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佐野勇斗、映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』インタビュー ピンチを救ってくれた平野紫耀の存在

ぴあ

撮影:小嶋文子

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大ヒットを記録した前作から2年、映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』が、8月20日より公開される。

平野紫耀(King & Prince)演じる生徒会長の白銀御行と、橋本環奈が演じる副会長の四宮かぐやが、お互いに好意を抱きながらも“告白した方が負け”という考えから、素直な想いを伝えられずに起こす恋愛バトルをコミカルに描いた本作。

佐野勇斗は前作に続き、白銀、かぐやと同じ生徒会の会計で、青春を謳歌するものに嫌悪感を示す“青春ヘイト”の石上優を好演。さらに今作では、コミカルな演技に磨きをかけつつ、石上のさまざまな心情も表現し、前作では見せていなかった顔も見せる。

続編の制作を素直に喜びつつも、石上の変化を見せることにプレッシャーもあったという佐野。前作をきかっけに仲良くなったという平野との演技を通した熱いエピソードなど、本作への想いを明かした。また、2年前の本作のインタビューで話したことの“続編”についても語ってくれた。

撮影:小嶋文子

続編決定!「やらないという選択肢はなかった」

――最初に続編が制作されると聞いたときはどう思いましたか?

事務所にいるときにマネージャーさんから「続編の話があるよ」と言われて、「マジですか!やりたいです!」と即答しました。やらないという選択肢はなかったです。

何より前作のときがすごく楽しかったですし、スタッフさんもほぼ同じで、特にキャスト同士の仲も良かったし、このチームでまたできるのは嬉しいな、と。

――キャストの皆さんが(佐野が所属するボーカルダンスユニット)M!LKのライブを観に来てくださったこともありましたね。

かんかん(橋本環奈)とか、みんなで来てくれました。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――続編での久々の再会はどうでしたか?

そう思うじゃないですか。でも、実は普段から結構遊んでいたので、久しぶりでもなかったんです(笑)。コロナ前は、(本作の)原作者の赤坂アカ先生のお家にみんなで集まって誕生日会をしたこともありましたし、自粛中もリモートで顔を合わせていたので。「続編あるね。楽しみだね~」みたいな感じでした。

――オフショットを見て気づいたのですが、前作も今作も、現場で佐野さんの誕生日をお祝いしていますね。

そうなんですよ。なんかもらうばかりで申し訳ないです。僕が誕生日を祝ってほしいから、スケジュールをそこにしてほしいって頼んだみたいですよね(笑)。もちろんそんなことないですけど。

撮影:小嶋文子

石上のエピソードが描かれることにプレッシャーもありました

――続編では前作以上に石上がフィーチャーされる場面が増えました。その点についてはどう思いましたか?

原作で、僕が石上のシーンの中で一番好きなところも描かれていたので嬉しかったんですけど、正直、ちょっとプレッシャーもありました。前作では見せていなかった部分も見せなきゃいけなかったので。

――前作では原作を読み込んでキャラクターを作ったとおっしゃっていましたが、今回はそこから変化もあるということで、どのように作っていきましたか?

前作の10倍くらい原作を読み込みました。特に、中学生のときのシーンもあったので、その辺は難しかったです。

ある事件をきっかけに石上は今の容姿になるので、中学生のときは普通の感じだったんですよ。だから、そのときの石上から、今の石上に自然とつながっていくようにしないと、観ている人も気持ち悪いだろうな、と思ったし。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社
ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――中学生のときと今があまりに違い過ぎてもダメですしね。

そうなんです。あの辺りのシーンはすごく悩みましたし、監督とも相談しながら大切に芝居をつくっていきました。

――逆に変化後の、前作から続く石上のキャラクターは、一度作り上げていますし、スムーズにできましたか?

コミカルなシーンは、いつも通り、って感じだったんですけど、今回は、シリアスなシーンも多かったので、そこはまた苦労しました。ただ一度やっているキャラクターではあるので、全体的にすごく悩むことはなかったです。

撮影:小嶋文子

――前作では河合勇人監督と相談をしながらキャラクターを作ったともおっしゃっていたのですが、今回もその変化については監督と話し合いをしましたか?

