市村正親主演 ミュージカル『シークレットステージ』稽古場レポート――脚本・演出 渡辺えり「演劇を楽しめる幸せをぜひ感じ取って」
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『シークレットステージ』稽古場より 撮影:石阪大輔
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すべて見る市村正親が主演を務め、渡辺えりが脚本・演出を手がけるミュージカル『シークレットステージ』が、東京駅直結の新劇場「東京建物 ぴあ シアター」のオープニングシリーズ第1弾として9月に開幕。これに先立ち、舞台稽古が公開され、渡辺が取材に応じた。
市村と渡辺のふたりは舞台芸術学院の先輩・後輩として出会い、互いの才能を認め合いながらも、これまで一度も同じ舞台に立つことがなかった。「いつか共演を」と願い続けて半世紀、その執念とも言える熱き思いが、完全書き下ろしの新作オリジナルミュージカルとしてついに実現する。
「市村さんが、複雑でやっかいで疲れる舞台を書いてくれって(笑)。それで主演俳優が降板してしまった現実のピンチと、19世紀のイギリスを舞台にした劇中劇という“入れ子式”の複雑な物語を書いてしまった。自分で自分の首を絞めちゃいましたね」。そう苦笑いする渡辺だが、その表情には“ものづくり”への愛情と祈りに満ちあふれていた。

演劇ファンにとっては、やはり市村と渡辺の初タッグに期待せざるを得ないはず。「とにかく市村さんに当て書きしようと。市村さんのお芝居はもちろん、いろいろ観ていますし、皆さんが期待する市村さん、それに今まで見たことないような市村さんも(役柄に)全部詰め込んでいます。役柄としては相当ハードですし、歌舞伎俳優の弟子なので、歌舞伎の台詞もあります。とにかく市村さんの“ギャップ”を楽しみにしてほしいですね」(渡辺)
物語のはじまりは、舞台『シークレットフラワー』の初日を目前に控えた劇場。突然病に倒れた歌舞伎役者の代役として、一番弟子の山田正男(市村正親)に白羽の矢が立った。長年師匠を支えてきたベテランだが、彼はあるトラウマから「少女」という言葉を口にするとセリフが止まってしまう致命的な弱点を抱えていた。

稽古場に残されたのは、山田をはじめ、急遽、主演を引き受けることになり、現場への不満や文句をぶちまけるミュージカルスター・森山英一郎(中川晃教)、若手女優の百合子(影山優佳)、そして熱烈な韓流ドラマファンであるマネージャー・岩崎直子(渡辺えり)が強引に連れてきた韓流スターのパク・スビン(東島京)。残された4人の俳優が20役を演じ分けなければいけない極限状態の中、現実と劇中劇が螺旋状に絡み合い、次第に劇中の役柄と俳優たちの人生がシンクロしていく。
稽古の様子が公開されたのは、序盤のシーン。市村ら出演陣は、ピンチを乗り越えようとする役者に扮しながら、劇中劇の役どころも巧みに演じ分けており、本作ならではの“二重構造”を作り上げていた。バンドの生演奏も交えたミュージカルだけに、1シーンごとに台詞のタイミング、演奏者との間合いといった繊細なチューニングが繰り返される。


その様子を見学していると、次第に「これは実際の稽古なのか?」「それとも劇中劇としての稽古シーンなのか?」という虚実の境界線が溶け合う感覚に襲われる。「まさに“ものづくり”そのまんま。それが狙いなんですけどね」と渡辺。このユニークな体験は、ミュージカル『シークレットステージ』の大きな見どころになりそうだ。
また、圧倒的な歌唱力と表現力でミュージカル界の頂点に立つ中川、日向坂46を卒業後もバラエティやドラマ、舞台など幅広く活躍する影山、次世代の演劇界を担う若手俳優として注目を集める東島ら、さまざまなジャンルからキャストが集結している点も、近年の渡辺作品では新鮮な展開だ。

「ジャンルもそうだし、世代の違いもあって、面白いですよ。例えば『新劇のイメージで』と言っても、それが伝わらなかったり(笑)。でも、皆さん勉強熱心だから、一生懸命に取り組んでくれる。中川さんとは3度目で、信頼もありますし、影山さんはとても飲み込みが早い。東島さんはメリハリがあって、利発で読解力もある。そんな皆さんとご一緒するのが新鮮だし、70歳を過ぎてとても勉強になっている。あと何年続けられるか分からないけど、演劇の仕事を続けるなら、自分のやりやすい畑だけじゃダメだと思うんですよ」(渡辺)
怒涛の早替わりで役を繋ぎ、極限状態に追い込まれたキャストたち。それぞれの胸に秘める思いや葛藤が交差するなか、果たして、彼らは無事に初日の幕を開けることができるのか? 渡辺特有のユーモアと鋭い社会への警鐘、そして情感豊かな音楽とパワー全開の芝居、舞台を作るプロたちの執念が混ざり合う、演劇愛に満ちた祝祭劇の誕生。その瞬間を、ぜひ、新劇場「東京建物 ぴあ シアター」で目撃してほしい。 また、その後は10月から大阪公演に続き、香川、静岡、宮城、新潟でも上演。豪華キャストによる圧倒的な舞台の目撃者が、各地で相次ぐことだろう。
「演劇が好きな人たちが、命がけで芝居をしている姿を観てほしいですね。演劇をやっていること自体が、平和への祈りでもありますから。演劇を楽しめる幸せをぜひ感じ取っていただければ。平和な世の中を残したいという思いを詰め込んだつもりです」(渡辺)

取材・文:内田涼
撮影:石阪大輔
<公演情報>
ミュージカル『シークレットステージ』
【東京公演】
日程:2026年9月9日(水)~24日(木)
会場:東京建物 ぴあ シアター
★ぴあ全館貸切公演あり 9月17日(木)14:00
【大阪公演】
日程:2026年10月2日(金)~5日(月)
会場:新歌舞伎座
【香川公演】
日程:2026年10月9日(金)・10日(土)
会場:シアターマド(丸亀市民会館)
【静岡公演】
日程:2026年10月17日(土)・18日(日)
会場:三島市民文化会館
【宮城公演】
日程:2026年10月24日(土)・25日(日)
会場:仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
【新潟公演】
日程:2026年10月30日(金)・31日(土)
会場:長岡市立劇場
脚本・演出:渡辺えり
出演:
市村正親
中川晃教 影山優佳 東島京
西本竜樹 内河啓介 和田光司
渡辺えり
関連リンク
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/secretstage2026/
公式サイト:
https://horipro-stage.jp/stage/secretstage2026/
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