『MONSTER baSH 2026』<8月23日/2日目レポート> 四国への愛と盟友の絆が讃岐の地に紡ぐ、情熱と興奮のステージ
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すべて見るLive Report:兵庫慎司
開演時間より前に、何組かのオープニング・アクトが出演するのが、『MONSTER baSH』の恒例になっている。自分が観たことがあるアクトだけでも、サバシスター(2024年)、Chilli Beans.(2023年)、ハンブレッダーズ(2022年)など、今となっては見事に「錚々たるメンツ」と化している人たちだが、そんな面々が歴代務めてきた枠で、この2日目のトップ=朝9時55分に、STAGE空海に立ったのは、Sunny Girl。東京・高田馬場CLUB PHASEのバンドだが、ボーカル&ギターの橘高連太郎は「愛媛で生まれてモンバスで育った」そうで、「上京してバンドやって、いつかいつかって夢見てたよ!」「16歳の頃から授業中、ずっとこれの妄想をしてたんだよ!」などと叫びながら、『濃藍』『ナイトライダー』と、かっとばしていく。

朝イチから集まった参加者たちに「すげえ。俺も高校3年間来てたけど、オープニング・アクト観ようとか……物販に行ってました。目の前にいてくれてありがとうございます」。そして「今日、これからこのステージに出るバンド、全部モンバスで観たことがあるんです」「ずっとこれ(フェスのロゴ)を背にして歌いたかったんだ」「俺、どんなインタビューでも、Sunny Girlの夢ってなんですかって訊かれたら、モンバスのトリって言ってます。その1ページ目!」。モンバスに愛着があるバンドを観たことは何度もあるが、ここまで愛と執念を抱えてステージに立った人を目の当たりにしたのは、初めてかも。なので、つい橘高連太郎の言葉ばかり拾ってしまったが、言葉とメロディがクリアに耳に飛び込んでくる楽曲は、どれも即効性の塊だ。最後の『171』を歌う前に、彼がモンバスに伝えた言葉は「ずっと夢でい続けてくれてありがとうございます」だった。


もうひとつのオープニング・アクト=UNFAIR RULEのパフォーマンス→今年からプロデューサーに就任したDUKE迫田氏による前説→オープニング映像と10カウントからの色とりどりのテープ発射、を経て、STAGE空海に上がったのはMy Hair is Bad。本来の開演時間どおりのトップは彼らだが、椎木知仁、1曲目の『アフターアワー』の途中で、「Sunny Girl、UNFAIR RULEに続き、2日目、俺らで始めさせてもらいます!」と叫ぶ。いい奴だなあ。

7月31日に配信されたばかりの『パスタに涙』を披露したあと、ギターを爪弾きながらMCする椎木。昨日はオフだったから、高松を歩いて、このTシャツを買った、そのお店が1周年で全部が半額になっていて、これも3,000円しなかった。お店が1周年で、モンバスは27周年、俺らは18周年、続けてきたことに感謝するって超いいことじゃない? 誕生日と一緒だよ? いちいちおめでとうって言おうぜ。全部ね、元気だからできるんだよ。モンバス元気ですか、ずっと元気でいろよ。心に水はアーティストがあげます──と、『最愛の果て』のイントロを弾き始める。アツい。


というマイヘアのスタートの30分後、STAGE茶堂のトップは、アコースティック・セットのBase Ball Bear、『Lyrical Tattoo』と『ランドリー』でスタート。小出祐介の主旋律に、常に笑顔の関根史織がハモリを付ける、その美しい響きが、この酷暑をやわらげてくれる気がする。

