2020年12月に閉館となることが決まっている原美術館にて現代アーティストの加藤泉氏の個展が開催されています。ヴェネチアビエンナーレをはじめとし世界を股に活躍する加藤氏の作品は平面から立体まで実に多岐に渡ります。しかしいずれの作品も「加藤色」が濃く反映されており、一目見ればそれが彼の作品だとすぐに認識できるほど個性的です。同じ世代の奈良美智氏が「かわいい」子どもたちを描き出しているのに対し、加藤氏はちょっと奇妙でひょうきんな謎めいた人物像を創出しています。それはある種の中毒性を有しており、一度「好き」になってしまうとどんどん加藤ワールドへ引き込まれていきます。今回品川の原美術館では新作中心に、伊香保にある別館ハラ ミュージアム アークでは、初期作品から近作まで約25年の軌跡をたどる展覧会を同時開催しています。会期が長いので安心していると時はあっと言う間に過ぎてしまいます。原美術館の独特の空間を味わえるのもあと僅かです。

19/8/29(木)