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水先案内人のおすすめ

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古今東西、興味のおもむくままに

藤原えりみ

美術ジャーナリスト

岡田裕子展「ダブル・フューチャー」

幹細胞による臓器培養と男性の妊娠出産が可能となる近未来を描く。最初の展示室には、岡田自身の内臓や骨、血管や脳などをスキャンし3D出力して金箔を施したアクセサリーによる「エンゲージド・ボディ」。幹細胞提供者と再生臓器移植患者との交流は一回のみと制限されているため、患者が感謝の念を込めて臓器型のアクセサリーを提供者に贈るようになる時代という設定だ。映像作品「あなたに会いまショウ」では、岡田自身がテレビ番組のキャスターを務め、再生医療に詳しい医師に「エンゲージド・ボディ」について問う。ラストシーンに笑ってしまった。最後までご覧頂きたい。 第2展示室は、男性の妊娠・出産を描く映像作品で、17年前に制作した「俺の生んだ子」のBGMをオリジナル曲にして再編集した作品と、妊娠中の男性たちのセミヌード写真で構成。岡田自身の妊娠・出産の経験による疑問や問題意識に基づいている。こちらも男性の体に子宮や膣を作る技術や心理的なケアに関する懇切丁寧な医師の解説つき。 いずれもそう遠くない将来に切実な問題になりそうな予感がする。シビアなテーマとユーモアのセンス、繊細な造形感覚の絡み具合がなんとも爽快。

19/7/23(火)

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