久々の『MONSTER baSH』出演だそうで、小出「思い出が多いイベントです」。自分たちの出番の前の銀杏BOYZがすごく押して、新人だったもんで、こういう時どうしたらいいのかがわからなくて、ソデでスタンバったままだった話や(2007年)、機材が届かなかったスターダスト☆レビューが、急遽アコースティック・セットでライブをやって、めちゃくちゃ盛り上げているさまに、ビビリまくった話をする(2014年)。「あの日のスターダスト☆レビューを思い浮かべながら、あのようにライブをやりたいなと今日は思っていますので」と『夏の細部』、次は『short hair』。2年前にダウ90000の公演の主題歌として書き下ろした『夏の細部』と、ジャケットとMVに本田翼が出演した2011年の『short hair』、新旧のBase Ball Bearの夏の名曲2曲に、みんなうっとりと、かつ真剣に耳を傾ける。と思ったら、小出「次で最後の曲なんですけど」と告げ、「えーっ!」という声に、「もうこれが限界です!」。堀之内大介、「いやいや、時間だから」とフォローするが、小出、「アコースティック・セットって、こんな汗かくんだ、ってことが、非常に勉強になりました、ありがとうございました!」。ラストにオーディエンスに贈られたのは、これも夏の名曲(2009年)、『BREEEEZE GIRL』。アウトロで小出が「Everybody say,Come on!」と求めると、大きなシンガロングが広がった。


エレファントカシマシでの出演から数えると8年ぶり、ソロとしては初出演の宮本浩次。「エブリバディ、ようこそ!」と、弾き語りで『今宵の月のように』を歌い始め、いきなりこの場をつかむ。今日のバンド・メンバーはギター名越由貴夫、ベース須藤優、ドラム椎野恭一、キーボードは鶴谷崇。鶴谷崇が宮本浩次のライブに参加するのは、今日が初めて。

2曲目は今年6月リリースのニュー・アルバムのリード曲『I love 人生!』、次は『悲しみの果て』、そしてソロの最初のシングル『冬の花』。『悲しみの果て』では、歌いながら腕を左右に振る宮本にならって、フィールドが腕の波で埋まった。ここまでは、1997年の曲→2026年の曲→1996年の曲→2019年の曲だが、次は1990年の曲、『凡人-散歩き-』。エレファントカシマシの4thアルバム『生活』収録曲である。2025年10月27日の日本武道館でこの曲をやっていて、「うわ、いつ以来だろう」と驚いたが(あとで調べたら2014年以来でした)、今年は多数出演している各地の夏フェスでも、この曲をセットリストに入れたようだ。『I AM HERO』を経て、「みんなの心に、素敵な瞬間が、楽しい時間がたくさんたくさんやってきますように、エブリバディ! 『ハレルヤ』!」と曲名を告げ、「キリスト教じゃないけど、俺は」と付け足し、名越由貴夫があのイントロを弾き始め、宮本が歌い始めると、すごい多幸感が空海ステージに広がっていく。最後のサビの<そんな俺にもう一丁祝福あれ ハレルヤ>を、<そんな俺たちにもう一丁祝福あれ ハレルヤ>と変えて歌う宮本。ラストは『俺たちの明日』で、さらなる多幸感でフィールドを満たして終了した。


ボーカルばかり目立ってピアノはいつも脇役、だからここではピアノが主役、(ゲストの)ボーカルはサポートというコンセプトで始まって4年目、すっかりモンバス名物になった清塚信也プレゼンツ『PIANO baSH』。

「ありがとう、今日も才能があふれてます。人気なんだよね、すんごい売れちゃって。一回ピアノ聴いてもらおう」と、いきなり独奏(今年は約4分)で、オーディエンスを圧倒する。「私が弾き始めたら、セミもがんばった感じしたよね。自然現象まで操っちゃう才能があるんですけども」などと言いながら、最初の歌手=Omoinotakeの藤井怜央を呼び込む。19歳の頃、人生で初めて行ったフェスがモンバスだという藤井に、「香川と言えば? いっせーのせで言ってみよう」と提案し、「うどん!」と叫んだ藤井に、「一鶴! 香川と言えば一鶴だよ! 知らないの?」と、絡み倒す清塚。ふたりのやり取り、特に藤井の困惑ぶりに、爆笑させられる。

そんな彼が歌ったのは、Omoinotakeの『幾億光年』。美しいハイトーン・ボイスが、エリアの後方まで広がっていく。もう一度「香川と言えば?」で困らされてから藤井が去ると、清塚、「どうしよう。ずっと会いたかった先輩に、まさかこんな形で会うことになるとは思ってなかったんだよね」と紹介したのは、昨日出演したスターダスト☆レビューの根本 要である。曲は日本のポップスのスタンダード、『今夜だけきっと』と『木蘭の涙』。そのすさまじい歌いっぷりに、『今夜だけきっと』が終わると、最大ボリュームの拍手と歓声が起き、「気づけば私がソロを弾いている時の倍は集まっている。イライラする(笑)」と言う清塚信也。が、『木蘭の涙』を根本 要と共に終えると、「最高だ! 涙出る!」と、最後はボーカリストを最大限に称えた。

