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GRAPEVINE、25年前と現在が溶け合う『Circulator』リビジット(再訪) EX THEATER ROPPONGI公演をレポート

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『GRAPEVINE IN A LIFETIME tour』9月18日東京・EX THEATER ROPPONGI / Photo:藤井拓

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Text:兵庫慎司 Photo:藤井拓

2026年9月18日・19日、EX THEATER ROPPONGIにて、GRAPEVINEのツアー『GRAPEVINE IN A LIFETIME tour』の東京公演が行われた。その18日のレポートと写真をお届けする。

このツアーは、GRAPEVINEの4thアルバムであり、ある意味で、今のGRAPEVINEの基盤を作ったアルバムである『Circulator』のリリースから25周年を記念して、そのリビジット(再訪)・ツアーとして企画されたもの。8月1日岡山CRAZYMAMA KINGDOMを皮切りに、9月23日名古屋ダイアモンドホールまで、2カ月弱かけて16本を回るスケジュールで、以下でレポートするのは、その13本目にあたる。
アルバム『Circulator』に、リリース・ツアーである『Whitewood Tour』(高野勲と金戸覚が初めて参加したツアーでもある)の、ライブ音源を足した2枚組CD『Circulator+NAKED SONGS』。『Whitewood Tour』終了後にリリースされた映像作品『NAKED FILM』をデジタル・レストアし、当時は未収録だったライブ映像5曲と、2007年のシングル『指先/COME ON』の初回限定盤に付いていたスタジオ・ライブ映像4曲を追加した『GRAPEVINE LIVE 2001 “NAKED FILM and MORE”』。その二作をまとめたボックスセット『GRAPEVINE Circulator + NAKED SONGS + NAKED FILM and More』。
以上の3アイテムが、このツアーの前=7月1日に、発売になっている。

さて。その全16本のツアーの13本目で、GRAPEVINEが演奏したのは、本編19曲・アンコール4曲の23曲。『Circulator』を頭から最後まで再現してから、ほかの曲をやるのではなく、ほかの曲も織り交ぜつつ『Circulator』の曲を演奏していく、というセットリストで、『Circulator』の曲は、本編で12曲、アンコールで1曲、演奏された。
ほかは、5曲目が「ねずみ浄土」(2021年/17thアルバム『新しい果実』リード曲)。最新アルバムである『あのみちから遠くはなれて』(以下『アミーチー』)から、10曲目の「ドスとF」、15曲目の「猫行灯」、16曲目の「天使ちゃん」の3曲。
では、それ以外の6曲は、なんだったのか。すべてが「『Circulator』には入っていない、『Circulator』期の楽曲」だったのだ。
『Circulator』というアルバムは、リード・シングルが4作出ているが、2曲目の「きみが嫌い」は、その3作目「discord」のカップリング曲。12曲目の「パブロフドッグとハムスター」は、その2作目「Our Song」のカップリング曲。14曲目の「So.」は、その4作目「風待ち」のカップリング曲。アンコールの「その日、三十度以上」は、その1作目「ふれていたい」のカップリング曲。同じくアンコールの「100cc」は、「Our Song」のカップリング曲である。アンコールの最後の「Where Were You, When I Needed You」は、アル・クーパーのカバーで、『Whitewood Tour』の途中から演奏されるようになり、『NAKED FILM』にも収められている。

このツアーの2本目である8月2日広島クラブクアトロも、自分は観ているのだが、セットリストは、その時とは、ちょこちょこ変わっていた。大筋は同じだが、広島では12曲目だった「Buster Bluster」が、この日は1曲目だったり。広島では9曲目だった「lamb」が、この日は7 曲目に移動していたり。
アンコールもそうで、「その日、三十度以上」と「100cc」は、広島では演奏されなかった。代わりにそこに、「ふれていたい」のカップリング曲である「HEAD」が入っていた。気になって調べたら、「HEAD」は、ほかの公演でも演奏されたようで、この翌日=EX THEATERの2日目でも、披露されている。 つまり。『Circulator』期のGRAPEVINEの曲で、このツアーで演奏されなかったのは、「discord」のカップリング曲である「アイボリー」だけ。それ以外はすべて演奏した、ということだ。
再訪ツアーとは言え、ここまでやるか? ここまでやるか、GRAPEVINEだから。究極にマニアックだとも言えるが、究極のサービスだとも言える、『Circulator』の再訪を観に集まったオーディエンスに対しての。
ここまでやったのに、なんで「アイボリー」だけ、セットリストに入れなかったんだろう。どんな曲だったっけ。と、聴き直してみたら、「夏」が歌詞のキーになっている点では「やればよかったのに」と思わなくもないが、楽器がアコースティック・ギターとストリングスのみの、いわゆる弾き語りの曲で、そうか、これは、1曲だけだと、セットリストの中に置きづらいわね、アコースティック・コーナーを作って3曲ぐらいやるならありだけど──と、納得しました。

