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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる

村山 匡一郎

映画評論家、大学講師

99歳 母と暮らせば

高齢化社会を迎えた近年、ドキュメンタリーでも老いや介護などの題材が目立ってきた。本作もそうした1本であるが、72歳になる映像作家の監督が99歳の母親を介護しながらカメラを回した好感の持てるセルフ・ドキュメンタリーだ。藤沢の古い民家で一人暮らしをする母親に認知症による症状が出てきたことから、監督は仕事場を実家に移して母親と暮らし始める。とはいえ、介護は並大抵の仕事ではない。老齢による足腰の衰えに加え、認知症による記憶障害や幻覚などの症状。そんな老々介護の日々が季節の移り変わりとともに愛おしく描かれるが、監督自身によるナレーションが映画全体を優しく包んでいる。誰にも訪れる老いた肉親の介護の現実とその覚悟を教えてくれる。

19/6/6(木)

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