FRUITS ZIPPERは、全力のステージングで、『ピポパポ』『ふれふるサマー!』『はちゃめちゃわちゃライフ!』『ぴゅあいんざわーるど』『1,2,3,FOOOOUR』『完璧主義で☆』の全6曲を駆け抜ける。『ふれふるサマー!』では、それぞれの色のタオルを回し&客席エリアでも盛大に回り、MCでひとりずつ自己紹介。

というあたりまで観ていて、気がついた。今の『MONSTER baSH』は、龍神ステージでのパフォーマンスも、空海ステージのビジョン(画面)に映し出されているのだが、後方の参加者のけっこうな人数が、ステージとは逆にあるそっちを観ながら聴いていることに。そうか、その方が表情がよく見えるし、今誰が歌っているのかもわかりやすいか。ドームでプロレスを観る時って、ほとんどの人がリングじゃなくてビジョンを観ているのと同じか(たぶん違う)。などと考えながら、ビジョンとステージの両方を楽しむ。






『はちゃめちゃわちゃライフ!』での「はちゃめちゃに楽しんでいただく準備、できてますか?」という問いには、大歓声が返ってくる。「次の曲は、両手を高く上げて、一緒に左右に振ってください! そして私たちが『1,2,3』と言ったら、『FOOOOUR!!』って一緒に跳んでください!」と始まった『1,2,3,FOOOOUR』では、見事に腕が振られ、ジャンプが揃う。ラストの『完璧主義で☆』では、「Hi! Hi!」の大コールが、芝生広場を包んだ──と、ここまでで、circusエリアの鈴木淳史にお渡しします。
Live Report:鈴木淳史
てなわけで、兵庫さんからのバトンを繋がせていただきます! 2日目、MONSTERcircusのトップバッター四星球。リハーサルの時点からテント屋根に覆われた場所からすでに観客が溢れ出している。まずは影アナで、Chat GPTでは無く、Yahoo!知恵袋でどんなライブをやったらいいかを聞いている、という筋書きが告げられる。たくさん曲を披露するために登場SEは短い方が良いということで、超ショートCMソング『伯方の塩』に合わせ、メンバーがダッシュで登場。さらに、Yahoo!知恵袋からマキシマム ザ ホルモンのゲストを薦められ、なぜかダイスケはんの母君・ミツエさんが登場!

モンバスのホルモンライブではお馴染みだが、今年はホルモンの出場は無いのにミツエさん登場は素敵なサプライズ。そして、Yahoo!知恵袋からほかのバンドのカバーを薦められたとのことで、ミツエさんから「恋のメガラバ」がタイトルコールされる。その後もYahoo!知恵袋ネタは続くのだが、やはり四星球のライブは構成から良い意味で脱線した時のエモーショナルさがたまらない。この日もボーカル・北島康雄から、『暑さのせいで夏フェスブームは去ったと言われています。これって昔のモンバスに戻った気がします。めちゃくちゃモンバス好きな人が集まってる気がします。こっから夏フェスブーム起こします!』と熱い名言がぶっ放された。

気づけば、MONSTERcircus+で15時40分から出番のバックドロップシンデレラ・でんでけあゆみがステージで飛び跳ねていたり、ライブハウスのような熱狂を生み出していく。突如、モンバスとサーカスをテーマに即興フリーラップを二度も披露するなど、熱情が大爆発。ベースのU太も『売れそうにない、流行りそうにもないバンド』と叫び、それでも支えてくれるDUKEと観客へ感謝を本気で伝えていく。そして、ずっとYahoo!知恵袋で回答してくれていた「MTE」の正体は、実はミツエさんで、最後にはダイスケはんまで登場。まさに大団円のハッピーエンドを迎える。にしても、やはりモンバスでの四星球ライブは普段のライブとは違う。命を削っているし命を燃やしている。これでもかなり短くしたつもりだし、まだまだ書きたいことはあるが、文字数制限もあるので、このあたりで。最後にひとつだけ余談を。いつもモンバスをはじめ、四星球のライブの手伝いをする地元徳島の同世代バンド・THE春夏秋冬もステージに登場し活躍していた。いつかTHE春夏秋冬のライブもモンバスで観てみたいものである。

