小川史記「新人時代はギラッギラでした」 “奇跡の31歳”が語る、今の自分をつくった言葉
映画
インタビュー
(撮影/キムアルム)
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すべて見る人気ダンス&ボーカルグループ、BUDDiiSのメンバーとして活躍する一方、俳優としても活動の幅を広げる小川史記。11月6日(金)公開の映画『冤罪のつくりかた』では、組織の闇に直面し、葛藤する新人検察事務官・早乙女直樹を演じ、新たな一面を見せている。難役への挑戦で感じた演じることの面白さから、かつて「ギラッギラだった」という新人時代、そして長年の活動を経て見つけた自分らしさまで。持ち前のポジティブさと揺るぎない信念の裏側に迫った。
ベテラン俳優陣の迫力に圧倒。「すごすぎる、いい環境にいるなあ!」

――元衆議院議員・あきもと司さんの手記(『事実無根 私はこうして特捜に嵌められた』)を原案とする、映画史上初の“冤罪を作る側”から描く司法サスペンス『冤罪のつくりかた』への出演、小川さんにとっても新たな挑戦になりましたね。
はい、最初に脚本を読んで「む、むずかしいぞ」と思いました。何回も読み返して、調べて、事実として無罪を主張している方がいて、それを元にしたサスペンスというストーリーを理解していきました。
――まず、内容をしっかりご自身の中で咀嚼することから始められたんですね。
そうですね、でも、刑事もののジャンルは好きなので、読みながらワクワクして、これが映像になるなんてすごい!と撮影が楽しみになりました。
――セリフも専門用語が多くて、むずかしそうでしたね。
そうなんですよ、セリフが本当に入らない、入らない(笑) とにかく声に出して読んで、反復して、わからないところは調べて、また読んでを繰り返して覚えていきました。
――演じられた早乙女直樹は、新人検察事務官で、組織の闇に直面して葛藤するという役柄ですが、どういう人物ととらえて演じられましたか?
根底は自分に似ているなと感じました。何かに対して、信じて、進んでいく。僕も夢があって、その夢に向かってポジティブに進んでいくタイプなので、親近感を感じました。でも直樹は環境にものすごく振り回されるので、演じていて直樹の言動に対してイライラしたりもしました(笑)。「もうちょっと現実をちゃんと見ろよ」と思ったりして。でも、そういう状況になってみないとわからない部分もあるんだろうし、本当に世界が違うところに飛び込んでしまったから、ある意味では直樹も被害者なのかもしれないな、気の毒だなと思いました。
――希望を持って、新人として入ってきたのに。
そう、光を持って入ってきたのに、それがどんどんシューッと暗くなっていくのを、演じていても感じました。かわいそうだなあと。


――上司の如月美麗(加藤夏希)も、令和の現代ではありえないパワハラな物言いをしますしね。加藤さんをはじめとして、原田龍二さんや、やべきょうすけさんなど、ベテラン俳優さんたちと一緒に演じられて、いかがでしたか?
もうめちゃくちゃ助けていただきました。加藤さんは役と違って、本当に優しくて(笑)。クランクインのとき、BUDDiiSのこともすごい調べてきてくださって、僕がどういうステージをやっていて、どんなキャラクターでということを知っていて、話しかけてくださったので、嬉しかったです。たくさん世間話をしてくださって。なのにカメラが回った瞬間、如月になって、殺気をまとって迫ってこられるので、そのギャップにやられました。その殺気に圧倒されて、僕も直樹として、素直なリアクションが取れるので、「すごすぎる、いい環境にいるなあ!」と震えました。
――加藤さんの迫力が、直樹としての小川さんの演技も引き出してくれたと。
そうですね。しかも、最初に撮った如月とのシーンが、如月に胸倉をつかまれて、壁にどーん!ってされるシーンだったんですよ。そこからは、如月に対峙すると、そのときの恐怖が一瞬よぎるようになりました(笑)。加藤さんのプロの力に圧倒されていました。
あと、やべさんは僕がちっちゃいころから、いろんな作品に出られているのを観ていたので、実際に演じられているところを拝見して、記者の神崎ゴウの役をすぐに具現化して体現されていて、それが何というか、淡々としているんですよ。当然のように体現されているのを感じたので、やべさんにも圧倒されました。
役と自分が一体になった瞬間。「楽しいかも!」という新たな発見

