映像作家の小森はるかと画家で作家の瀬尾夏美というふたりのアーティストによるプロジェクトから生まれたドキュメンタリーだ。ふたりはともに東日本大震災で甚大な被災を被った岩手県陸前高田の復興を見つめてきた。そこから瀬尾夏美が震災から20年後の人々の暮らしを想像して紡いだ『二重のまち』という物語に、ワークショップに参加する4人の若者が向かい合う。彼らは外からきた若者たちであり、震災によって被災した古い町も嵩上げされて生まれた新しい町も知らない。そんな当事者でない彼らが『二重のまち』を朗読し、土地の風景や人々の言葉と向かい合うことから生まれる世界。それは人々の想像力の喚起を通して、震災をはさんだ町と人々の過去・現在・未来を浮かび上がらせる稀有な試みといえる。

21/2/26(金)