モンバスは、四星球をはじめとする地元・四国のバンドを大切にしながら、初日にも書いたように、50年の歴史を持つDUKEと深く長い関係を築いてきた大御所から、デビューしたばかりのニューカマーまで、幅広いアーティストに出逢える場所だ。特にMONSTERcircus+には、毎年新たな出逢いがある。OddRe:もそうである。結成は2024年で今年メジャーデビューしたばかり。AirA(vo)・ユウキ サダ(b)・SOI ANFIVER(g/comp/trackmaker)、そしてサポートドラムを迎えての4人は、リハーサルで「めちゃくちゃやりやすいです」と音響PAスタッフに初々しく丁寧に伝えていく。

が、本番が始まるとトラックメイカーでもあるSOIが、スクラッチをバキバキに決めながら、『東京ゴッドストリートボーイズ』へ。結成したばかりのバンドとは思えないほどグルーヴィーであり、ステージングも堂々たるもの。確かな演奏力を持つメンバーが鳴らすメロディに、AirAの声が心地よく重なる。3曲目『黄泉還』では、ひぐらしの鳴き声が響く中、それまでの2曲とは一転、R&Bテイストのメロウなサウンドが心地よく広がっていく。サダのアップライトベースも味がある。SOIの「ガキの頃から観ていたアーティストばかりでどうなってんだ! でも、憧れは機材車の中に置いてきました!」というMCも、じつに頼もしくて勇ましい。さらに『CRASH OUT!!!』では、終盤とは思えないほどのエネルギーを爆発させる。ラストナンバーは、疾走感あふれる『Revival』。最後までギアを上げ続け、AirAもステージ上で飛び跳ねる。そして何より、改めて書いておきたいのが演奏陣の確かなテクニック。結成したばかりとは思えない堂々たるステージで、立派なモンバス初陣でございました。


茶堂、卓&拓 SESSION2026(菅原卓郎×村松拓)。9mm Parabellum Bulletの菅原とNothing's Carved In Stoneの村松が毎年それぞれ行なっている企画のセッションという、モンバスならではの贅沢な内容。リハーサルでは『愛をください』を、そして本番1曲目に『祭りのあと』を歌う。1994年に桑田佳祐が発表した名曲だが、ドラマ『静かなるドン』で主演を務めた中山秀征の話には、観客の誰ひとりとしてピンときていない様子。後方で私ひとり頷いているような状態ではあるが、そんな世代を超えたやりとりも含めて、観客はこの雰囲気を楽しんでいる。つまり自由なのである。

ちなみに持ち時間を守るために、ステージに時計を置いたものの、その時計が止まっているというのも、ふたりらしくて、「この夏を終わらしたくないってことだよ!」という村松の言葉も粋だった。で、さらに自由を倍増させてくれそうな四星球の北島康雄が登場。

ちゃんと動く時計を持って現れたのもニクい。康雄のリクエストに応え、再び『祭りのあと』をテンポアップして歌うと、本来歌う予定だったTHE YELLOW MONKEY『太陽が燃えている』へ。モンバスのルールブックを手に、謎のキャッチコピーで自己紹介していた康雄らしい選曲で、最後まで康雄節全開。最高でございました。続いて登場したのは、「ちょっと歳が離れているので緊張して構えてるかも」と呼び込まれたシンガーズハイの内山ショートは9mmの『The Revolutionary』を。そして、その後、ふたりのおしゃべりが長くなり、やや巻き気味に呼び込まれたのは、かりゆし58の前川真悟。


村松発案のゲストだそうだが、ここでなんと前川は未発表曲『あんた』を歌うことに。こうしたセッションでは、本人の人気曲や有名なカバー曲を披露するのが何となく定番だが、まさかの未発表曲。その固定観念を見事に打ち破ってくれた選曲だった。そして、まだ呼ばれてないのにa flood of circleの佐々木亮介が登場。