――体力的にも大変そうなシーンも多かったですね。
はい、外を走って、人から叩かれて、みたいなことを何回も何回もやったりしましたし、しかも撮影時期はまだ8月9月の暑い時期だったし、ちょうどBUDDiiSのツアーも重なっていたので、体力をものすごく使いました。
――奇跡の31歳といえど、しんどいこともあったと。
いや、そうはいっても、体力を100としたら、まだ2%くらいしか疲れてませんでしたけど(笑)。やっぱり演技もアクションがあったり、難しいこともあったので、「もう一度、指示お願いします!」みたいなことも多々ありました。
――俳優として、新しいことにいろいろと挑戦できた作品だったんですね。演技の面白さを改めて感じた瞬間はありましたか?
直樹は、アクの強い人物たちの中で、普通の青年じゃないですか。その直樹が我慢の限界がきて、ついに反抗するシーンは、意識せずに本当に自然に、ガッと感情的になれて、すごい気持ち良い!と思いました。その気持ちよさは役者として新たな発見だったかもしれません。あ、自分(直樹)は我慢をしていたんだなと気づいた瞬間だったというか。
――直樹が乗り移ったように感じたというか。
そうですね。自分と直樹が一体になった感じがして、「楽しいかも!」という気持ちが芽生えました。
「自分が一番売れてやる!」ギラギラしていた新人時代と、転機になった言葉

――直樹は、新人だからこそ、仕事に夢を持っていて、壁にぶつかってしまったというところもあったかと思います。小川さんは、今、BUDDiiSの中では年長者で、グループを引っ張る存在ですけど、以前、たとえば、PRIZMAXには新メンバーとして加入されて、新人時代もありましたよね。新人として奮闘する直樹を演じて、ご自身の新人時代を思い出されたりされましたか?
忘れてました(笑)。でも、当時は思い返すと僕は尖ってましたね。表にはあまりそれを出さなかったけど、気持ちの部分ではすごい尖っていました。グループでやっているし、みんな仲間だから、もちろん同じ思いを持ってやっているんだけど、自分が一番自信がある、一番売れてやる!と本気で思っていました。PRIZMAXで天下を取るぞ!とそれぐらい尖ってやっていました。
――そんなにギラギラされていたんですね!
ギラッギラでしたね。ダンサーをやっていて、芸能活動にも慣れていなかったから、アイドルというより尖ったパフォーマーという感じでした。でも生意気だったとかではなくて、僕のキャラクター的にそのときから、すごい元気だったし、挨拶もしっかりするし、現場への入りも誰よりも早かったです。
――やる気に満ちた若者だったんですね。その時代に、目上の人から言われた言葉で記憶に残っていることはありますか?
今でもめちゃくちゃ覚えているのは、当時、PRIZMAXのディレクターをやっていた方から「史記は、かわいいから、でも、かわいいぶん強さを100全部出しても魅力がないから、自分の、かっこいいダンスをやってきたっていうかっこいい部分と、スターダストの色である上品さを合わせたら、めちゃくちゃ良くなるよ」って言ってもらったんです。そこから自分のパフォーマンスは変わったなって思います。

――すごい、的確なアドバイスを!
そう、最初はどういう意味なのかよくわからなかったんですけど、よく考えて、確かになって思って。特に「スターダストの上品さ」というところにすごい納得したので。この事務所の特徴として「品がある」というのは感じていたので、それをやってみようと思いました。すぐにはどうやればいいのかわからなかったですけど、だんだん形になっていった気がしています。僕を表す言葉として、「強さと上品さの掛け合わせ」というのはすごくしっくりきたんです。今のBUDDiiSでのパフォーマンスも自分で言うのは何なんですけど、品があるんだけど、強い部分もしっかり出せているなと思っています。その方から言ってもらわなかったら、もしかしたら今のスタイルはなかったのかもしれないと思うぐらい、のちのちに刺さってきた言葉でした。
――その言葉がじわじわと生きてきたんですね。
そうですね。MCとかでも、かわいさを出す場面が増えてきて、わかりやすく人気というものがついてきたときに、だんだんと、あ、自分はこういうキャラクターのほうがいいんだと気づきました。自分の素の部分も出していったところがファンの方に刺さったようだったので、こういうことだったのかなと。時間をかけて、今のスタイルができあがっていった感じですね。
――そんな小川さんはいまやEBiDAN全体を引っ張る存在のひとりですよね。若いグループも増えましたが、先輩として後輩たちに対して意識していることはありますか?
話しかけやすい先輩でいることです。先輩という言い方はあれだから、絡みやすい人、かな。現場に後輩たちがいたら、怖くないよーという雰囲気を常に醸し出すようにしています。そうすると後輩のほうから、「一緒に写真撮りたいです!」と言ってもらえたりして、それはすごく嬉しいです。僕は自分から先輩に写真を撮ろうって言うのも緊張してしまうタイプだったので、それこそ、PRIZMAXの時とか、そんなに仲良くなれていない人たちに「写真撮りましょう」って言うのは本当に緊張しましたから。その人が怖いとかじゃなくて、その現状が怖かったんで、だから今、後輩にはそういう経験を自分がしているからこそ、話しかけやすい立ち振る舞いは意識しています。
「やめずにやってきてよかった」蒔き続けた種が、今ようやく花開いた

