【インタビュー】パラアーチェリー・大江佑弥「一筋の矢に込める覚悟と感謝。限られた時間で挑むアジアの頂」
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2024年にパリの国際大会に出場し、2026年4月のワールドパラシリーズ(タイ)混合団体で銅メダルを獲得するなど、パラアーチェリー日本代表の主力として活躍を続ける大江佑弥(おおえ・ゆうや)選手。 27歳で襲った病から始まった「第二の人生」、口で弓を引く独自スタイルを切り拓いた試行錯誤、そして2026年アジアパラ競技大会への想いを尋ねた。
「ゼロから挑める」アーチェリーとの出会い
── まずはアーチェリーを始められたきっかけについてお聞かせください。
27歳の時に3回目の脳出血を発症し、右半身に麻痺の障害が残りました。半年間のリハビリを経ても劇的な回復は叶わず、「この身体で生きていこう」と覚悟を決めたのが第一の転機です。当時まだ小さかった子どもたちにとって「かっこいいお父さんでいたい」という想いからパラスポーツを模索し始めました。
── 昔からスポーツに親しまれてきたそうですが、アーチェリーを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
小・中・高・社会人とずっと野球に打ち込んできましたし、ゴルフやサッカーも経験してきました。ただ、右半身麻痺になった身体で過去に経験のあるスポーツをやっても、どうしても元通りのパフォーマンスは出せず楽しくないだろうなと思ったんです。 そんな時、口で弓を引いて射つパラアーチェリー選手の写真を目にしました。「全く経験のない未知のスポーツなら、過去の自分と比較せずゼロから本気で挑戦できる」と感じ、地元のクラブへ飛び込みました。
── 口で引くフォームやトレーニングでのご苦労も大きかったのではないでしょうか?
最初は弾き方も分からず全く当たりませんでした。手で引く指導者はいても口で引く技術を教えられる人は周囲にいなかったため、試行錯誤の連続でしたね。首や頭の筋肉痛に耐えながら徐々に弓の重さを上げ、今では一般男性でも引きづらい約27kg(52ポンド)の弓を扱っています。 練習を重ねるほど真ん中に当たるようになり、野球のような「動」のスポーツとは正反対の、「静」のなかで己の集中力が試される魅力に引き込まれていきました。
新幹線並みのスピードと高い精度が見どころ
── パラアーチェリーの魅力や、ぜひ注目してほしい見どころを教えてください。
私が取り組んでいるのは、弓の上下に車輪(歯車)がついた「コンパウンド」という種目です。一般的な「リカーブ」という弓を使う種目に比べて非常に精度が高く、トップレベルになると中心の10点を射抜き続ける高い集中力が求められます。 何より見どころはスピード感です。コンパウンドから発射される矢のスピードは時速220〜230kmに達し、新幹線と同じくらいの速さと言われています。静寂の中の緊張感と、矢が放たれた瞬間の迫力をぜひ体感してほしいですね。また、車椅子に乗った選手や足で射つ選手など、障害特性に合わせてカスタマイズされたフォームや道具にも注目です。
── 普段は倉敷市役所の職員として働きながら競技を続けられていますね。
練習時間は仕事終わりの1〜2時間程度で、やりたい練習量の7割ほどしかできていません。ですが、だからこそ1本も無駄にしない効率と「質の高さ」を強く意識しています。 また、地元・倉敷の小中学校などで講演活動も行っているのですが、「障害を負っても人生は終わりじゃない」というメッセージを伝えるとともに、応援してくれる地域の方々の存在が自分の大きな原動力になっています。
── 2026年の愛知・名古屋アジアパラ競技大会に向けた意気込みをお願いします。
アジアには世界トップレベルの強豪選手が多く厳しい戦いになりますが、日本開催の大会は大きな目標であり、自分のやってきたすべてをぶつける絶好の機会です。 日本チーム一丸となって個人・団体ともにメダル獲得を目指しますので、ぜひ会場で熱い声援を送っていただけたら嬉しいです!
プロフィール
大江 佑弥(おおえ ゆうや)
1988年5月3日生まれ、岡山県出身。倉敷市役所職員。2016年にパラアーチェリーを始め、2024年パリパラリンピックに出場。2026年4月 Hyundai World Archery Para Series(タイ)混合団体で銅メダルを獲得。
【開催概要】
愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会
開催期間:10月18日(日)から10月24日(土)まで
開催地:愛知県・名古屋市 ほか
実施競技: 全18競技
主催: 公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会(AINAGOC)
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/events/para-aichi-nagoya2026/