「今日演奏された曲の中で一番売れてなくて、一番いい曲やります」と、フラッドの『夜空に架かる虹』。ものすごく暑い時間帯なのに、どんどん人が集まってきたのは、この自由な熱気が自然にオーディエンスを呼び込んでいたのだろう。さらに、ふたりきりで井上陽水と安全地帯の『夏の終りのハーモニー』を歌うと、再び佐々木が登場。村松とTHE BACK HORNの山田将司が組むユニットとまとくらぶの『羅針盤』を3人で歌って締め。60分という長尺だったが、まったく時間を感じさせないステージ。まさに時間が止まったような、自由な60分だった。
茶堂では、活動休止中のUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介と、須藤優によるTen Twentyがトリを務める中、MONSTERcircus+では地元・高松の古墳シスターズがトリ。時間を戻し、古墳の直前にバックドロップシンデレラがライブをぶちかましていたが、茶堂で15時30分まで卓&拓 SESSION2026のステージにいたはずの四星球・北島康雄もいつの間にか到着して、その雄姿を見守っていた。

再生回数や動員数など、わかりやすい数字を持つアーティストが数多くフェスに出演する中、ライブハウスで日々切磋琢磨するバンドがその出演枠を勝ち取ることは、決して容易ではない。そういう意味でも、バックドロップシンデレラから古墳シスターズへと続くこの時間帯は、ライブハウスバンドを応援する側からすれば、ちょっとあり得ないような時間だ。空海ではELLEGARDENからアジカンという流れがある中、ボーカルの松山航は「最悪を想像していた」と打ち明けて、「今日イチの大きな声を出して帰るだけなので!」と前向きに開き直る。康雄だけではなく、U太、まさやん、モリスと四星球のメンバー全員が見守っていた。正直に言うと、どれだけ贔屓目に見ても、大勢の観客が集まっているとは言えない。でも、ここにいる一人ひとりが草の根の口コミでこのバンドの魅力を広げていけば、いつか必ずこの場所が大勢の観客で埋まる。そう思わせてくれるライブだった。そんなことを思っていたら、「モンバスに来なかったら知らない曲をやります!」と新曲『ナギ』へ。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTを彷彿とさせるギターが爆音で鳴り響く。「平成最後の青春パンクバンド」をうたう古墳シスターズだが、ここではまったく新しい一面を魅せる。


<誰にも邪魔させない>という歌詞だけが、爆音の中からはっきりと耳に飛び込んできた。フェスでは、小さなステージ、それも観客が少ない場所でこそ奇跡が起きる――という勝手な持論を持っているが、まさしくその瞬間だった。松山は「その日のど真ん中を打つことしか考えてません。堂々とやります」と宣言していたが、その言葉どおり、堂々たるホームランであった。 さぁ、いよいよ2日目も佳境へ。もちろん最後は、再び兵庫さんへバトンをつなぎます!
Live Report:兵庫慎司
今年で結成30周年を迎えたASIAN KUNG-FU GENERATIONを、2026年の2日間の大トリに据えるにあたって、『MONSTER baSH』は、これ以上はない、最高のシチュエーションを用意した。同じ空海ステージのひとつ前のアクトはELLEGARDEN、それに続く龍神ステージのトリはストレイテナー。2003年から2014年までアジカンが続けた『NANO-MUGEN FES.』(2025年に11年ぶりに復活開催)などで、同じステージに上がってきた盟友同士が、3アクト続くスロットを組んだのだ。


1曲目から「Salamander」のギター・イントロで参加者たちに火を点けたELLEGARDEN。再始動後のアルバム『The End of Yesterday』より『チーズケーキ・ファクトリー』、『Supernova』と『風の日』、2025年8月リリースの最新曲『カーマイン』からの『虹』、そして『ジターバグ』──という最高のセットリストに、熱いリアクションを返し続けるオーディエンスだったが、中でも、特に、8曲目『Make A Wish』でのシンガロングの大きさ、すごかった。もう、鳥肌もんの経験で、「この場にいれてよかったわあ」と思った。この曲でオーディエンスが大合唱するさまを、過去に何度も体験したことがあるにもかかわらず。そんなオーディエンスに、最後に『The End of Yesterday』からの『Strawberry Margarita』を贈ってから、ELLEGARDENはステージを下りた。 『Melodic Storm』を1曲目に持って来て、参加者たちを沸騰させたストレイテナーのホリエアツシは、2曲目の『From Noon Till Dawn』の<今だったら言える この世は素晴らしい>を<今だったら言える モンバス楽しいね!>と歌う。3年前にモンバスに出た時は11年ぶりだった、存在を忘れられてしまったのかと思って、その時に「また10年とか空くの、やめてくださいね」と言ったら、こうして3年ぶりに来ることができた──と言いながら、とてもいい笑顔を見せた。


