音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

“貫禄のパフォーマンス” WEST.、アイナ・ジ・エンド、BUMP OF CHICKEN、THE STROKESほか「SUMMER SONIC 2026」DAY1をレポート

PMC編集部

第278回

WEST. (C)SARU(SARUYA AYUMI)

今年25周年を迎えた「SUMMER SONIC 2026」(以下、サマソニ)。今年は、8月14〜16日の3日間、東京・大阪の2ヶ所で同時開催された。8月14日、東京会場(千葉・ZOZOマリンスタジアム、幕張メッセ)1日目のレポートは、ライター・布施雄一郎がお届けする。

25周年を迎えた今年の「SUMMER SONIC」初日、千葉・ZOZOマリンスタジアムMARINE STAGEでのオープニングを飾ったのは、7人組実力派グループWEST.だ。2年ぶり3回目の出演となる彼らは、過去の2回もMARINE STAGEのトップバッターを務めており、今やサマソニに欠かせないグループの一つ。その期待通りに、底抜けに明るい陽気なポジティブパワーで、観客をお祭り騒ぎの興奮へと導いてくれた。

7人はお揃いのバスケシャツ姿で、バンドの軽快なサウンドに乗って「トップバッター、盛り上がって行きましょう!」と登場。前日、会場周辺を豪雨が襲ったこともあり「無事に開催できてよかった!」といった言葉も発しながら「ムーンライト」へ。交通機関が大幅に乱れる中で会場に詰めかけたファンを歓迎するかのように、すぐさまステージ左右の先端まで6人のメンバーが広がると、重岡大毅は終始笑顔で、センターステージへつながる花道に陣取った。

そのままノリの良い曲を連発し、「WEST NIGHT」では観客とモンキーダンスを踊り、「SOUTH WEST BEACH!!」ではアリーナに向かって散水銃を放つ。そうした大盛り上がりの後には、「しあわせの花」「あなたへ」で7人の歌をしっかりと聴かせると、全員がセンターステージへ。横一列に並んで親指と小指を立てた右手を掲げるロックサインから始まった「証拠」では会場全体の大合唱が起こり、そして再びメインステージで、前向きに生きる人を応援する「ハート」を歌い上げた。

すると重岡が「せっかくやから晴れてるところでやろうぜ」と、全員が急遽センターステージへ移動しフォーメーションを組む。そう、WEST.の大定番曲「ええじゃないか」のはじまりだ。通常はライブ序盤で披露されることが多い代表曲をラストに披露し、彼らのファンのみならず、今年のサマソニを心待ちにしていた観客全員を幸せな笑顔にすると、彼ら自身も満面の笑みを浮かべてステージを後にした。

アイナ・ジ・エンド (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

去年の大阪会場に続いて、2年連続で出演となったアイナ・ジ・エンド。いまや日本の音楽シーンのど真ん中に立つ代表的アーティストの一人である彼女がMOUNTAIN STAGEに現れると、巨大なアリーナは一瞬にして、彼女の色に染め上げられていった。

「アイナ・ジ・エンドって10回言って」というSEボイスに観客が沸く中、カウボーイハットをかぶったアイナ・ジ・エンドがダンサーを従えて登場。R&Bのニュアンスが漂うようなソロ初期曲「Frail」でスタート。曲間で「一緒に踊りませんか!?」と叫ぶと、続くスカロックテイストの「ZOKINGDOG」では、観客とともに“ワンワンワン”という犬の振り付けダンスを披露。すぐさまMOUNTAIN STAGEはハッピーなドッグランの世界へと変貌していく。そのままの盛り上がりで、大ヒット曲「革命道中」、エモーショナルな「LoveSick」を立て続けに歌い、彼女特有のハスキーボイスによる圧倒的な歌唱力と、感情を包み隠すことなく表現する独創的なダンスで観客を魅了していく。

「今日は早い時間帯にありがとう。サマソニってさ、やっぱり夏の思い出作りにぴったりなフェスじゃないですか。女の子たちも、まだメイクがバッチリ残ってて、これが夜になって、どこまで酔えるかだね(笑)」とMCで会場の笑いを誘いながら、「サマソニは大好きなフェスなので、今日は出られてすごくうれしいです」と素直な喜びを語った。

そこからライブ中盤に、今年に入ってリリースした「Blue Shining Star」と「ルミナス」を続けて披露。人気の曲だけでなく、自身の現在進行形をしっかりと観客に届けると、「毎日がんばっているあなたへ、明日もいい日が来るよっていう歌を歌います」と「Entropy」を、そして締めくくりとしてアップテンポの「サボテンガール」を歌った。そのラスト、「最後は一緒に踊ろう!」という彼女の呼びかけに観客は手を上げて、会場全体が一体となって踊り、歓声を上げる。その熱気に応えるようにアイナ・ジ・エンドは、「元気でも、元気じゃなくても、生きて、よかったらまた会いましょう!」と笑顔を見せ、観客に手を振った。

