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.ENDRECHERI. × Lucky Kilimanjaro、ファンクとダンスが交わる夜 ── 初対バンが生んだ衝動『Music Splash!!』ライブレポート

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『Music Splash!!』.ENDRECHERI. / Lucky Kilimanjaro

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Text:石角友香 Photo:Terumi Fukano

多くの音楽ライブの企画制作やEXシアター六本木などの運営も行うEXエンタテインメントが開催する音楽イベント『Music Splash!!』。2025年から続く同シリーズの第4弾が、10月17日に.ENDRECHERI.、Lucky Kilimanjaro、10月18日に凛として時雨、聖飢魔IIの組み合わせで東京・SGC HALL ARIAKEにて行われた。ここでは初日10月17日の模様をレポート。レアな顔合わせだけでなく、いわゆる“対バン”が初となる.ENDRECHERI.はファンの注目度も高く、どのような化学反応が起きるのか? リアルに体験した人だけが感じ得るユニークな一夜となった。

Lucky Kilimanjaro

先攻はLucky Kilimanjaro(以下、ラッキリ)。夏フェスに続き、秋フェスや対バンイベントにも精力的に出演し、10月28日(水)には約3年半ぶりとなるニューアルバム『ONDO』のリリースも控えるタイミングでの登場だ。場内が暗転すると、.ENDRECHERI.ファンもホットケーキ型のペンライトを点灯して歓迎。早くもいい予感しかないチアフルなムードに包まれる。2026年バージョンにアップデートされた「踊りの合図」のSEに乗せ、熊木幸丸(vo)が「初めての方も多いと思います。踊らなくても踊ってもいい、好きなように楽しんでいただければ!」と、初見のオーディエンスにラッキリのスタンスを示して、50分ノンストップのダンスタイムに滑り込んでいく。SEからそのまま「踊りの合図」のプリミティヴなリズムが続き、熊木をはじめ、ギタリストらしからぬ激しいムーブを見せる松崎浩二(g)も大いに煽る。

インタールードを挟んで乾杯ソング「350ml Galaxy」ではステージ袖からビールジョッキを手にした熊木が現れ、フロアでもドリンクを持った手が挙がる。ワンマンではこの日の倍以上の時間をほぼノンストップで繋いでいくだけに、この日のメンバーはいつも以上にフルパワー。ステージの端から端まで踊りながら移動する熊木に会場に詰めかけたオーディエンスも反応を返している。“BPM125 部屋で踊るハウス”の歌詞通り、いつでもどこでもこのペースで踊ることで、まず自分が気持ちよくなろうと示す「HOUSE」、「ひとりの夜を抜け」と、ライブ定番曲が続く。

そこにポップでノスタルジックなリフが流れ込み、目下の最新曲「変身中」が景色を変える。山浦聖司(b)のベースラインが効いていて、ファンクチューンに馴染みの深い.ENDRECHERI.ファンも踊りやすいのでは? と思えた。が、ダンスを促すリズムとグルーヴはジャンルを超えているようで、続く「Burning Friday Night」のイントロの四分キックに自然にクラップが起こる。自由に踊るフロアを見渡して、「皆さんのダンス、素晴らしいです」と満面の笑みで言ってしまう熊木の気持ちもビビッドに伝わってきた。「簡単なので一緒に歌ってもらえませんか?」と、サビの“踊ろう涙忘れて”のシンガロングを促す場面も。

そしてシームレスにイントロでEDM的なビルドアップを行い、「エモめの夏」に移行していく。輝度の高いシンセサウンドと軽くステップを踏めるBPMというフロアの足を止めない流れで、この頃には完全にラッキリのペースにホールが包まれていた。眩く変化するレインボーカラーのライティングも気持ちを高める。

