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水先案内人のおすすめ

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ギャラリーなどの小さいけれども豊かな展覧会・イベントを紹介します

白坂 由里

アートライター

宮崎学 イマドキの野生動物

ツキノワグマが三脚を立てたカメラに触れている写真を見たことがあるだろうか。動物たちの通り道に自作の赤外線センサー付きのロボットカメラを設置し、撮影困難な野生の姿を撮影している「自然界の報道写真家」宮崎学の作品がまとめて見られるチャンスだ。ニホンカモシカ、鷲や鷹、フクロウの生態を捉えた写真など、初期作品から撮り下ろしの最新作まで7シリーズ210点で構成されている。 昼間は人間が歩く登山道に、夜になると様々な動物たちが現れて活動しているのだなあ。 展示の中でも、「死は生の出発点である」という自然の摂理を捉えた写真群に目が止まり、歩みが遅くなった。以前、大分県国東半島のアート巡りで山を登っていた時、宮島達男のカウンター作品群が設置された崖の前で、キツネと思しき亡骸を見つけてドキッとしたことがある。偶然にも「生と死」をテーマにした作品の前に、地面との境界がなくなっていきそうな状態で横たわっていたのを思い出した。心の中で祈りを捧げた。 最新作「新・アニマルアイズ」「君に見せたい空がある」は動物の目線から見た世界を感じられる作品。コロナ禍で人間中心的に視野が狭くなっている今だからこそ眺めてみたい。

21/9/29(水)

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