国内アーティストのみでの開催でもフジロックらしさを実感できた第1弾発表から約1ヶ月。第2弾で新たに18組の出演がアナウンスされた。「今年は1日参加でもいいかも」と思っていた人を大いに迷わせ、嬉しい悲鳴が聞こえそうなラインナップだ。

では日別に紹介して行こう。まず初日の8月20日にmillennium paradeが決定。ご存知の通りKing Gnuの常田大希が首謀する可変的なプロジェクトであり、ボーカルのermhoi（Black Boboi）や鍵盤の江崎文武（WONK）ら、自身のバンドと自由に往来するミュージシャン、PERIMETRONの佐々木集ら、デジタルクリエーターたちも内包。そのスタイルでライブやMVの表現のクオリティを他に類を見ないレベルに上げているだけに、スケールの大きなステージ表現が期待される。そしてなんと病を克服した高橋幸宏が本格的に動き出すことを大いに祝いたい、METAFIVEの初登場も嬉しいニュースだ。高橋、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という、日本の音楽シーンの最前線を切り開いてきた6人が、5年ぶりにニューアルバム『METAATEM』を8月11日にリリース、直後と言っていいタイミングでのフジロックでのステージは貴重なものになるだろう。

millennium parade - Trepanation

そして、フジロックにはゆらゆら帝国での名演・怪演で強い印象を残している坂本慎太郎がついに登場。2018年、ソロ活動開始後7年目にしてようやく国内でのライブを行ったが、未だ日本では目撃したファンは少ないはず。昨年は平易なだけでなく前向きな歌詞を持つ「好きっていう気持ち」や、コロナ後の世界を想像させる「ツバメの季節に」などこれまでにないニュアンスの新曲もリリースしているだけに、非常に楽しみなステージだ。

新たなニュアンスといえばニューアルバム『天才の愛』で、従来の対位法に囚われない楽曲や、インストなどアイデアとスキルの高さを認識させてくれたくるり。前回2017年はフィールド・オヴ・ヘブンのトリを2時間超えの濃厚なステージで満たし、同年のベストアクトに挙げる人も多かったが、果たして2021年の彼らが苗場で見せるものは何か、期待したい。 また、先日、『ゴーストアルバム』を携えたツアーを完遂したTempalayのエキスペリメンタルなステージングや、俳優としての活躍も目覚ましい前野健太の久々の出演も見逃せない。また、レゲエパンク・バンドSiMが久々に出演。自身もジャンルの壁を壊すフェス「デッド ポップ フェスティバル」を主宰し、回を重ねるごとに新しいファンを掴んでいる彼らが今年の苗場でオーディエンスをいかに盛り上げてくれるか楽しみなところだ。

Tempalay "シンゴ"

2日目の8月21日は昨年の出演が決定していたNUMBER GIRLの名前が！再結成後、さらに鋭く深みも増したあの4人にしか出せない緩急の極みをついにフジロックで目撃できる期待値はマックスだ。怒涛の抜き差しと言えば、tricotの出演も見逃せない。昨年はアルバム『真っ黒』と『10』の2作をリリースするという創作欲求の高まりを見せ、早くも先日リリースした新曲「暴露」は耳に残るメロディで新たなファンを獲得中。また、昨年、結成10年目を迎え、孤高の存在感と独自の叙情を新作『夜行秘密』で印象付けたindigo la Endが初登場するのも嬉しい。

新世代からレジェンド枠まで…まだまだ続く第2弾ラインナップ

また、フジロックの空間に欠かせないタイプのバンドがいるとしたら、2014年以来となるサイケデリック・ジャムバンドDachamboのステージもきっと熱いものになるはず。2019年にアメリカ西海岸ツアーを経験した彼らのタフネスに期待したい。

そして最終日の8月22日。昨年、ミュージシャンの中ではいち早く有観客のライブを実現、ブルーノート東京でのロングラン・シリーズで圧倒的なライブを見せてきた上原ひろみがクインテットで登場する。フジロックでは過去に様々なステージで鬼気迫るプレイや、ジャンルを超えた楽しさを体現してくれた彼女。ミュージシャンとしての生き様を今回も見せてくれるだろう。そして昨年末の「KEEP ON FUJI ROCKIN’ Ⅱ」で最も激烈なライブを見せたGEZAN。時代を映しながら原初的な感覚を同時に味合わせてくれる彼らだが、ベースのカルロス脱退を受け、新メンバーを公募し、まさに決定したばかりのタイミングであることにも注目したい。孤高にして深い表現者という意味合いでは青葉市子のステージも注目。昨年リリースのアルバム『アダンの風』収録曲を生でぜひ味わいたい。