柴田昌輝(ds)のドラムとラミ(perc)のパーカッションを軸にアフロビーツを刻む「KIDS」は少し内省的な歌詞だが、「いろんな気持ちがダンスになると思っています」という熊木の言葉に改めて頷いてしまう。レアな対バンだからこそ、自分たちの音楽についてさりげなく言葉を添えていくことで、よりライブをスムーズに運べるのだ。そしてエバーグリーンなポップナンバー「コーヒー・セイブス・ミー」が流れ出すと、フロア全体がグッと柔らかなムードに。そこから終盤は再び様々なダンスビートで気持ちと体を鼓舞していく。カラッとしたラテンビートの「太陽」、音楽のスラップスティック状態の「I’m NOT Dead」では裏拍のハンズクラップが巻き起こり、“踊らないと!”の永遠に続きそうなリフレインにも笑いで応酬するタフなフロアが醸成されていた。

エレクトロクラッシュ的な「Dancers Friendly」の曲中では何度も「ダンスは自由です」と繰り返してきた熊木が「Lucky Kilimanjaroを知ってるとか知らないとか関係ないんですよ! 今日この『Music Splash』で.ENDRECHERI.とLucky Kilimanjaroのツーマンって事実を楽しむだけなんですよ!」と、さらにフロアに点火。両者のファンが渾然一体になって踊る中、ラストはまさにタイトル通り、心の赴くままに行こうと促す「楽しい美味しいとりすぎてもいい」を放ち、タイトルのリフレインを皆で叫ぶ。

そんな中、松崎がフロアに飛び降り通路を練り歩く場面も。彼が演奏の終わりにステージに戻れないのもご愛嬌だし、熊木がメンバーであり妻の大瀧真央(key)の巨大アクリルスタンドを手に、産休を終えて彼女がステージに戻ってくることも伝え、そしてこの日のオーディエンスに対する感謝を溢れさせていたのがなんとも印象的だった。

.ENDRECHERI.

ラッキリが温めたムードを.ENDRECHERI.チームの素早い転換で繋いでいくプロフェッショナリズムに感嘆していると、バンドメンバーはサウンドチェックのあと、ステージ袖に下がることなくセッションをスタート。そこにさりげなく堂本剛がステージに現れ、「ラッキリのファンの方いらっしゃいますか? 僕は『KIDS』『I’m NOT Dead』『Dancers Friendly』が好きです。自分の思考回路に似ていて」と話す。さらに「理想の自分に生まれ変わりたい人はいますか?」などと投げかけ、自身もコンプレックスに悩まされてきたけれど、結局は自分自身で生きるしかないと気づいたことや、言いたいことがうまく伝えられない時に、楽曲としてアウトプットすることがセルフケアになってきたことが伝えられた。ファンのみならず、初見のオーディエンスがいることを意識した自己紹介であるとともに、堂本の誠実さを知ることにもなる。これが彼なりの初対バンに臨む姿勢なのだろう。 来年シンガーソングライターとしてCDデビュー25周年を迎えることを話し、1曲目はシンガーソングライターとしてのデビュー曲を届け、その後は怒涛のファンク、R&Bのライブを展開すると宣言した。
表現者・堂本剛の根幹をなす「Machi....」が、晴れやかなホーンの音色も伴って放たれる。痛みを抱えながら自分として生きる宣言であるこの曲で始めることも自己紹介なのだろう。言葉以上に感情が乗ったギターソロにも揺さぶられた。そして約束通り、2曲目の「Super funk market」のライブアレンジ以降はボトムの低い、腰の入ったグルーヴでフロアを巻き込んでいく。

ダンスもこなすコーラス隊とのソウルフルなハーモニーもいい。に、してもライブの音像が海外アーティストのスケールである。特にドラムサウンドのパワフルさと抜けの良さはこの規模感を優に超えている。そこにホーンアンサンブルのダイナミズムを背負い、軽々とハンドマイクで歌う「雑味」のスリリングさが加わる。先ほどまでのラッキリのハウスのグルーヴから一転して、トグロを巻くようなグルーヴが早くも生み出されている。また、メロディとラップの中間を行くようなバウンスするボーカルがノリを作り出す「MYND」へとつながり、コッテリしたファンクの王道を行く演奏はクラビネットのノイジーさ、ギターのワウカッティングでより熱を高めていく。重力と無重力を外界からの影響と自分の心のあり方に重ね、“僕は僕の心に居たいんだ”と歌う、ファンクの重さともリンクするリリックもすんなり心に届く。そしてミクスチャーロック的でもある「勃」では、ライトスティックがヘッドバンギングするように振り下ろされ、まるでオーディエンスがひとつの生き物のように見えたのも印象的だ。

