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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
狼をさがして
21/3/27(土)
シアター・イメージフォーラム
1974年夏に起こった丸の内の三菱重工本社ビルの爆破事件。凄まじい爆発で多くの犠牲者が出たが、その爆発の音と振動は、当時自宅にいた筆者の耳にも届いたことを覚えている。事件を起こしたのは「東アジア反日武装戦線・狼」と名乗る組織。彼らの後には「大地の牙」「さそり」を名乗るグループが企業爆破事件を起こすが、そんな彼らの起こした一連の事件と思想を追ったドキュメンタリーであり、韓国のキム・ミレ監督による韓国映画である。韓国の歴史認識ではアジアを侵略した日本帝国主義という見解で片付けられるが、その日本で“日本帝国主義の子孫”という自覚と反省の下で爆弾闘争を行なった若者たちがいたことに関心を抱いたようだ。歴史に向かい合う難しさと面白さが知れるようで興味深い。
21/3/24(水)