女王蜂 (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

SONIC STAGEで女王蜂のステージがはじまると、アヴちゃん(Vo)の退廃的で、なおかつ艶やかな歌声に、各ステージを移動する最中の多くの観客は自然と足を止め、ステージ前方の観客がどんどん増えていった。その圧倒的な歌は、低音から高音まで変幻自在に行き来するというテクニカルな面だけでなく、ロック、ポップス、歌謡曲とジャンルにとらわれない多様な表現力も備えており、非常に魅惑的だ。その一方で、歌を支えるバンドの演奏力も非常にレベルが高く、代表曲の「火炎」や、エモーショナルなロックナンバー「HALF」、妖艶で中毒性の高い「BL」など、ライブ定番曲のオンパレードのセットリストで、その存在感を観客に強く印象付けた。

Fear, and Loathing in Las Vegas (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

同時刻のPACIFIC STAGEでは、通称“ラスベガス”ことFear, and Loathing in Las Vegasが大暴れ。ほかのステージとは音圧感が数段階アップしているのではと思わずにはいられない大音響で、ラウド/エレクトロな質感を前面に押し出した「Return to Zero」や、Soのクリーンボーカル&ハイトーンとMinamiの強烈なスクリーム、そのバックで電子音とバンドサウンドがめくるめく展開で炸裂する「Virtue and Vice」など、“これぞラスベガス!”と言うべき曲を連発。そこに、さらなるアッパーな「Party Boys」「Luck Will Be There」で爆発力のある演奏を繰り広げ、全8曲40分のステージを怒涛の勢いで駆け抜けていった。

Rol3ert (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

 Spotify STAGE「RADAR: Early Noise Special」に出演したのは、英語詞に日本語やJ-POP的メロディを織り交ぜたグローバルな音楽性で、今、世界的に注目を集めているシンガーソングライター、Rol3ertだ。2025年1月に本格的な活動をスタートさせたばかりの20歳。しかしながら、現代的オルタナティブ感と80年代洋楽風のメロディセンスを融合させた音楽性がとても新鮮で、このステージでも歌われた最新曲「savior」は、Spotify「New Music Friday」にて22ヶ国でピックアップされ、「RADAR: Early Noise 2026」にも選出されたほど。キーボードを弾きながら「Boy」を歌った後には、今度はギターを手に、同世代の新進気鋭インディーポップアーティストのREJAYをゲストに迎え、コラボレーション曲「Aftertaste」を披露。最後に「HOPE」を歌い上げると、温かく、そして光を感じさせる余韻を会場に残してくれた。

意外にも、結成30周年の節目にして初めての「SUMMER SONIC」出演となったBUMP OF CHICKENがMARINE STAGEに登場。SEをバックにステージに姿を表した直井由文(B)は楽器を手渡すスタッフとグータッチをし、ドラムセットの定位置についた升秀夫(Dr)はステージドリンクを口にする。増川弘明(G)は準備運動のように、これからギターをプレイする手を軽く振ると、キャップをかぶったフロントマン藤原基央(Vo)は、空を見上げるかのように一度、大きく背中を反らす。そしてゆっくりと、入場規制がかかるほどにスタジアムを埋め尽くした超満員の観客に向かって、彼のトレードマークである黄色いギブソン・レスポールを高くかかげた。

沸き起こる大歓声に包まれて、「アカシア」でライブの幕を開けると、藤原は<今 目が合えば>と歌いながら観客を指さし、そして「会いたかったぜ、幕張!」と声を上げる。続く「なないろ」では、ギターソロをプレイする増川と向い合い、「クロノスタシス」の最後のサビでは、左手の拳で軽く胸を叩きながらハンドマイクで歌った藤原。この曲のエンディングでは、演奏し終えた直井とグータッチを交わした。

「大丈夫だった? 来るだけで大変だったでしょう。よく来てくれたよ。ありがとうございます」

ファンはよく知るところだろうが、彼らはこのスタジアムがある千葉県出身。その地が前日、開催が危ぶまれるほどの豪雨に見舞われたことから、藤原は「このステージに立ったアーティストは、みんな思ってたと思うよ。あなたが聴きに来てくれて、本当に良かった、と」。そう観客に感謝を述べ、「じゃあ、今のところ一番新しい曲をやりたいと思います」と、直井がシンセベースを弾く「I」へ。続いて、升が電子パッドでパーカッション的なリズム音を鳴らし、藤原がアコースティックギターを奏でる温かく柔らかいバラード「Gravity」を歌いはじめると、藤原はセンターステージへと歩いていき、<雨でも晴れても>というフレーズで、陽が落ちてきた空を指した。そのエンディングで、藤原がアカペラで“ラララ”をリフレインすると、スタジアム全体が“ラララ”の大合唱に包まれていった。その雰囲気から一転、ギターが刻むカッティングのリズムが軽快な「SOUVENIR」へ。LEDビジョンに大きく映し出された、楽譜をイメージさせるグラフィックに街並みや自然の景色がシルエットで描かれていく映像も、とても印象的であった。