「Kaleidoscope」でシンセのロートーンが支配する空間に突入すると、そこからは8月にリリースした最新アルバム『new chapter purple』の楽曲が続く。「宇音」にメドレーでつなぎ、ギターのワウカッティングが小気味よいグルーヴを先導する。スライ&ファミリー・ストーンをも彷彿させるじわじわ攻めるグルーヴが、センシュアルかつスペーシーな歌詞と溶け合ってなんとも艶っぽい。続く「MY DESIGN」でも洒脱な夜のムードを醸し出すのだが、あくまでも自分自身のあり方をメッセージしていく堂本の歌は彼がシンガーソングライターである証左だ。そこに景色が開けるギターフレーズが鳴り響き、スタジアムが似合いそうなオルタナロックサウンドの「ASTRA BEAT」へ。洋楽的なメロディを優しい声で届ける幅の広さも見せてくれた。

ほぼノーMCで立て続けに曲をドロップし続けたあとはモータウン的なリズムとウワモノのリフに乗せて、堂本が告げたカウント通りにフロアをジャンプさせるタームを挟み、見事に24回のジャンプが決まったところで、最新作の中でも新世代ジャズを経由した最新型のファンクチューン「Thinking Time」が披露される。オリジナルではBREIMENがフル参加しているこの曲は新しいリスナーにもリーチしているが、生のホーンも加わったこの日のバージョンもスリリング。緩急に富むプレイの上で歌われる、時代に惑わされないタフネスがリアルに届いた。

あっという間にラスト1曲を迎えたところで、堂本は人との出会いの喜びもしんどさも踏まえた上で、人間はひとりでは生きられないと話し、「出会ってきた人、これから出会う人へ向けたラブソングです。皆さんもご自身の大切な人を思い浮かべながら聴いてください」と、スタート同様、スローチューン「Heart of Rainbow (Dear Friends ver.)」をラストに据えた。音楽を作ることで言葉にできない想いを吐き出していた頃と、包容力を増した今の両方を実感できる初見のオーディエンスにとっても.ENDRECHERI.入門編と言えそうな約50分。「ラッキリさんを呼んだ方がいいんですかね? 僕ひとりで締めるんですか?」と、初対バンに戸惑っていたものの、最後は彼らしいライブの締めくくり方として、「皆さんのお家の住所は分かりませんけど、星空を通じて何か送ります」と感謝を示し、名残惜しそうにステージをあとにした。

ライブが始まるまでは想像もできなかったそれぞれのアーティストのグルーヴが、交歓された体験的なツーマン。音楽だから可能な交流はその場にいた人の心を温めたに違いない。今後も意外な顔合わせで世代や固定観念を超えた景色が見たいと思った。

<公演情報>
『Music Splash!!』
10月17日東京・SGC HALL ARIAKE
出演:.ENDRECHERI. / Lucky Kilimanjaro

【Lucky Kilimanjaro / Setlist】

01. 踊りの合図
02. 350ml Galaxy
03. HOUSE
04. ひとりの夜を抜け
05. 変身中
06. Burning Friday Night
07. エモめの夏
08. KIDS
09. コーヒー・セイブス・ミー
10. 太陽
11. I’m NOT Dead
12. Dancers Friendly
13. 楽しい美味しいとりすぎてもいい

【.ENDRECHERI. / Setlist】

01. Machi....
02. Super funk market
03. 雑味
04. MYND
05. 勃
06. Kaleidoscope
07. MY DESIGN
08. ASTRA BEAT
09. Thinking Time
10. Heart of Rainbow (Dear Friends ver.)

Music Splash!! オフィシャルサイト

https://musicsplash-ex.com/

.ENDRECHERI. オフィシャルサイト

https://funk-love.jp/

Lucky Kilimanjaro オフィシャルサイト

https://luckykilimanjaro.net/

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