以上、セットリストのことでこんなに行数を使ってしまったが、演奏自体、田中和将のボーカル自体も、言うまでもなく鉄壁というか、贔屓目を削ぎ落として冷静に聴くことを心がけたとしても最高というか。日本のロック・バンドで、こんなグルーヴを生み出せる人たち、ほかにいる? いませんよね。奥田民生のMTR&Yぐらいしか、比較対象が浮かばないです。と、言いたくなるほどの仕上がりだった。
「Buster Bluster」や「B.D.S」の、ハードエッジなギター・サウンド。「風待ち」や「Our Song」の、乾いた叙情性。「ねずみ浄土」のイントロで、亀井亨がドラムの独奏を始めた時や、「天使ちゃん」に入る前に、田中和将が片手にマイク片手にハープを持って腕を左右に広げるポーズを取った時の、場内の空気が「きたっ、あの曲だ!」とザワッとする感じ。「フィギュア」と「波音」の『Circulator』からの2曲に、最新アルバム『アミーチー』の「ドスとF」が挟まれた時の、意外な相性のよさ。
特に、本編の後半。サイケでアシッドな「アルカイック」と、直球でラウドな「So.」から、『アミーチー』の必殺の2曲「猫行灯」と「天使ちゃん」、そして田中和将が叫ぶように吠えるように歌った「discord」、高野勲→西川弘剛→田中和将とソロプレイをリレーした「(All the young)Yellow」を経て、あの「ふれていたい」に到達する流れは、もう、たまらないものがあった。25年前のGRAPEVINEと現在のGRAPEVINEが、自然に、かつ美しくつながり、溶け合っていく時間。

この会場でライブをやる時は、曲の合間に「ギロッポン」を多発しがちな田中和将は、前半のMCで、このツアーの趣旨を説明した時に口にした「25年前なんで、当然みなさん生まれてない時代の話でございます。もしかしたら全部新曲に聴こえるんじゃないかと思います」を気に入ったようで、その後も何度か口にしながら、ライブを進めていく。
そして、後半のブロックに入る前のMCで、明日の9月19日がメジャーデビューから29歳の誕生日であること、29周年ということは来年30周年の活動があるということ、まだまだ祭りは続いていくのでこれからもよろしく──と、満員のオーディエンスに伝えた。
このツアー以降の活動としては、これを書いている時点では、11月23日(月・祝)Zepp Shinjukuの『GETTING BETTER -30th Anniversary Party Spicial-』への出演と、来年1月29日(金)にSpotify O-EASTの『ライブナタリー』でindigo la Endと対バンすることぐらいしか発表になっていないが、それ以外も、楽しみに待ちたい。

あ、もうひとつあった。このライブから2日後、NHK BSのドラマ『この味もまたいつか恋しくなる』に、田中和将が出演することが発表になった。メジャーデビュー29年にして(GRAPEVINEのMVを除くと)初の俳優仕事である。
原作者の燃え殻がGRAPEVINEのファンで(この日も観に来ていた)、普段から田中と親交があり、ダメもとのつもりでオファーしたところ、田中がOKを出したという。放送は11月14日(土)と21日(土)の21時からで、田中が出演するのは21日(土)の方。公式発表によると、「読まれたい日記」という話で、主人公(高橋一生)が通っていた喫茶店の、亡くなってしまったマスターで、井川遥の夫の役、とのこと。楽しみ。

<公演概要>
『GRAPEVINE IN A LIFETIME tour』
9月18日東京・EX THEATER ROPPONGI

【Setlist】

1. Buster Bluster
2.きみが嫌い
3. B.D.S.
4. ⾵待ち
5. ねずみ浄⼟
6. Our Song
7. lamb
8. 壁の星
9. フィギュア
10. ドスとF
11. 波⾳
12. パブロフドッグとハムスター
13. アルカイック
14. So.
15. 猫⾏燈
16. 天使ちゃん
17. discord
18. (All the young)Yellow
19. ふれていたい
Encore
20.I found the girl
21.その⽇、三⼗度以上
22.100cc
23.Where were you when I needed you(Al Kooper cover)

<ライブ情報>
『GETTING BETTER -30th Anniversary Party Spicial-』
11月23日(月・祝) 東京・Zepp Shinjuku
出演:GRAPEVINE、ストレイテナー、a flood of circle
DJ:片平実(GETTING BETTER)

『ライブナタリー』
1月29日(金) 東京・Spotify O-EAST
出演:GRAPEVINE、indigo la End

GRAPEVINE オフィシャルサイト

https://www.grapevineonline.jp/

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