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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

AGANAI 地下鉄サリン事件と私

1995年3月20日に起きた、オウム真理教、地下鉄サリン事件。その被害者のひとりで今も後遺症に苦しむ、さかはらあつし監督が、オウム(現Aleph)幹部、広報部長の荒木浩に対面する。 偶然にも同郷のふたりは、一緒に故郷を訪れながら対話を交わす。まるで友人同士のようだが、そこには決して消えない緊張感が漂っている。無邪気に小石投げをして遊んだかと思えば、監督は後遺症の苦しみを語り、胸に溜った質問をぶつける。その問いに、たびたび言葉を失う荒木。 シンプルな作りだが、ふたりの表情、荒木の言葉を追うだけでぐいぐいと引き込まれる。ここには大きな闇、理解できない思考回路があるからだ。だがそうなった理由はおそらく、さまざまな偶然の連鎖であり、誰にでも起こるものではないとは断言できない。そこが恐ろしい。 忘れてはならない事件の記憶とともに、大きな余韻をもたらす作品。

21/3/24(水)

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