青葉市子 - Porcelain

フェスの空間で楽しみたいバンドといえば、2018年以来となる、日本民謡とラテンリズムを融合した民謡クルセイダーズは自然と参加できるステージングに期待！意表を突くところでは秦基博が初参加するのも見どころの一つ。歌力とメロディの良さはもちろん、歌詞面でも独自性を増している今のタイミングでの登場は納得だ。また、ネット発の新世代シンガーソングライター秋山黄色、レジェンド枠と言えるカルメン・マキ＆OZまで、この幅広さはフジロックならではと言えるだろう。

加えて、すでに発表されている忌野清志郎Rock’nRoll FOREVERのゲストも発表！UA、チバユウスケ、Char、トーキョー・タナカ、ジャンケン・ジョニーは各々のバンドでも出演するが、奥田民生、甲本ヒロト、トータス松本、そしてYONCEの名前もあることに興奮を隠せない。

ミュージシャンの層の厚さを見せつけてくれた第2弾発表。参加する日を増やすかどうか悩むのもまたフェスの楽しみの一つだ。

文：石角友香

【公演情報】
FUJI ROCK FESTIVAL ‘21

会場：新潟県 湯沢町 苗場スキー場

2021年8月20日(金)
＜出演者＞
RADWIMPS / MAN WITH A MISSION / millennium parade / METAFIVE(高橋幸宏×小山田圭吾×砂原良徳×TOWA TEI×ゴンドウトモヒコ×LEO今井) / 坂本慎太郎 / SiM / SUMMIT / THE BAWDIES / ドレスコーズ / H ZETTRIO / Kan Sano / KID FRESINO(BAND SET) / LITTLE CREATURES / 前野健太 / OKAMOTO'S / くるり / 5lack / Tempalay / TENDOUJI / 手嶌葵 / Vaundy / YOGEE NEW WAVES / yonige / スピンオフ四人囃子feat.根本 要＆西山 毅 / KOTORI (selected by ROOKIE A GO-GO ’19) / and more

2021年8月21日(土)
＜出演者＞
King Gnu / CORNELIUS / NUMBER GIRL / The Birthday / indigo la End / ROVO / AJICO / Char / Dachambo / DENIMS / envy / カネコアヤノ / KEMURI / Mega Shinnosuke / milet / 光風＆GREEN MASSIVE / MONOEYES / ReN / サンボマスター / SIRUP / THE SKA FLAMES / THE SPELLBOUND / サニーデイ・サービス / tricot / THE ALEXX / 草田一駿 (selected by ROOKIE A GO-GO ’20) / and more

2021年8月22日(日)
＜出演者＞
電気グルーヴ / 平沢進＋会人(EJIN) / 忌野清志郎 Rock’n’Roll FOREVER(with ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA feat.仲井戸”CHABO”麗市 GUEST:UA エセタイマーズ 奥田民生 GLIM SPANKY 甲本ヒロト チバユウスケ Char トーキョー・タナカ/ジャンケン・ジョニー トータス松本 YONCE) / CHAI / OAU / 秋山黄色 / 青葉市子 / 4s4ki / Awesome City Club / BEGIN / THA BLUE HERB / カルメン・マキ＆OZ / cero / GEZAN / 秦 基博 / 羊文学 / 君島大空 合奏形態 / 民謡クルセイダーズ / MONO NO AWARE / 折坂悠太（重奏）/ STUTS (Band set : 仰木亮彦, 岩見継吾, 吉良創太, TAIHEI) / TENDRE / 上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット / yonawo / and more

チケット申込はこちらから
http://w.pia.jp/t/frf/

【ご注意】
本イベントは新型コロナウイルス感染拡大防止のためのガイドラインを遵守して実施されます。

詳しくは下記ページをご覧ください。
https://www.fujirockfestival.com/news/pickup01