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水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

水を抱く女

「私を捨てたら殺すわよ」──そんな恐ろしい言葉から始まるストーカーの話かと思いきや、こちらが恥ずかしくなるくらいのロマンチックな関係を見せつけられ、そこからまた一気にホラーへと驚きの連続が待ち受ける究極の愛情表現を描いております。 ちなみに主人公ウンディーネという名は、水の精霊からきているそうで、「夫が不倫した場合、夫を殺さねばならない」という掟があるらしい。そんな神話をモチーフにして生まれた物語は、ウンディーネを人間なのか精霊なのか謎めいた存在へと浮き上がらせ、女優パウラ・ベーアの魔性的な魅力によって彼女が一体、何を考え、何を望んでいるのか気になって仕方がなくなるのです。現に説明台詞が存在しない台本という非常に難解な役を体現したことで第70回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞受賞というのも納得。 命がけで人を愛し求めるとはどういうことなのか? 言葉では説明できないこの問いを芸術として映像で綴った『東ベルリンから来た女』のクリスティアン・ペッツォルト監督は、人間の湧き上がる感情を描くのがやっぱり上手い。

21/3/2(火)

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