前回は初めて石上というキャラクターを作るというところで、監督と僕が思っているものが結構食い違っていたりもして、そこをかみ合わせる作業が大変だったんですけど、今回は一度作ったものがあるから、逆に監督とはほとんど役について話すことはなかったです。世間話ばかりしてました(笑)。

石上のお芝居に関しては「自由にやっていいよ」という感じでした。ただコミカルなシーンでやり過ぎると「一旦、そこで止めようか」とかは言われていましたけど(笑)。

――前作と今作との間に、(佐野が主演を務めた)ドラマ『FAKE MOTION -卓球の王将-』でもご一緒していましたね。佐野さんを信頼しているんでしょうね。

でも、僕の中では『FAKE MOTION~』もかなり前にやったイメージだったので、それこそ監督とはご一緒するのがかなり久しぶりという感覚がありました。

撮影:小嶋文子

2年ぶりの撮影は「夏休み明けの同級生みたい」

――物語の中の時系列は前作から続いているのですが、実際の佐野さんは2年の月日を過ごしているので、そこでの変化が影響することはなかったですか?

観てくださる方にそういう僕個人の変化を見せてはダメだと思ってやっていました。やっぱり当時の僕とは考え方とか、いろいろと違っている部分はあると思うので。ただ(役に臨む)スタンスとかは変わっていないですし、台本を覚えるのが早くなった、とかもないです。相変わらず大変です(苦笑)。

――2年ぶりに撮影現場に入ったときはどんな感じでしたか?

(伊井野ミコ役の)影山(優佳)さんだけは今回初めましてだったので、「よろしくお願いします」みたいな感じでしたけど、他はもう夏休み明けの同級生みたい(笑)。特に緊張感もなかったですね。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社
ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――佐野さんのクランクインはどのシーンでしたか?

それが中学時代のシーンからだったので、(生徒会のメンバーは)影ちゃん(影山)しかいなかったんですよ。序盤に生徒会室での撮影がなかったから、みんなとも会えないし、僕の中では生徒会室でのコミカルなやり取りが“かぐや様”ってイメージだったから、「なんか俺、シリアスな芝居してるな~」みたいな感じでした(笑)。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――確かに生徒会室でのやり取りはこの作品の肝ですよね。配信されているミニエピソードでも、生徒会室での石上のキャラが発揮されていました。

あれも(撮影期間の)後半、クランクアップのちょっと前くらいに撮ったので、なんか今回は撮影期間がすごく短かった感覚がありました。

撮影:小嶋文子

芝居を通して「大丈夫」と言ってくれた平野紫耀の存在

――ご自身の中で印象に残っているシーンはどこですか?

中学生の石上が会長(平野紫耀)の前で泣くシーンは苦労したこともあって印象に残っています。

これは言い訳だと自分でもわかって言っていますけど、原作だと室内だったのが、映画だと外でのシーンになったんです。そこにちょっと引っ掛かりのようなものを感じてしまったのか、なかなか泣けなくて。

僕、これまで泣き芝居で泣けないってことがあまりなくて。大体、1、2回やったらOKになることがほとんどだったんですけど、今回は何回やっても(気持ちを)入れられなくて。「これはヤバイ……」ってなりました。僕の役者生活で初めての経験でした。

もちろん大切なシーンになるとわかっていたので、今まで以上に前日までに準備もして、「よし、これで大丈夫」って、なっていたんですけど、ダメでしたね(苦笑)。

そのときに紫耀ちゃんがすごくサポートをしてくれたというか。そのシーンは石上と会長との掛け合いのシーンでもあったので、紫耀ちゃんに助けられました。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

泣き芝居って、泣く方も大変なんですけど、それを受ける相手側もすごく大変なんですよ。(泣く側に対して)めちゃくちゃ気を使うし、自分がやってしまったほんのちょっとしたことで相手の集中力を切らせてしまう可能性もあるので気が張るんです。

でもそこで紫耀ちゃんは、僕が硬くなってしまっているところを芝居を通してほぐしてくれて。それって技術とかじゃなくて、人間性が出るところなんですよね。そういうところでの優しさって、お芝居に出てくるんです。

言葉で「大丈夫だよ」って言ってくれたわけじゃないですけど、お芝居で紫耀ちゃんが「大丈夫だよ」って言ってくれているのが伝わってきて。すごくありがたかったし、やっぱり(平野は)大きいなって思いました。ただのふざけている奴だと思ったら、大間違いだぞ、って(笑)。もちろん皆さんそんなのわかっていると思いますけど(笑)。

撮影:小嶋文子

――それから、今回はエンドロールで生徒会メンバーが、主題歌のKing & Prince「恋降る月夜に君想ふ」を踊っていますね。ミニエピソードでも前作の主題歌「koi-wazurai」(King & Prince)を踊っていましたが、よく考えると全員がダンスをやっている、またはやっていたというのが奇跡的だな、と。

これを見越してキャスティングが行われたんじゃないか、って(笑)。たまたまでしょうけど。

――練習はしましたか?

