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ホラー、ミステリー、トンデモ映画が大好物
春錵 かつら
映画ライタ―
水を抱く女
21/3/26(金)
新宿武蔵野館
「類は友を呼ぶ」。某マンガ風に言えば「スタンド使いはスタンド使いとひかれ合う」ってよく言うけど、情念が情念を呼ぶこともあるに違いない。似たもの同士が集まるのが世の常だから。 そんな女の情念が籠もったダークファンタジーの本作。原題の「ウンディーネ」は四大元素を司る精霊の1人で、火を司る「サラマンダー」、風を司る「シルフ」、地を司る「ノーム」に並び、水を司る。そして本作のヒロインの名だ。 ストーカーものと匂わせたり、ホラーものと見せかけたり、思わせぶりに観客を誘うが、「精霊と同じ名を持つヒロイン=精霊」という物語だと思わせて、実は目に見えぬ精霊に見初められた女の不運を描いているようでならない。 破滅的なシンパシーを、水の精霊は見逃さない。 美しい水底には、生々しい不幸が沈んでいる。
21/3/28(日)