上村聡史の新国立劇場演劇芸術監督就任第一作『巨匠とマルガリータ』制作発表に成河、花乃まりあ、篠井英介ら出演者が集結!
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『巨匠とマルガリータ』制作発表会見より (撮影:田中亜紀)
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すべて見る2026年9月、新国立劇場演劇芸術監督に上村聡史が就任した。そのシーズンオープニングを飾る『巨匠とマルガリータ』が、上村自身の演出で上演される。開幕を約1カ月後に控えた10月5日に実施された制作発表会見では、上村新芸術監督と翻訳を手がけた小田島創志、また成河、花乃まりあ、松島庄汰、菅原永二、大鷹明良、篠井英介をはじめ総勢18名の全キャストが集結。報道陣および抽選で選ばれた約50名のオーディエンスの前で、作品の魅力、現在の取り組みについて語った。
作家ミハイル・ブルガーコフが1928年から40年にかけて執筆した小説、『巨匠とマルガリータ』。ソ連当局により体制批判と見なされ、当初は出版許可がおりず、検閲版としてようやく出版されたのは作家の死から26年後の1966年だったという。今回は、主人公の「巨匠」を小説家から劇作家に翻案した、英国の劇作家エドワード・ケンプの戯曲による上演が実現する。
会見の冒頭で挨拶した上村は、新芸術監督として掲げた指針、「物語のアップデート」に触れ、開幕公演に『巨匠とマルガリータ』を選んだ理由を、「20世紀ロシア小説の最高峰であることはもちろん、自分以外の他者がいることの尊さ、信じる力や愛する力が根っこに流れている」と説明。「表現は新しくしていきますが、忘れてはいけないもの、忘れることができないものを大事にして作品を作っていきたい」とも。現在進行中の稽古については、「僕自身、かなりテンション高く演出をしていて、皆のテンションもそれを上回り、まるで圧力鍋で料理をしているよう。息も抜きつつですが(笑)、密度の高いクリエーションができています」と笑顔を見せた。
翻訳の小田島は、「ケンプ版の台本は小説の順序を入れ替えながら、演劇でやる意味を強く感じさせる構成になっています。コミカルな部分、ポエティックな部分もふんだんに含まれていて、訳していてとてもワクワクする作品」と、その魅力を紹介した。
続いて出演者たちが、各々の担う役柄とともに紹介され、それぞれが本公演の見どころを述べた。
自作を痛烈に批判され、精神病院に身を寄せることとなる劇作家、主人公の巨匠役の成河は、「広大な中劇場の空間をシンプルかつ力強く使う舞台美術が見事。どの瞬間を切り取っても1枚の美しい絵になる」とアピール。巨匠の恋人、マルガリータ役の花乃は、「空を飛ぶシーンがあります。私自身もとても楽しみにしておりますので、ぜひご注目ください」。モスクワに突如現れる悪魔ヴォランド役を演じるのは、篠井。「手強い作品ですが、ご心配なく。皆さまにも、私たちにも素敵で豊かな想像力があるので、それをフルに活かしていただくと、この作品は大変に面白くご覧いただけると思います。見どころは私の悪魔ぶりでございます」と述べ、オーディエンスをどっと沸かせた。



松島が演じるのは、悪魔の一味を追ううちに狂人と見なされ、精神病院に隔離される若き劇作家、イワン。「ブルガーコフの人生、その時代が滲み出てくるような言葉は、怖いくらいに心に刺さります」。悪魔ヴォランドの付き人ファゴットを演じる菅原永二は、「悪魔が悪をやっつける。ダークヒーロー的な立場で登場すると思います。痛快なシーンがあるので、お楽しみに」。巨匠が書いた戯曲の主人公古代エルサレムを統治する総督、ポンティオ・ピラト役は、大鷹明良。「2000年前の人物ですが、何を調べてもその人となりはわからない。この物語では人間味ある人物として描かれ、キリストを処刑したことを2000年も後悔し続けている。人間味があってとても魅力的ですが、どの人物にも必ずそれがあります」。

