (集英社「少年ジャンプ+」連載)
[脚本・作詞] G2 [演出] G2 [作曲・編曲] かみむら周平 [音楽監督] かみむら周平
[出演] 森崎ウィン / 木内健人 (Wキャスト)・唯月ふうか / 真彩希帆 (Wキャスト)・泉谷星奈 / 古座野叶 / 真野麗花 (トリプルキャスト)・磯野亨・有沙瞳・楢木和也・吉野圭吾・朝夏まなと / 真瀬はるか (トリプルキャスト)ほか
※公演日時によって出演者が異なります、詳細は公式サイトをご確認ください
【公演スケジュール】
2026年9月9日(水)~11日(金)
プレビュー公演 ウェスタ川越 ヤオコー大ホール
2026年9月22日(火)~10月29日(木)
東京公演 東京建物 Brillia HALL
2026年11月7日(土)~22日(日)
福岡公演 博多座
2026年12月1日(火)~6日(日)
兵庫公演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2026年12月13日(日)~19日(土)
愛知公演 御園座
2026年12月27日(日)~29日(火)
山形公演 やまぎん県民ホール
ミュージカル『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』公式サイト
https://www.tohostage.com/spy-family2/
ミュージカル『SPY×FAMILY』公式X
@spyfamily_stage
『SPY×FAMILY』集英社公式サイト
https://www.shonenjump.com/j/rensai/list/spyfamily.html
アニメ『SPY×FAMILY』公式サイト
https://spy-family.net/
https://lp.p.pia.jp/event/stage/472050/index.html
撮影/荒川潤 取材・文/東海林その子
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