Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > タイ発Dept、初来日で響かせた甘い歌声と轟音 言葉を越えてつながった『KrosSphere』初公演オフィシャルレポート

タイ発Dept、初来日で響かせた甘い歌声と轟音 言葉を越えてつながった『KrosSphere』初公演オフィシャルレポート

音楽

ニュース

ぴあ

Photo: Tatsuki Nakata

続きを読む

フォトギャラリー(12件)

すべて見る

国や文化、言語の異なるアーティストが共演し、世界の音楽シーンをつなぐ。Kultureが立ち上げた新ライブシリーズ『KrosSphere(クロスフィア)』の第1弾公演が、10月2日、新代田FEVERで開催された。当初の予定では、タイ・バンコクのインディシーンで活動するDeptと、日本のHomecomingsによるツーマンだったが、畳野彩加の体調不良によりHomecomingsの出演がキャンセルに。Deptが演奏曲数を増やし、ワンマン形式で行われることとなった。彼らにとって初めての日本でのライブは、初期の楽曲から最新アルバム『not smoke, but cloud』の収録曲まで、その音楽の広がりをじっくりと味わえる一夜となった。

定刻を迎え、暗転した会場にスペイシーなシンセサイザーの音が響く。アンビエントな音像が徐々に膨らんでいくなか、Benz(ボーカル/ギター)とLuke(キーボード/シンセサイザー)が、ギター、ベース、ドラムのサポートメンバー3人とともにステージへ。温かな拍手に迎えられた5人は、「K.O.」でライブをスタートさせた。

グルーヴィーな16ビートに乗る、爽やかさとほろ苦さを併せ持つメロディ。Benzはギターをかき鳴らしながら、甘い声を響かせる。コーラスのかかった幽玄なギターはCocteau Twinsを思わせ、Lukeが操るProphet Rev-2とNord Electro 6Dの音色が、その“ゆらぎ”を彩っていく。

続く「All In」では、シンセの強いシンコペーションとタイトな8ビート、疾走感のあるベースがアンサンブルを牽引する。抑揚豊かなメロディにはシティポップに通じる親しみやすさも。途中のブレイクでLukeが「Make some noise!」と呼びかけると、フロアから歓声が上がった。

デビュー曲「ForWhat?」は、サポートギターの軽やかな16ビートのカッティングに導かれるメロウなサウンドが、どこかMen I Trustを思わせる。そして最新アルバムの冒頭を飾る「Smoke」では、2台のシンセを操るLukeが厚い靄を重ね、そのドリーミーなサウンドスケープにBenzの官能的なウィスパーボイスが溶け込む。愛を永遠にしたいと願いながら、そのはかなさを見つめる歌の世界が、輪郭のにじむ音の響きと重なった。

「Just Realized」は、LukeのシンセとBenzの歌から静かに始まるロマンティックなミドルバラード。そこから徐々に楽器が重なっていく。サビではBenzとLukeのボーカルが掛け合い、間奏に入るとBenzがギターをかき鳴らす。気づけばRideやSlowdiveを思わせるウォール・オブ・サウンドが、目の前に広がっていった。

そこから間髪を入れずに「How Dare You?」へ。4つ打ちのキックを軸に、ファルセットを交えたメロディが駆け上がり、ノイジーなギターが寄せては返す波のように押し寄せる。後奏ではサポートギターが力強いソロを響かせ、演奏が終わると大きな歓声が起こった。

季節のように巡る愛と恋しさを歌う「Cycle Of Love」を経て、「My Vanilla」へ。大切な人がいることで、世界のすべてが美しく見えるという歌を、Benzは甘く伸びやかな声でフロアに届ける。どこか懐かしさを感じさせるメロディは、幸福感と胸を締めつけるような切なさが隣り合っていた。

「Lucky」の後半、Lukeが観客にスマートフォンのライトをかざすよう促すと、客席がそれに応え、フロアにいくつもの光が瞬いた。歌や演奏を届けるステージと、それを受け止めるオーディエンスが、ともに曲の風景をつくっていく。理解し、愛してくれる人との出会いを歌う「Lucky」は、この夜のDeptと観客の出会いにも重なるようだった。