人間、悪魔、猫……個性豊かなキャラクターに注目ポイント
続くキャストたちのコメントでも、個性的なキャラクターの魅力や注目ポイントが飛び出した。
「ブルガーコフの魔術のような物語のとりことになってしまいました。余すところなくお伝えできるよう努めたい」と述べたのは、悪魔ヴォランドの一味、アザゼッロ役の明星真由美。演出家トレパン役の小松利昌は、「今後どういうふうに演劇と関わっていくかということを考えながら、最後まで走ろうと思っています。皆さん、本役以外にもいろいろな出方をされるので、そこもお楽しみに」。マルガリータの女中、ナターシャ役の富山えり子は、「人間だけでなく悪魔や猫も、とにかく皆、とても人間臭い。人間のおかしさや愛らしさが描かれています」。
文学界の重鎮、ベルリオーズ役の内田健介は、「スターリンの悪政のもとで苦しむモスクワ市民たちがいい働きをしますので、ぜひ注目を」。批評家のパゴダ、また悪魔の一味で喋る黒猫、ベヒモスの声を演じるのは山本圭祐。「お客さまが想像力を使っていただいた時に、すごく面白い作品になると思います」。劇場のビュッフェ責任者、アンドレイ役の山森大輔は、「『最大の罪は臆病である』というセリフが、いまを生きる僕たちやお客さまにどう響くのか、楽しみにしています」。柴一平が演じるのは喋る黒猫ベヒモスの、身体。「小説本の表紙を飾るほどの、この作品を象徴する存在。声を演じる山本さんと一緒なので不安は全くありませんが、見どころはまだ調整中(笑)」。
悪魔の一味、ヘルラ役の釆澤靖起は、「原作の悪魔一味が集まる場面に、なぜかヘルラだけがいない。ブルガーコフの書き忘れという説があり、ちょっと複雑な気持ちに(笑)。ブルガーコフに忘れられても、お客さまの記憶には残るヘルラを演じたい」。劇場の経理部長リムスキー役の近藤隼は、「見どころは、壮大なこの物語の結末。いろんな方がいろんなふうに感じていただけると思います」。劇場支配人ヴァルカ役と、精神病院の看護師を演じるのは猪俣三四郎。「ヴァルカは常にお上の顔色をうかがい、保身を図る人物。“友達にはなりたくないけど、気持ちはわかる”というところに着地できたら」。
悪魔の舞踏会に参加するフリーダ役の篠原初実は、「当時の社会情勢と絡めて見ると、現実的に私たちの胸に迫ってくるものがあるのではないかと思います」。最後に「一番の見どころは、奇天烈で不思議な物語の奥にある普遍的なメッセージ。いまこの瞬間、自分だったらどうするかな、何を考えるかなと思いながら、向き合っています」と述べたのは、ピラトに仕える書記官役、笹原翔太だ。
原作の小説については、「ゲラゲラと笑いながら読みました。誤解を恐れずに言えば、エンタメ小説」(成河)、「壮大な物語ですが、私が演じるマルガリータ自身の物語として見れば、愛する人を愛する、信じたい人を信じるというところに行き着く物語」(花乃)、「開いた口が塞がらないほど奇想天外なことがいっぱい起きます。僕が演じるイワンはお客さまの目線に一番近いキャラクター。『あれ、いま何が起こっている? 置いていかれたな』と思った時は、僕の顔を見ていただいたら、大体同じ顔をしていると思います(笑)」(松島)など、期待高まる発言が次々と飛び出した。
難解な作品ではないかという不安を抱く人たちへのアドバイスも。小田島は、「本当に面白くなると思います。物語に入り込めるし、ストーリーの展開が早く、体感では10分間くらいで終わる作品」。成河は「予習して観るものではないというのが大前提。でも強いて言うなら、社会主義ってなんだっけ、というところです」と指摘し、ブルガーコフが社会主義へのアンチテーゼとして本作を書いたことに触れながら、「でもそれは、強いて言ったヒントです」と強調した。上村は、わからないところがあった場合は、「面白いなと思ったらもう一回観劇して(笑)」と、笑顔で訴えた。


“圧力鍋”と形容された稽古場での上村について、成河は「言葉を尽くして説明してくださる。ここはこういう意図でこういうことがしたい、やってみないとわかんないけれど、と全員と共有して一歩ずつ進んでくださって、僕はとっても大好きです」と、上村への深い信頼を滲ませた。
『巨匠とマルガリータ』は11月7日(土)から23日(月・祝) まで、新国立劇場 中劇場にて上演される。
文:加藤智子 撮影:田中亜紀
<公演情報>
新国立劇場の演劇『巨匠とマルガリータ』
原作:ミハイル・ブルガーコフ
翻案:エドワード・ケンプ
翻訳:小田島創志
演出:上村聡史
出演:
成河 花乃まりあ 松島庄汰 菅原永二
明星真由美 小松利昌 富山えり子 内田健介 山本圭祐 山森大輔
柴一平 釆澤靖起 近藤隼 猪俣三四郎 篠原初実 笹原翔太
大鷹明良 篠井英介
2026年11月7日(土)~23日(月・祝)
会場:東京・新国立劇場 中劇場
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2671557
公式サイト:
https://www.nntt.jac.go.jp/play/the-master-and-margarita/
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