そして大トリ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONは、左から、喜多建介、後藤正文、伊地知潔、山田貴洋が横一列に並び、後方にサポートのふたり(キーボードGeorge(Mop of Head)とコーラスAchico(Ropes))、というフォーメーションで、本編7曲・アンコール1曲の計8曲を演奏。前半は『Re:Re』『アンダースタンド』『リライト』の三連打で、参加者たちを歓喜の渦に叩き込む。

『リライト』の間奏のダブになる部分で、挨拶&メンバー紹介をしたゴッチは、そのまま、『MONSTER baSH』の一番の思い出について話し始める。同じ日に出ていたACIDMANのドラムの浦山一悟が、立ち上がって「RUSH BALLへようこそ!」と叫び、あとで裏でめちゃくちゃ怒られていたこと、だそうです。目に浮かぶ、大木&サトマに詰められているさまが。というエピソードで大笑いさせてから、「さっきのELLEGARDENの『Make A Wish』の大合唱に,若干のジェラスを俺は覚えている。なので、今日の『リライト』はみんなにプレゼントするんで、二番、自由にやっちゃってください」と曲に戻り、サビをオーディエンスに預けるゴッチ。まさに『Make A Wish』に匹敵するボリュームのシンガロングが返ってくる。

参加者たちの腕が波のように振られた『おかえりジョニー』、今の時代・今の世の中だから書かれた、現時点でのアジカンの最新曲『スキンズ』に続いて、「すっげえ昔、このステージで初めて歌った曲をやります」と歌われた『転がる岩、君に朝が降る』が、『リライト』に続く、この日二度目のハイライトだった。と、自分は感じた。アジカンでもオーディエンスでもなく、曲そのものが今この場所の主役である、そんな空気になったので。去年の秋、オアシスの東京ドームのオープニング・ゲストで、アジカンを観た時のことを思い出す。

「テナーとエルレと同じ日っていうのは、フェスでもそんなになくて。やっぱり、盛り上がるよね。最高だった。でも、負けないようにできたよ」。そんなゴッチの言葉から演奏された本編ラストは、2002年のアジカンの最初のミニアルバム『崩壊アンプリファー』の1曲目『遥か彼方』だった。アンコールの『MAKUAKE』では、アウトロでのゴッチの「Come on!」「Singin’!」で、参加者みんなが声を揃える、という美しい光景が広がる。前に出て、肩を組んでお辞儀した6人が去ると、空海ステージ上空に、何発もの花火が上がった。


<フェス概要>
『MONSTER baSH 2026』
8月22日・23日 国営讃岐まんのう公園
8月23日(日)出演アーティスト
10-FEET / ASIAN KUNG-FU GENERATION / バックドロップシンデレラ / Base Ball Bear(ACOUSTIC SET) / ELLEGARDEN / FRUITS ZIPPER / FUNKY MONKEY BΛBY'S / ハルカミライ / 古墳シスターズ / 黒夢 / LiSA / マルシィ / 宮本浩次 / My Hair is Bad / ねぎ塩豚丼 / 猫背のネイビーセゾン / OddRe: / PIANO baSH performed by 清塚信也 / ROTTENGRAFFTY / シンガーズハイ / ストレイテナー / sumika / Sunny Girl / 四星球 / 卓&拓 SESSION2026(菅原卓郎×村松拓) / TENDOUJI / TenTwenty / TETORA / 上江洌.清作&The BK Sounds!! / UNFAIR RULE / 八生
『MONSTER baSH 2026』オフィシャルサイト
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