――直樹は正しいと思うことを行動に起こしていこうという勇気を持っている青年です。小川さんがこれまでの人生で、勇気を出して決断して良かったことや、やってみて良かったことをひとつ伺いたいです。
最近で言うと、TikTokでのツッコミ強化合宿です(笑)。 4年くらい前からやっていますけど、最初は配信をやっても、多くて1000人もいかないくらいだったんですけど、そのときやめないという決断をしてよかったなあと思っています。今、だんだん花開いてきていて、この数年、どんどん面白いことになってきています。今は配信でも4000、5000、6000、良い調子の時は本当に6000とかいきますし、それがきっかけでファンになってくださって、バディになって、ライブに来てくれる方が本当に増えたので、やめずにやってきてよかったなと思っています。
――4年間というのは短いようで長い期間だと思います。
そうですね、当時の自分は何かオリジナルコンテンツをつくりたいなと思って、やってみたら、なかなか跳ねなかったんですけど、諦めずに続けてきて、よかったです。
なんか、跳ねなくても、自分の中では「いけるだろう」という自信があったんです(笑)。当時の自分は、跳ねる要素があると思っていたんでしょうね。
――続けることの大事さも実感していると。
そうですね、それは本当にここ3,4ヶ月くらい、EBiDANが急成長しているのを感じて、思いますね。自分たちがやってきたことがちょっとずつ咲いてきているのを実感しています。ツッコミ強化合宿もだし、「奇跡の31歳」とかもそうだし。種まきをしてきていたんだなあと思いますね。

――時間をかけて、徐々に花が開いてきた。
そう、咲いてきた感覚があるから、よけいに嬉しい。自分で考えて、やろうと決めたことを信じて、続けてきてよかったなあと思います。EBiDANのメンバーとのかかわり方も、あまり意識はしていなかったけど、ファンの方たちから「史記くんってどこの動画にもいる」って言われたりとか(笑)。そういうキャラクターとして、どんどん知ってもらえていることも嬉しいですね。
――それは、小川さんがご自身で作り上げた財産ですよね。そんな今、小川さんが守りたいもの、大切にしたいものは何ですか?
マジでこれはBUDDiiSとバディです! 常にそれは思っています。僕が、僕たちが守り続けていきたいというのを念頭に置いて活動しています。あともうひとつは、睡眠です! 寝ないと力が出ないタイプなので、睡眠時間はしっかり守っていきたい(笑) バディを守るためにも、まずは自分の睡眠を守っています!
――では最後に。この映画を観る方には、どんなものを持ち帰ってもらいたいですか?
難しく考えずに、まずはエンタメとして楽しんで観ていただきたいです。事実に基づいた題材を扱っているので、簡単に踏み込めない部分もありますけど、サスペンスとして楽しんで観てみてほしいです。

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<作品情報>
映画『冤罪のつくりかた』
2026年11月6日(金)池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
https://enzai.net/

監督・脚本:泊誠也 プロデューサー:唐沢菜々江/上念司
出演:加藤夏希 小川史記 原田龍二 やべきょうすけ
原案:あきもと司『事実無根 私はこうして特捜に嵌められた』(徳間書店)
主題歌:THE53「NO CONTROL」
配給:チャンスイン 配給協力:ギグリーボックス
撮影/キムアルム、取材・文/藤坂美樹
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