しました。スタジオにスタッフの方が鏡をセッティングしてくださって、練習場みたいなところを作ってくださったので、そこに撮影終わりとかに集まって。振付師の方が来てくれて、紫耀ちゃんを中心にやりました。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――誰が振り覚えがいい、とかってありましたか?

僕と浅川は心配し過ぎて、リハーサルの段階から踊れるように、自分で練習をしてから行ったんですよ。あと影ちゃんもわりと覚えてきていたんですけど、かんかんは「私、覚えてないよ」って感じで来て。それなのに、すぐに踊れるようになったんです。とにかく、かんかんの振り覚えが早いというのはわかりました。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――踊ることが決まったときは、どんな心境でしたか?

キンプリの曲を躍らせてもらえることはもちろん嬉しいし、「よっしゃー!」とはなりましたけど、正直、それよりもプレッシャーの方が大きくて(苦笑)。(King & Princeの)ファンの方に失礼のないように、中途半端なことはできないな、と。僕は振り覚えも遅いし、ダンスが得意とは言えないので、頑張りました。

撮影:小嶋文子

“人を楽しませる”“人を喜ばせる”ことを大事にしたい

――前作の際にインタビューをさせてもらったときに、佐野さんは今後やりたいこととして、英語の勉強と、医療ものの作品に出演したい、というお話をしていて。

うわっ、すごっ。

――そうなんです。両方とも今、有言実行されているんです。これ以外に何かこの2年の間にご自身の中で変わったことはありますか?

正直、2年前の自分がどうだったかをはっきり覚えてはいないですけど、芯の部分は変わっていないと思うんです。それはデビュー当時から。

でもお芝居に限らず、もっと大きな部分の人間力のようなものを鍛えたい、と思って、ここ数年、そこを意識はしているので、少しは変わっていたらいいな、と思いますね。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社
ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――人間力を意識するようになる何かきっかけがあったのでしょうか?

以前から意識はしていたんですけど、特にコロナの自粛期間のときが大きかったですね。(出演するはずの)作品が飛んだりもして、約2カ月間、休みになってしまったときに、本を読んだり、いろんな情報をネットで調べたりもして。

そのときに、人が死ぬときに人生の中で後悔することは何か、というのを見ていたら、やっぱり周りの人を大切にしておけば良かった、とか、もっと優しくしておけば良かった、というのがほとんどだったんですね。だったらそれを20代のうちからやることができたら、死ぬときに後悔しないだろうな、と思って。

あと、最近思うのは、人生で「成功したい」と考える人は多いと思うんですけど、実際に成功している人って、より多くの人を喜ばせている人だと思うんです。例えば、スティーブ・ジョブズさんにしても、みんなが喜ぶものを作ったから、成功者と呼ばれていると思うし、芸能界のスターと呼ばれる方々もみんなを喜ばせているからスターなわけであって。

だから“人を楽しませる”“人を喜ばせる”というのは、自分の中で大事にしておきたいな、と思います。

撮影:小嶋文子

――それを踏まえて、せっかくなのでここから2年後までに有言実行したいことを。

まず個人のことで言うと、アカデミー賞は獲りたいです。形がほしくてやっているわけじゃないですけど、役者をやっている上で、そういう賞を一個いただけたら純粋に嬉しいな、と。狙っていくわけじゃなくて、結果としてもらえたらいいですね。あとは、海外にも同時配信されるようなオリジナル作品に出てみたいです。

――世界中の人に観てもらえる作品に出てみたい、ということですよね。

はい。英語の勉強を毎日するっていうのをもう半年以上続けているんですけど、それには海外の監督とコミュニケーションを取れるように、という想いもあって。海外で作品を撮れたりしたらいいですね。

“人を楽しませる”“人を喜ばせる”ことを大事にしたいという佐野さん。その言葉通り、2年前も今回も、佐野さんの取材は楽しい現場となりました。

実は取材中、隣の部屋で別の取材を終えた平野さんが顔をのぞかせる瞬間が。満面の笑みで「おはよう」と声をかけたと思ったら、「バイバイ~勇斗!」とすぐに立ち去る平野さんに、佐野さんが「あとで一緒でしょう!」とツッコむというやり取りが(笑)。

こんな2人の仲の良さも劇中から感じられる映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』をお楽しみに。

取材・文 瀧本幸恵

<映画情報>
『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』

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