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母と息子の関係性を描く、新たな解釈。serial number『All My Sons』開幕

ぴあ

20/10/1(木) 14:00

演出家の詩森ろばが主宰するserial numberの公演、『All My Sons』が10月1日(木)、シアタートラムにて開幕する。

『All My Sons』はアメリカの劇作家、『セールスマンの死』などでも知られるアーサー・ミラーが1947年に書いたデビュー作。ニューヨークでロングランを記録、日本でもたびたび上演されており、『みんな我が子』の邦題で知られている。舞台は第二次世界大戦後のアメリカ。21人の若者を死に追いやる事故の原因となった、飛行機部品工場の経営者一族の姿を描く。仕事に対する考え方が対照的な父と息子。行方不明になってしまった弟。多くの命を死に至らしめた事故に対して、家庭の中に起こるひずみに対して、父はどう対峙するのか……。戦争の影が色濃く残るなかで、平凡な家族が少しずつ悲劇へと突き進んで行く。

ケイト・ケラー役 神野三鈴 撮影:大村祐里子

一般的には父と息子の対立が主軸になることが多い今作だが、演出の詩森はこの公演で母を大きく取り上げる。今回、母ケイト・ケラーを演じるのは神野三鈴。『組曲虐殺』『マクベス』で2020年読売演劇大賞最優秀女優賞を獲得したばかりの彼女。最愛の息子を失った悲しみを受け入れることができず、生きているほかの息子たちに目を向けずに家庭を崩壊へと導いてしまう女性を全力で演じる。父、ジョーを大谷亮介が、長男のクリスを、serial numberのメンバーであり、詩森とともに作品づくりの段階から今作に携わっている田島亮が演じる。

ジョー・ケラー役 田島亮 撮影:大村祐里子
クリス・ケラー役 大谷亮介 撮影:大村祐里子

あらたに翻訳をし直すところから今作への取り組みをスタートさせた詩森。新翻訳によって、また演出によって、過去の上演とは異なる登場人物のキャラクターや関係性が生み出されているはずだ。また、その変化によって、観客は現在の日本でこの作品を上演する意義を汲み取ることができるかもしれない。

なお、ぴあの連載「中井美穂 めくるめく演劇チラシの世界(https://lp.p.pia.jp/shared/cnt-s/cnt-s-11-02_2_00f3ecb0-48c3-4605-838e-15516527b212.html)」では詩森自身がチラシに込めた意味や作品への取り組み方を詳しく語っている。



serial number05『All My Sons』
作:アーサー・ミラー
翻訳・演出:詩森ろば
10月11日(日)まで
会場:シアタートラム

文・釣木文恵

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