「Sense」は、リズムボックスのビートから始まり、そこへ徐々に生のバンドサウンドが混ざっていく。華やかな照明に彩られたステージと、柔らかく弾む音色。Wham!の「Last Christmas」にも似た温もりがあり、10月のフロアに、一足早いクリスマスのような気分が漂う。

イントロが鳴ると同時に、客席から歓声が上がったのは「17(Hoo Hoo)」。ニューロマンティックの気配を帯びたシンセに、Nile Rodgersを思わせる歯切れのいいギター、ファンキーなベース。Benzはステージを歩き回りながら熱唱し、Lukeも体を揺らしてシンセのバッキングを刻む。フロアはディスコのような賑わいを見せ、曲を終えたバンドに再び大きな歓声が送られた。

「Cola」では、激しいドラムとジェットのようなシンセが疾走感を加速。鋭いキメを交えた躍動的な演奏に、Benzの熱唱が重なる。Lukeがハンドクラップを促し、サポートギターはステージ中央でソロを披露。静と動を行き来するダイナミックなバンドサウンドが、ライブをラストスパートへと導いていく。

立て続けに演奏された「Gossip」では、「Woo Woo Woo」と歌うフレーズを、オーディエンスも満面の笑顔でシンガロング。タイ語の歌に、英語での呼びかけ、そして言葉のない声のフレーズ。声を重ね、手を叩くやり取りのなかで、ステージとフロアの距離が縮まっていく。国や言語を越えて音楽でつながるという『KrosSphere』の趣旨を、そんな光景からも実感できた。

「Farewell」を経て、最後に届けられたのは「La La La」。独特のコード進行と6/8拍子の揺れに身を委ねていると、演奏はじわじわと熱を帯びていく。美しく神秘的なBenzのファルセットが繰り返され、最後には「ラララ」の合唱が会場いっぱいに広がる。過ぎ去った恋への思いを歌う曲が、その夜をともに過ごしたオーディエンスの声と重なり、多幸感と共にこの日のライブを締めくくった。

初来日に加え、直前の共演者キャンセルという急な変更もあった今回の公演。それでもDeptは、甘く柔らかな歌声、夢見心地のシンセ、体を揺らすグルーヴ、そして時に轟音へと膨らむギターまで、自分たちの持ち味を最後まで出し切ってみせた。

予定されていた共演はかなわなかったが、この2組の出会いは次の公演へと続く。11月22日(日)には、タイ・バンコクのVOLUME LIVEHOUSEでDeptとHomecomingsのツーマンを予定。今度はHomecomingsがDeptの地元へと赴く形だ。東京で生まれたステージと客席のつながりを経て、バンコクではどんな出会いが生まれるのか。『KrosSphere』の第1弾は、その先へ期待をつなぐ、温かな始まりとなった。

Text:黒田隆憲 Photo:Tatsuki Nakata

<公演概要>
『KrosSphere』バンコク公演
11月22日(日) タイ・バンコク VOLUME LIVEHOUSE
出演:Dept/Homecomings

『KrosSphere』11月9日公演
11月9日(月) 東京・渋谷WWW X
開場18:00/開演19:00
出演:will hyde/LUCKY TAPES

【チケット情報】
前売:6,000円(税込/ドリンク代別)
U-22:4,000円(税込/ドリンク代別)
https://w.pia.jp/t/krossphere-t/

『KrosSphere』12月2日公演
12月2日(水) 東京・Spotify O-EAST
開場18:00/開演19:00
出演:藤原さくら/LANDOKMAI/スーパー登山部

【チケット情報】
前売:4,500円(税込/ドリンク代別)
U-25:3,000円(税込/ドリンク代別)
https://w.pia.jp/t/krossphere-2612/

KrosSphere 公演情報・公式X

https://x.com/storiaa_info

KrosSphere 公演情報・公式Instagram

https://www.instagram.com/storiaa_info/

Kulture オフィシャルサイト

https://kulture.jp/

フォトギャラリー(12件)

すべて見る