こうして2020年代リリースの6曲を披露すると、聴こえてきたのは、彼らのファンならずとも気持ちが高揚してくエレクトロなサウンド。BUMP OF CHICKENの代表曲「ray」だ。直井は、それまでかけていたサングラスを外してセンターステージでプレイすると、増川はステージ下手へ。さらにそこから、直井がいるセンターステージへと移動しながらギターソロを弾くと、その増川を追い抜いて藤原もセンターステージへ。そこでエンディングを迎えた藤原は「ありがとう」と一礼し、ゆっくりとメインステージへ戻っていく(その途中、センターステージにマイクを置き忘れたことに気付き、再び取りに戻るというハプニングも)。

すると、20年以上にわたって愛され続ける名曲「カルマ」を演奏。真っ赤なライトで染まったステージで、ギアチェンジしたかのような爆音でアップテンポな曲がプレイされると、間髪入れずに藤原が、バンドを象徴する「天体観測」のサビを歌いはじめる。当然のごとく、<Oh Yeah Ah>と大合唱で応える観客。だが藤原は、「もう一回、おかわりいいですか!?」と、サビの合唱をもう一度リクエスト。そこからバンドインしてはじまった「天体観測」。ワンマンライブであるかのように、スタジアム全体が一体となっていったころ、空を覆っていた雲は、いつの間にか夕陽によって赤く染められていた。

全9曲ながら、その中でBUMP OF CHICKENの魅力の余すところなくすべて出し切った、見事なクライマックス。最後に藤原は「どうもありがとう。またね」といつものように観客に手を振り、ステージ袖へと姿を消した。

THE STROKES (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

今回の来日を前に約6年ぶりのアルバム『Reality Awaits』をリリースし、現在、ワールドツアーを開催中のTHE STROKES。この日のMARINE STAGEで、新旧代表曲を織り交ぜたベストセレクション的なステージで、さすがヘッドライナーと言うべき納得のライブを展開し、ロックファンを大いに魅了した。

まず何と言っても、満員の観客と、この情報を受け取った世界中のロックファンを驚かせたのは、オープニングで最新作に収録された楽曲「Lonely in the Future」が世界で初めてフル演奏されたことだ。アルバムでは、ジュリアン・カサブランカスのオートチューンボーカルが大胆に取り入れられたことで話題を集めた楽曲だが、ライブにおいては、そのオートチューン感とシンプルで生々しいバンドサウンドとのマッチングが実に心地よかった。もっと言えば、そんな細かいことに意識が向かないほどに、美しくもローファイで、ときにエフェクティブな声色を放つジュリアンの歌声が素晴らしかった。ジュリアンのコンディションはとても良かったようだし、その上で5人のバンドとして、新しい試みもすべて含めてロックを鳴らすように、心が惹き込まれていった。

その後も、アルバム以上にロックンロール感が強い演奏だった「Going Shopping」、ドラマーのファブリツィオ・モレッティが刻む16分音符のハイハットが実に気持いい「Dine N’Dash」といった新譜の楽曲に交えて、「Someday」や、イントロがリアレンジされた「Life Is Simple in the Moonlight」などバンドの初期中期代表曲も披露。

中でも人気のある「Reptilia」では、アルバート・ハモンド・Jr.と、現在ワールドツアーの活動を一時的に休止しているニック・ヴァレンシに代わってステージに立つスティーヴ・シルツの2人のギターが織りなすメロディックながらもエモーショナルなギターに、観客のテンションは否応なしに上がっていく。そんなカッコいいロックを聴かせてくれた直後にジュリアンは、「日本は文化的に進んでいると思います」と日本語でMCを行い、会場を和ませると、「Let us resume.(さあ、やろう)」と「Bad Decisions」へ。ニコライ・フレイチュアのタイトで太いベースと、熱量がありながらクールなファブリツィオのドラムを土台に、気だるくもエモーショナルなジュリアンのボーカルがスタジアムにこだまする。

するとジュリアンは、なんとセンターステージへと続く花道を歩きながら「Last Nite」を歌うというレアなシーンも。「One Way Trigger」では低音からファルセットまでメロディを滑らかに歌い上げ、そして「What Ever Happened?」を終えたジュリアン。その彼が、唐突にニコライにマイクを渡すと、彼は「What's up, Tokyo! Thank you so much for tonight. ありがとうございます!」と照れた表情を見せながらも、笑顔で日本のファンに感謝を伝える。そしてラストナンバー「The Adults Are Talking」で、ライブ本編は終了した。

まだまだ彼らのロックを求めるアンコールの拍手は鳴りやまない。それに応えてジュリアンが「Thank you so much, gays!」と声を上げながらステージに戻ってくると、世界的大ヒットとなったバンド中期の名作「You Only Live Once」、THE STROKESの原点とも言える初期ガレージロック「Soma」を演奏。観客が歓喜にわくと、最後にステージからはカラフルなレーザーが飛び交い、客席では観客のスマートホンのライトがきらめく中で、グラミー賞アルバム『The New Abnormal』(2020年)でもラストを飾っていた「Ode to the Mets」を披露。最新の曲からスタートし、各時代の代表曲で締めくくるという、名実ともに貫禄のライブパフォーマンスであった。

Text:布施雄一郎
(C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

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